19.薬の副作用からきた乳腺炎
それはある日感じた右乳房の強烈な痛みから始まった。とてつもない痛みに襲われて、恐る恐る右乳房を触ると、それはガチガチに石のように固まっていた。
驚いた私は急いで(当時の)かかりつけの内科クリニックに駆け込んだ。エコー検査の結果は『乳腺炎』だった。しかし私は母乳を与えていたわけでもない。何故乳腺炎を発症したかというと、それは薬の副作用からきたものだった。
ある抗精神病薬は、副作用で乳頭から分泌液が出たり妊娠していないのに母乳が出たりする事がある。私もご多分に漏れず乳頭から分泌液が出ていた。それに加えて私は陥没乳頭という体質だった。結果、分泌液に雑菌が混じったものがまた乳頭に入り乳腺炎を引き起こした。
治療は近所の内科クリニックでは不可能だと言われた。すぐに大きい病院に掛かるように言われた。その時、私の脳裏には地元の『A病院』と『でっかい病院』が浮かんだ。どちらにも行きたくなかった。私は「先生が一番信頼している乳腺外科の先生を紹介してください」と頼んだ。すると、都心の大学病院に紹介状を書いてくれた。
都心の大学病院は、自宅から片道一時間半かかるほど遠かった。しかもそこにしばらくは毎週通う事になってしまった。さらには、地元の内科クリニックで毎日休みなく点滴治療することも課せられた。週七日間点滴をしなければならなかったので、(当時の)かかりつけ内科クリニックと、(現在の)かかりつけ内科クリニック二つに通って点滴をする事になった。
私はパニックになってしまい、慌てふためいたままバイトを辞める事にしてしまった。さらには、通信制大学まで退学してしまった。私を社会と繋いでいてくれた大事な三本の柱の内、二本を一気に失った。
抗精神病薬の副作用は、この後さらに私を苦しめ続ける。それは後でまとめて書く事にするが、この乳腺炎は私の人生をさらにおかしくするきっかけのひとつだった。
乳腺炎が完治したのは半年か一年後だったか、とにかく長い時間がかかった。女性には興味深い内容かもしれないから、補足として陥没乳頭の事を書いておく。
副作用で出た分泌液は陥没乳頭から体内に戻ってきて乳腺炎を引き起こした。なので、私は乳腺炎予防のために毎日乳頭の消毒をしなければならなくなった。それはとても面倒で、本当に負担に感じた。なので、乳腺炎完治から数年して私は陥没乳頭を直す手術をした。
手術は乳腺炎の治療をした都心の大学病院で行ったのだが、乳腺炎の事実があったので保険適用で行うことが出来た。費用は数万円。時間は小一時間。乳頭を一カ月固定する必要があったが、とにかくそれで面倒な消毒を行わなくて良くなった。
乳頭から分泌液さえ出なければこんな事もしなくて良かったのだが、たまに同じような目に遭っている方がいるので、そういう方には乳頭を直す手術も考えてみてはいかがですか? と提案したい。
乳腺炎は本当に痛かった。しかも治療のおかげで右胸には大きなケロイドまで出来てしまった。このケロイド、気になるだけではなく今でもたまに痛む。良い事が無い。二度となりたくないし、予防できるなら予防してしまいたい。そもそも、こんな副作用がある薬を飲まなければいいのだが、その薬は今もでかい顔して流通し続けている。
だいぶ思い出し怒りをしてしまった所で今日は終わりにします。次回はS先生が患者全員を捨てて病院を去るお話です。
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