10.役に立たなかったカウンセリング
(本編を始める前にお知らせです。こちら『【改稿版】帰ってきた! 無雲の生態~お久しぶりです、生きてます~』は、月曜~金曜の平日のうちの週二回程度更新させて頂く事にしました。土日に更新される方が現在の私の様子を書いたエッセイ『続・無雲の生態~社会復帰して社会の荒波の中奮闘してます!編~』になります。よろしくお願いいたします。ご助言をくださいましたRAY様、ありがとうございました! では、本文始めます!)
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なかなか回復の兆しが見えない私に、T先生は臨床心理士によるカウンセリングを受けさせた。週一回のカウンセリングだったが、このカウンセリングは私にとっては何の意味もなさない無意味で、むしろ目が死んでいくものだった。理由は、いつも同じ質問をされ、同じ答えをし、それで時間が終わっていたからだ。
カウンセリングと言うと、悩みや心に抱えたものを吐き出し、それにカウンセラーが答えてくれるものだ、と想像していた。しかし、私を担当したカウンセラーは、私の通信制大学での成績を褒め称え、ポスティングで重い荷物を持っている事を労うだけで、他の話に発展しないのだ。
私はボーっとした頭で「これ意味あんのかな?」と思っていた。もっと色々な話に発展させて欲しかったし、何より問題を根底からやっつけて欲しかった。
しかし私の心の闇を話す事も無く二年くらいが経ったであろうか。どういう幕切れだったかかは記憶があまり無い。何となく始まって何となく終わった。
私がこのカウンセリングで一番記憶に残っているエピソードは以下に書くこんなのだ。
鬱状態と強迫状態が強い私に、T先生はSSRIという種類の抗鬱剤を処方した。その薬の副作用で、それでなくてもガリガリだった私なのに、短期間に一気に五キロくらい痩せてしまい、もの凄いガリガリになってしまった。
それを見たカウンセラーは、「気持ち悪い」と言い放った。
いやぁ、失礼だなぁ。と今は思う。しかし、当時は何も感じなかった。何も感じないのはこのエピソードからだけではない。
リストカットをして外科に回され、そこの医者に「めんどくさいなぁ」と言われながら傷を縫われても何も感じなかった。外科を出禁になっても何も感じなかった。
誰に何を言われても何も感じなかった。
今これを書いて思うのは、あの人達は私の反応を見るためにわざと失礼な事を言っていたのかな? という事だ。
普通なら「気持ち悪い」だの「めんどくさい」だの医療者に言われたら怒り出すと思う。しかし私は無表情無反応であった。
その後、私を回復させたM先生の分析によると、私は「陰性症状が表に出まくっていた統合失調症」という事だったが、陰性症状による感情の平坦化で、当時何も感じなかったのかもしれない。
この後私はA病院からB病院に転院させられるが、書類作成の事情でT先生と再会することになる。その時にこう言われたのだ。
「最初から統合失調症でした」
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