第2話部活動と恋愛
「それじゃあ全員席に就けー。これから朝の朝礼まで、時間がある! それまでに各自の自己紹介をしてもらう。 まず私だな! 私は君たちの担任になった、
俺のクラスの担任となった教師は、元気よく大きな声で自己紹介を済ませた。
ついに来た、自己紹介イベント。
この最初の自己紹介をいかに面白くするかによって、今後の俺の友達人生に大きくかかわる。
「じゃあまずは一番からだな。さっ、初めていいよ」
そう言って、担任は左前の席に座っている女子生徒の方に手を向ける。
手を向けられた女子生徒は、急に言われたからか少しビクッとなっていたが、すぐに席を立ち上がると自己紹介を始めた。
「はい、出席番号一番の
早速始まってしまった。
俺はほかの生徒の自己紹介などは全く聞かずに、自分の自己紹介を考えるが。
(結局何も思いつかねー)
というか別に最初の自己紹介で、変に滑ったりしたらそれこそ終わりだ。
うん! 普通にやろう、普通に……。
そして各々普通の自己紹介をしていき、ついに俺の自己紹介まであと一人というところまで来てしまった。
「じゃあ次、頼むぞ」
「はい」
そう元気よく返事をした幼馴染は、すぐに席を立ち上がる。
「
手短に自己紹介を済ませた矢木澤は、すぐに席を座る。
「じゃあ次」
いよいよ俺の出番が来た。
俺は元気よく返事をしようと思いっきり立ち上がると、机に手をつけて。
「あ゛ひ!」
大きな声で、痰が絡まった返事をした。
しまったー!
今のどのコンディションが悪すぎる。
俺ともあろうものが、のどのケアを
「んっんー」
俺はのどを淡を取るように咳ばらいをし、自己紹介を続ける。
「出席番号36番の
挙動不審になりながらも、すぐさま自分の席に座る。
最初に変な声が出てしまった気がするが、多分気のせいだ。
俺の
そして今までとは180度違った、楽しい学園生活を送るんだ。
俺は自分の心を誤魔化すように、何度も自分に成功したと言い聞かせた……。
「じゃあ今日はこれまで、明日からは普通に授業があるから、持ち物忘れないように! では、解散」
結局誰からも声をかけられずに、その日は終わった。
まあ初日だし、こんなもんだろ。
なんもすることないし、部活でも見てみるか。
誰からも話しかけられなかった悲しさを忘れようと、俺は特に興味もない部活動一覧のプリントを見る。
正直部活動に入るつもりは全くないが、一つだけ気になった部活動があった。
「コミュニケーション同好会?」
何だこの、ノリで作ったみたいな部活動は。
いや、同好会って部活動に入れていいのか?
とりあえず教室の場所は……先生に聞きに行くか。
書かれていた教室の場所がわからない俺は、自分のクラスにいる担任に声をかける。
「先生、少しいいですか?」
俺は教卓でプリントなどをまとめている担任に声をかける。
「うん? 何か用かい?」
俺に声をかけられた担任は、持っていたプリントを教卓に置くとこっちに顔を向けた。
「はい、ここに書いてある”国語研究室”という場所は何処ですか?」
俺はプリントの国語研究室と書かれた場所を指差して、担任に尋ねた。
すると担任は、俺が手に持っている部活動一覧表のプリントをのぞき込んできた。
「ん? 君、この部活に興味があるのかね?」
担任は覗き込んでいたプリントから顔を引くと、俺の顔を見てそう質問してきた。
「まあ一番最初に目を引きましたけど」
「そうか、まあ人が来るかわ分からないが、一応行ってみるのもいいだろう! 国語研究室は、三階にある
「ありがとうございます」
担任の丁寧な説明のおかげで、場所はだいたい分かった。
俺は担任にお礼を言うと、すぐに教室を出て階段を降りた。
三階に着いて右を曲がったところには、かなり目立つ渡り廊下があった。
そして渡り廊下を渡り、また右に曲がると、国語研究室と書かれた教室があった。
国語研究室と書かれた教室は、普段俺たちが使っている教室よりも少し小さかった。
「早速行くか」
妙に緊張しながらも、ゆっくりと教室のドアを開けると、そこには椅子に座りながら本を読む少女の姿があった。
少女は俺が教室に入ってきたことに気がつき、俺と目があうと、開口一番に。
「あら? クラスメイトの……カス優太君ですよね」
っと、そんな悪意ある悪口を言ってきた。
初対面みたいな感じを装ってるけど絶対覚えてるよね。
俺はそんな久しぶりに会った彼女と何を話していいのかよくわからず、とりあえず近くにあった椅子に腰かけた。
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