第66話焦り……
そして翌日の放課後……。
俺はいつも通りに文化祭の準備をしている。
たいして楽しみじゃない文化祭の準備期間ほど苦痛なものは無い……。
別に文化祭の出し物でいっぱい
俺は当日どこのトイレで時間をつぶそうとか悲しいことを考えていた。
花のことも考えているが、特に何か起きる様子もなく、普通に文化祭の準備をしていた。
相変わらず一人で人一倍準備をしている花を見て、流石と思わされる。
俺も一人で射的の台を作るための板をノコギリで切っている。
まじでめんどくさい……。
この作業……力もいるし体力もいるしで、何で俺がこの作業
この前なんかは、射的班が一番遅れてるとか言われて居残りをさせられた。
明らかに作業量の分担がおかしい。
だいたい何で台が手作りなんだよ!
他の変なところに費用割いてないで、この台こそいいやつを買うべきだろ。
この台を作るために使う、板やらペンキやら釘などの費用を全部足したら台ぐらい買えるのではないかと思う……。
そんなことを思っていると、花が自分の班を抜けてこちらに寄ってきた・
「なんだよ……?」
花の表情を見ていい知らせではないと察した俺は、一歩ほど距離を取る。
だが花はそんなことお構いなしに近づいてきて、手に持っている紙を見ながら。
「射的班の台作りが一番遅れてるわ。今日も居残りよ」
嘘だろ……。
花の宣告に、俺は絶望していた。
もう七時まで残りたくない……。
他のクラスメイトが仲良く喋りながら作業している横で、一人
てか何で花にそんなこと言われなければいけないんだ?
コイツは現場
「何でお前が指揮ってんだよ? お前は射的班じゃないだろ」
「何言ってるの? 私はこのクラスの監督よ。班ごとに遅れているところと進んでいるところの
コイツほんとに監督だったの!?
でもさっき輪投げの仕事してたじゃん。
どんだけ仕事大好きなの?
過労死したいの?
「まあそんなわけで今日も居残りだから……。勝手に帰るんじゃないわよ」
釘を刺すようにそう言い残した花は、また別の班に向かって行った。
はぁ……と大きなため息をついて、俺は板を切る作業に戻った。
数分ほどして肩が痛くなってきたので少し休憩に入る。
立ってて足も疲れたので近くの椅子に座ろうと周りを見渡すと、窓側の方に人だかりが出来ていた。
気になって近づいてみると、花と阿澄が正面から
その光景を見た俺は、嫌な予感しかしなかった……。
何で阿澄が教室にいるのかも気になったが、そんなことよりも、今花たちの間に何が起こっているのかの方が気になった……。
でもこの人だかりと雰囲気から察するに、良いことでないのは間違いない。
俺は手に汗をかきながら、二人を見ていた。
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