彼女の心境
第14話学生とテスト
テスト。
学生である以上は、避けては通れない道……。
もちろん俺たちの高校にも当然のようにあり、かくいう俺も覚悟を決めていた。
「よし! かえってゲームしよ」
「待ちなさい、どこへ行く気?」
「いや、テスト期間だから部活もないし、帰ろうかなって……」
俺はこの、テスト前の準備期間という名の執行猶予を、ゲームをして過ごすことに決めていた。
「何言ってるの? あなたどうせ帰っても勉強なんてしないじゃない? それに私たちが入ってるのは同窓会よ? だから今日もあるわよ」
「えぇ、テスト前まで部活動とかどんなブラック部活? しかも別に俺たちいつも何もしてないからいいだろ」
「あなたに拒否権はないのよ。いいから早く来なさい」
言われるがままに、矢木澤の三歩後を歩く。
「で、来たけど何すんだよ?」
「あなた馬鹿なの? 一週間後にテストがあるんだから、テスト勉強をするに決まってるじゃない」
何と、急に部室に連れて来た矢木澤は、『テスト勉強をする』と言い出した。
「うん、頑張ってください……」
俺はすぐさま部屋を出ようとするが、矢木澤に後ろ
「待ちなさい、あなたも一緒にやるのよ?」
「いやいいよ、別に大学行く気ないし……」
「何言ってるの? 学年最下位の馬鹿を
もう最下位取ることは確定してるのかよ……。
でも確かに、中学の頃はたいして勉強してないから、割と下の方の順位だったしな……。
「でも友達とやると集中できないだろ? だからやっぱ俺帰るわ」
「大丈夫よ、あなたは友達じゃなくて召使だから」
何も大丈夫じゃないんだけど……。
てか前は奴隷とか言ってなかった?
役職変わっちゃってるよ!
「いや本当に、俺のことは心配しないでいいから」
「誰もあなたの心配なんてしてないわよ。あなたに悪い成績をとられると部の評価が下がるから……」
「いや多分誰も気にしてないと思うぞ?」
まず誰もこの部活が活動してることすら知らないと思う……。
もう一回部屋を出ようとすると。
「いいから!」
俺は無理やり後ろ襟を引っ張られて、椅子にぶん投げられた。
「いたた……。分かったよ、ここにいてやるからやってていいぞ」
倒れた椅子を立ち上げて、携帯を出す。
「俺は携帯いじってるから、終わったら言ってくれ」
「何言ってるの? あなたも勉強するのよ。分かったらまず問題集をやりなさい」
「いや別にいいよ、問題集とか一問目から分からなくて、結局一時間ぐらい問題とにらめっこしてやめるタイプなんだよ……」
そう、問題集はまず、問題の解き方が分からない。
解説見ろとか言われても、その解説が分からない。
まずあの解説作ってる奴、ちょっと勉強分かるやつ前提で作るのやめてくれない?
小学一年生が見ても理解できる解説を作るようにしてほしい……。
「まあだから、俺のことは気にしないでくれ……」
俺が携帯を取り出そうとすると……。
「じゃあ私が教えてあげるわ」
「え!?」
あれ?
幻聴?
いきなりどうしたんだコイツ?
いつもの矢木澤らしくない発言に、俺は戸惑った。
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