第42話寂しげな声音……
そして迎えた土曜……。
その日花とラーメンを食べる約束になっていた。
一方的に約束させられたが、まあラーメンは好きだしいいと思ってしまう。
休日は特にやることもない。
花がうちに来るまでまだ一時間ほどある……。
いつもやっているゲームもマンネリ化してきて飽きていた。
でもゲーム以外特にやることがない俺は、どうやって暇をつぶそうか考えていた。
……。
どのくらいたったか……、時計を見ると針の長針は11を指していた。
つまり55分。
ボーと何しようか考えていたら、いつの間にかこんな時間になっていた。
まるで時間が
俺ほど暇つぶしの才能に恵まれた奴はいないだろう。
そんな才能いらなかったな……。
なんて思ってると、家のチャイムが鳴った。
五分前だが、多分花だ。
俺はクロックスを履いてドアを開ける。
ドアの前には、白のワンピースを着た花が片手バッグを両手で持って待っていた。
「じゃあ行くか」
「えぇ、朝から何も食べてないからお腹が空いたわ」
朝から!?
この人どんだけラーメン楽しみにしてたの?
俺達は駅の近くにあるこってり系なラーメン屋に行くことにした。
その途中で花が何か話したそうに口を開こうとしていたが、最後まで出てこないのか下を向いたりしていた。
結局その間ほとんど会話せずに目的地に着いた。
俺達は店内に入ると、
「俺はとんこつにするけど花は?」
「あ、私もそれで」
俺はとんこつラーメンの食券を二枚買って、店員に差し出す。
「えーと麺硬め油多めニンニク有りでお願いします」
俺はいかにも行きなれてますよ感を出す。
暇な時とか小腹が空いたときとかはよく来るので、まあ本当に行きなれてるんだけど。
店員は花にもどうします? と聞いていたが、花は困惑していた。
まさかコイツ、ラーメン屋に来たことないのか?
「ええーと……この人と一緒で」
絶対来たことないですね、はい。
さすがにニンニクぐらいは無しと答えてほしかった……。
「おい、ニンニク食えんの?」
「ええ、好き嫌いはないから安心して!」
そういう問題じゃない気がするんだけど……。
まあ別に花の口臭が臭くなったところでどうでもいいか。
俺達はラーメンが来るまで座って待っていたが、花は店内をきょろきょろ見回していた。
「何でラーメン行こうって誘ったんだ?」
ふとそんな疑問が浮かんだので聞いてみる。
すると花は、昔を懐かしむような目で。
「前に優太が言ってたじゃない。駅前のラーメン屋がすごくおいしいって」
そうだっけ?
多分何となく話した会話の一部なのだろう。
「それでどんなものなのか食べてみたくなったから」
「食べたことないのか?」
「うん……。うち外食あんまりしないしこういうの一緒に行く人もいなかったし……」
少し
出されたラーメンをずるずるとすすっている花は、満足していたように思える。
しかし改めて花の格好を見ると、ラーメン屋とは合わない。
白いワンピースは、店内でもひと際目立っていた。
俺も花に続いて麺をすすりだす。
うめぇ。
やっぱラーメンといったらとんこつだな。
他の味も食べてはみたものの、いまいちインパクトに欠ける……。
とんこつこそ
俺達はラーメンを完食して店内を後にする。
花も満足した様子でだったので、俺としても非常にうれしい限りである。
時刻は七時ぐらいだろか……。
俺達が来た時は夕暮れ時だったが、今は真っ暗だ。
周りもとても静かで、虫の鳴き声が聞こえてくる。
しばらく沈黙が続いた後に、花は口を開いた。
「ねぇ……。このままずっとこうなのかな」
唐突に話を始める花だが、主語がなくいまいち何の話をしているのか分からない。
『こうなの』っというのは何を指しているのだろう……。
今の学校への嫌がらせのことなのか?
だとしたら俺はなんて声をかければいいのだろう……。
俺はとりあえず何か話す。
「まあこういうのは一時的なもんだろ。夏休みが明ければあいつらも飽きてやめると思うし……」
自分で言っておいて自信がない。
問題や悩みというのは時間が解決してくれるというが、本当にそうだろうか?
確かに卒業したらもう会わなくなるだろう……。
でもそれは”解決した”と言いきれるのか?
確かに表面的には終わったのかもしれない。
でも彼女らの関係がよくなるわけでもない。
結局時間というのは、問題や悩みを解消してくれるだけで、解決はしてくれないのではないだろうかと思う……。
花は俺の言葉を聞いて、
「本当にそうなるといいな」
暗闇で表情は見えないが、その
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