アノータトン

 皆様、本日はお忙しい中足をお運びいただき、誠に恐悦至極に存じます。

 話は端折りますが、まずはお手元の資料をご覧ください。


 ご覧いただければわかります通り、あの日を境にカンパニーでは現社長派が勢いを盛り返し、敵対的派閥は大幅にその勢いを減じました。スポンサーの中には、すでにカンパニーに見切りをつけると公言して憚らない輩もいますし、中には此度の戦争で命を落とした者も大勢います。


 この際はっきり申し上げましょう。この組織はもう十分に役目を果たしました。


 今まで投資したものは無駄ではありませんでしたが、望んだものが得られたかについては疑問が残るという方は少なくないでしょう。我らが陛下も、甘い汁だけを吸えるほど甘くないことはご承知しておられましたが、それでも彼らがここまで無能であったことまでは見通せませんでした。所詮人間、頭の良さには限界はあれど、馬鹿は底なし。彼らはいつも私たちの予想を悪い方向で裏切ってくれるので、始末に負えません。

 そんな中、我々はこの先どう立ち回ればよいか。賢明な参加者様たちは、既に結論が出ているかと思われますが、この場で改めてお互いの意思の疎通を確認しておきましょう。


 …………そうです。その通りなのです皆様。

 未練があるのは百も承知です。私も、陛下ほど割り切れているわけではありません。だからこそ逆に、手の打ちどころと思っていただければ幸いです。


 はい、では次のページにお移り下さい。

 「M機関」の調査では、既にほかの派閥も動き出していることは明らかとなっております。まだ未練たらたらな組織もあれば、甘い汁を吸うだけ吸って退散しようとする者も見られます。

 彼らとは今まで協力してバベルの塔を築いてまいりましたが、言葉が通じない中積み重ねに積み重ねを行った土台は、今や崩れようとしているわけです。


 そこで陛下が仰るには…………どうせ壊すなら、派手に壊したいとのこと。


 お鎮まり下さい。ここを何処と心得ておられますか。


 そうですね、少なくとも10桁は―――――と。

 彼らが行った所業の意趣返しとしては、これでもまだ甘い方であると、陛下は仰られておりました。


 よって、次回の祭典は―――――



 ………



 蠅がいますね。


 ガーデン・ライラック、始末を


「あいよ」







BUH-KOOOOOMM!!!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ファラ ~古代が産んだ究極の筋肉~ 南木 @sanbousoutyou-ju88

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ