おまけ……その6
・各陣営の評価
社長候補たちも含めて、各陣営の戦いっぷりはどうだっただろうかと振り返ってみましょう。
p.w.カンパニーの正体とは、結局のところ出資者たちが自分たちが責任を負うことなく好き勝手出来るよう作られた共同体のようなものであり、倫理観が大きく欠落している。その倫理観の欠落こそが、カンパニーの弱点であることは疑う余地もない。
現実社会でも「なんで人を殺しちゃいけないのか」という問いがあると思いますが、その答えは単純明快「殺人を許容したら自分が殺されても文句言えないから」に尽きると思うんです。それと同時に、なぜほかの世界の原住民に配慮しないといけないのか……それはいつか手痛いしっぺ返しを食らう可能性があるから。
それを分かっていない社員が…………とても多い。
彼らは、自分たちが存在するだけで討伐される対象になっていることを、そろそろ知るべきだ。
・J陣営――代表:プリンセス・フーダニット
我らがJ陣営は、言ってみればCivilizethionにおける蛮族――つまり、ゲームを引き締めるスパイス程度の存在でしかない。代表は無能で、代理たちの大半は貧弱そのもの。よほどモノ好きでない限り、この陣営に付きたいなんて思わないだろう。
しかし……集ってしまったのだ! 正面からカンパニーを打破できるだけのヤバイ連中が!
フーダニット姫は各作者様によって、扱いが結構大きく異なるんじゃないかなと思います。ファラルートの場合、彼女は初め世界に絶望し、半ば勝利をあきらめていた節があります。だから、せめてカンパニーに出来うる限り被害を与えてやりたいと思っていた。しかし、自分のために命を懸けて代理たちが戦ってくれているのを見た時……………王たる使命を思い起こした。
結局、この世界を守れるのは自分たちしかいない。そして自分は無力だけれども、何もできないわけではない。この思いこそが、いずれ1991支部王国を変えてくれるに違いありません。
1991支部王国の設定を見る限り、この世界の住民たちは基本的に他力本願で、ただ与えられたものを享受しているだけです。もちろん、以前は自分たちで何とかしようという人間は大勢いたのでしょうが、それらはことごとくカンパニーに始末されてしまったと見受けられます。そしてそもそも、王国が魔族を倒すためにより強大な力を借りようとしたのが、すべての禍の始まりだったわけです。
ヒーローたちの活躍もあって、最終的にJ陣営は他陣営の屋台骨ともいえる代理たちをすべて下し、優勢を勝ち取りました。
カンパニーはさぞかし慌てたことでしょう。彼らは、死ぬか大嘘つきになるかの二択を迫られたわけです。まあ、死ぬよりかは嘘つきになった方がましなのは明白ですが、せめて自分たちの信用を落とさないように立ち回らなければなりません。
そんなわけで、ファラルートでは結局本編でスミトが言ったように、いくつかの支部をダミーとして切り離し、フーダニットを仮の社長に据えて勝手に解散させる方向で行ったと思われます。フーダニットも、おそらくカンパニーが完全解散しないだろうことは薄々気が付いているとは思いますが、それ以上の追及は難しいことくらいは判断できたのではないかと思います。たぶんヴァイス王女あたりが、途中まで付き添ってあげれば、旨く交渉できたのではないかとも思います。
今後1991支部がどうなるか正確なことはわかりませんが、カンパニーがいなくなったからさあみんな仲よくしよう…………とは、たぶんならないんじゃないかなぁ。それでも、自分たちの力で生きられる分、カンパニーの支配よりはだいぶましなはず。
・♦陣営――代表:モナリザ・アライ
彼女についての考察は、♦陣営ヴィランのページでもやっていましたが、要するにこの人たちは保守派ではなく、どちらかと言えば改革路線。かつて自民党をぶっ壊した小泉元総理と立場がよく似ている。
作者様の新企画予定の設定を見るに、どうも最終的にアライさんは続投したっぽい。よかったねアライさん。
♦陣営は基本的に生物兵器を扱うという設定だったので、うちからは人外生物たちを送り込んでみました。ですが、戦力的には♠陣営よりも強力に見えます。なにしろ♦陣営は殆ど既存勢力ですので、アライ社長体制の下で活動してきた連中は彼女が勝ってくれないと自分たちの立場が脅かされかねません。
特にエンリークは、アライ社長の人の好さに付け込んで利権を握っているので、ほかの陣営が勝利するなど言語道断。一方で、邪魔な奴を消すチャンスでもあるので、だいぶあちらこちらで暗躍していた可能性あり。たぶんほか陣営にもパイプ持ってる。
ただし、最終的にこの陣営が勝ったことで、結構な数のスポンサーが離れたと思われる。しかも、勝ったと言えば聞こえがいいが、結局はほかの陣営の自爆なので、求心力は大きく低下したものと思われる。このままだと、たぶん離れたスポンサーが別の社長を持ち上げて、第二のカンパニーを作る可能性が高い。
あと、この陣営のもう一つの特色として、ヴェリテやネイなど個人的な交友関係で参戦してくれる面子がいるのもポイント。というか、ほかの代理たちは、そろいもそろって友達少なそうな奴らばかり。
ビト様が持っているヴィラン一覧を見ればわかる通り
https://kakuyomu.jp/users/bito/news/1177354054886899020
♦陣営は比較的善人が多い。ゾン子さんも陽向旭氏もルカ君も、代表に文句を言わず従っているところに、アライさんのカリスマの一端がうかがえる。
・♣陣営――代表:ソリティア・ウィード
アライさんとは逆に、一見改革派に見える保守派。代表のソリティアは能力がいろいろと極端に振られているらしく、得意分野はほかの追随を許さない超天才なのに、才能がない分野はてんで駄目。カンパニーにカースト制を敷こうとしていたらしいが、どれだけ賛同者がいたかは未知数だし、賛同者もろくでもない連中しか集まらない気はする。
得意分野は機械工学で、ヴィランを見るとほとんどが機械化された奴ら。見た目的にはとてもカッコいいが、物資をバカ食いしそう。しかしそこは天才。補給はきちんと用意してある。我が家から送り込んだヴィランたちも、完全に機甲化戦力で、非常にメカメカしい。
予想はしていたが、この陣営に対する扱いは悪い。ぶっちゃけ擁護できないレベルでトチ狂った主張をしてるので、そのふざけた幻想をぶち壊してやりたくなること請け合い。実際、有原ハリアー様のルートでは意気消沈するソリティアの姿が見れるし、ファラルートでも扱いはそんなに変わらない。
先ほどの一覧を見ればわかる通り、♣陣営の被害は悲惨の一言。やっぱり妹に欲情するような奴はだめだなと言わんばかりに、集中砲火を受けている。どうもソリティアは社内政治について疎い節があるし、天才を自称しているから、たぶんほかの人のアドバイスを聞かないと思われる。
最終的に今回の社長戦争では、開催前の絶対的な自信と、前評判の高さが逆に仇となり、口だけ野郎扱いされてしまった。
ただし、なんだかんだ言って才能はあるし、血筋も素晴らしいので、ビンインよりかは支持はあると思うし、さっき話した第二のカンパニー登場の暁には、社長として担がれるか、またはそれなりの地位は約束されるだろう。
もし彼が社長戦争に勝っていたら、旧アライ派は一掃され、遺伝子情報によって役職が決まる超管理会社が生まれる。いずれ上層部が働かなくなって腐っていきそう……。
・♥陣営――代表:ビンイン・ジ・エンペラー
社長が強いせいで結構な支持があると思われる陣営。「ビンイン」とはたぶん董卓のこと。完全にカンパニーを私物化する気満々だが、ドナルド・トランプと同じく実行力だけは確かなので、自分の利益を第一に考える連中が大勢集まってきている。
得意分野は魔法関連。そのほかにも、不死者系が揃う。ヴィランの数は圧倒的1位で、やられたらビンインが食べるし、勝っても最終的にビンインが食べる。
我が家からは、ほかからあぶれたメンバーや悪役を重点的に投入した。
意外と強いのがこの陣営。そもそもビンインはほかの陣営よりスポンサーの支持率が圧倒的に低いが、本人はそんなの百も承知。むしろ、勝てばラッキー程度にしか思っていない可能性が高い。なにしろ、公約でカンパニーの完全私物化を掲げているので、カンパニーをよくしようとする思いがさらさらない。
じゃあなぜ彼は社長戦争に名乗りを上げたのか? それは、社長戦争で自分の存在をアピールする狙いがあったものと思われる。何しろ彼はカンパニー内でも屈指の実力の持ち主。左手小指を分離するだけで、ネオ=サピエンスに匹敵するモンスターを作り上げたのだから、本人はどんだけ強いんだよと。
今回の社長戦争では結局勝てなかったが、それでもビンインを敵に回すとどれだけ恐ろしいことになるかを、周囲は身をもって知ることになっただろう。この点はソリティアと逆で、勝てば儲けもの、負けても失うものがないという、なかなかしたたかな面が見える。それに、支持率が低くても最終的に敵陣営をすべて壊滅させれば、いくら彼が嫌われてると言えども、勝利を認めざるを得ないだろう。
余談ですが、この陣営はほかに比べて大迷惑を起こしている率が圧倒的に高い。
王国がボロボロになっているのは、大体こいつらのせい。
もしこの陣営が勝っていたら…………正直結末が予想できない。
一つ言確実にえるのは、カンパニーは会社ではなくビンインのおもちゃに成り下がるということか。
・♠陣営――代表:リンド
ある意味カンパニーの暗部を代表していると目されるこの陣営。異なる世界から大量の「チート」を集めてきていて、その陣容はなかなかすごいことになっている。我が家から出すヴィランも、一通りチートばかり。特にリルヤはアカン。
ただし、彼らは例外なく無理やり召集させられた傭兵であり、士気は全陣営の中でも最低。勝手に行動し、勝手に戦い、勝手に帰ってしまう。メタな点でいえば、主催者様が昨今のラノベの安易なチートが嫌いらしく、皮肉あふれた奴らが多い。
それ以外の面でもこの陣営はかなり複雑な事情を抱えている。
まず代表のリンド。どうも彼女はカンパニーの裏の支配者である株主勢から送られてきただけあって、個が存在しない。だから、目標もなければ、勝ちたいという思いもない。そして、真の友人というのを持たない。おそらく彼女が勝った後は、改めて別の奴を社長に指名する布石なのではないかとみている。
そしてその下にいるのが、チートと言えば聞こえはいいが、ロクな戦術もなく暴れまわる蛮族たち。彼らの方がJ陣営よりよっぽど引っ掻き回し役やってると思う。
また、これだけ強い連中が集まっているのだから、圧勝しないことには話にならない。それなのに他陣営に負けましたというのなら、人を見る目がない、人材の扱い方が下手。故に社長として致命的と言われざるを得ない。
つまりこの陣営は、思っている以上に不利。
もし全作者様の描写がすべて評価につながるのであれば、この陣営は公平の建前で大々的にルール違反をやりまくっているので、他陣営を指示していたスポンサーたちからはクレームの嵐だろう。
いずれにせよ、カンパニーが分裂するとしたら、まず間違いなくこの陣営が原因と考えていい。もはや背後のスポンサーたちは、不仲が決定的になりつつある。
もしこの陣営が勝っていたとしたら、リンドが改めて別の人物に社長を譲り、またオルガノさんのときと同じように、社長は単なる傀儡に成り下がるだろう。
すべてはスポンサーたちの意のままとなり、カンパニーは今まで通り悲劇を起こしていくことだろう。
おまけは次で最後です。
また、おまけ4に新しい賞を掲載しました。
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