前日譚2:ベル
「ファラさんですね、お待ちしておりました。こちらで正式に
「ん」
受付までやってきたファラを、鹿のような角が生えた女性が事務的に出迎えた。さすがは受け付けともなると、ファラと同等かそれ以上の実力者たち相手に手続するためか、かなり肝が据わっているようだ。
許可証と手形を確認し、いくつか質問することで、ファラ本人と確認された。
「これで
「べる?」
「
受付嬢は、500円玉ほどの大きさのコインのような形状のものをファラに見せた。
「これで、
細かいことはファラにはよく理解できなかったが、要するになくしてもいけないし壊されてもいけないことはわかった。
「どんな形がいいのかしら?」
「私に聞かれましても…………」
さすがに受付嬢も若干困った顔をしたが――
「ファラさんの場合は腕輪かベルト当りが無難なのではないでしょうか?」
「じゃあベルトで」
「かしこまりました。戦争開始前には出来上がります。出来上がりましたらファラさんのところまでお持ちいたします」
ファラは迷いなくベルトを選んだ。
彼女の場合、腕輪は、腕の筋肉が盛り上がった際に自壊してしまう可能性が高いため、長さが調節できるベルトがいいと判断したようだ。
「これですべての登録が完了しました。では、続いて社長候補にご挨拶に向かってください。警備員がご案内いたします、くれぐれも失礼のないように」
その言葉と共に、受付の近くの扉から、銃を構えた警備兵が6名でてきた。
よほどファラのことを信用していないのだろう。ファラは、まるで捕虜か何かのように警備兵に囲まれながら廊下を歩いて行った。
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