巡査・吉瀬生太郎の幸不幸 ‐明治偽妖怪捕り物帳‐

　明治時代。文明開化の象徴である煉瓦街が完成してから、十年以上が経過した銀座。巡査の吉瀬生太郎は、先輩達と共にこの地の平穏を守る為、日々まい進していた。

　しかし、犯罪は中々減らない。かっぱらい、空き巣、通り魔と次々事件は起こり、犯人逮捕も遅れてしまう。仕舞いには、『妖怪の犯行だから、人間には捕まえられないのだ』とまで新聞に書かれる始末。


　そんな時、生太郎は先輩に、とある駄菓子屋へと連れて行かれる。ここにくればあっという間に事件が解決する、と言われたのだが、現れたのは駄菓子屋の娘・可愛と、むぅ太郎という名の真ん丸な白い毛玉。
　どうやらむぅ太郎は、幸せを運ぶとされる妖怪、ケサランパサランらしい。

　先輩は、むぅ太郎の力を借りて犯人を捕まえると言うが、幸せを運んで貰うには、それ相応の…続きを読む