概要
異世界に突如としてもたらされた『サッカー』という概念は、関わった人々をかつてない混乱の渦に巻き込んでいく。
サッカーとは何か?
何のために我々はサッカーを追求する?
お前、サッカーの何なんだ?
様々な疑問が浮かんでは消える中、男たちはついに決断を迫られる。
果たして真実のサッカーは、異世界でどのような転生を果たすのか?
おすすめレビュー
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- ★★ Very Good!!紀夫に捧ぐ
沼渕紀夫は恐らく善良な男だ。
そして、平凡な男だ。
サッカーが好きだったのか、それとも部活を指導する事が好きだったのかと言われれば、私は後者だったんじゃないかと思う。
それがバスケットであっても、テニスであっても、吹奏楽であっても、やはり「紀夫ノート」は産まれていたのではないか。
でも、とにかくここではサッカーだったのだ。
紀夫ノートが時空を超えて、新たな世界で産声をあげる全く新しいサッカー。紀夫と全然関係のないところで動く歴史。
天才的なひらめきで発見されたにも関わらず、性格の不一致で見向きもされなかった十進法。
二日酔いで動けない父親が、模擬演習に代理で行かせた八歳の女の子…続きを読む - ★★★ Excellent!!!やろうぜ、サッカー!(但し投石機を使用するものとする)
文句なく面白い。
一見、さいきん流行の兆しを見せる『異世界転生モノにちょっと皮肉交えつつ特殊な設定を盛り込むヤツ』の亜種に見えるんですが、この作品はもう一回捻りを入れてきてます。
異世界転生しないんです。
これ、この作品。スゴいのが、転生するモノが『人間』じゃなくて『文化』そのものなんですね。
本来異世界モノって、大まかに言えば
『人間』が転生して、異世界の『文化』に触れる。
その『文化』に触れた上で転生者が何を見て何を感じるか、みたいな話じゃないですか。
構造が逆なんですよね、これ。
いきなり『文化』が異世界にポンと出てきて、異世界の『人間』がそれに振り回されるわ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!別の世界から突如もたらされた『概念』と、それをめぐる人々の物語
異世界転生、という概念そのものを、特段の理由もなくまた必要以上に大真面目に考えて、ものすごく面白いものにしてしまった、という印象のお話です。平たくいえば「どういうことなの」。すごいお話です。
通常、というか一般にというか、『異世界転生』という概念そのものは、ある種マクガフィン的な使われ方をするものだという印象があります。現世があって、別の世界がある。そこに主人公が転移する。現世で培った知識や技能をもって活躍する。その『活躍』が主軸であり、そのためのお膳立てが『異世界転生』という設定。異世界に転生することそのものについては、本質的には結構どうでもいい部分だったりするものだと思うのです。
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