みちのり その1

足いてぇ…

まだ三十分程度だが、つらい…

「そろそろ休憩しようよラッキービーst…」

「モウチョットダカラ頑張ッテ」

oh...


道中考え事しかする事がない上、こんな山道いつイノシシやら猿やら出てきてもおかしくない…こえぇ。

こんな状況なので、精神状態もまともではない。気を紛らわすため鼻歌を歌っても、スキップしても疲れて居るので続かない。


____________________

「ココデ休憩シヨウカ?」

「頼む…。」

結局あの後一時間近く歩いた。

「ミ・・・水ぅ…!」

ンンンンンッ…っアーうめぇ。

「じゃぱりまん食べよ…」

水色のまんじゅう。ラッキービースト曰く、

じゃぱりまんじゅう。通称じゃぱりまん。

サイズの割に食べ応えありのまんじゅうだ。

1個でお腹いっぱいになる。


「なぁ、ラッキービースト」

「?」

「これ何?」

ボードなのは見りゃ判る。

その横のケースに入ったもののことだ。

「マップ、及ビパンフレットダネ」

パンフレット?

地図はまあ判るが、荒廃してそうなのに何で? …わからん!全然わからん!

「なんでパンフrッ…」


「ねぇ、君。」

君?俺?

「そこのじゃぱりまん食べてる君だ。」

「あっ、俺?」

「そうそう君。君さ、走ってるポーズとって見て?顔もソレっぽく。」

「こう?あってます?」

うんうん、という感じでうなずくとその人はペンを走らせる。

女性で、見た感じ漫画家さんかな?

帽子で見にくいけど、髪の毛が綺麗な人だ。

「うーん!いい顔いただき。見る?」

お願いします、と言うと見せてくれた。

凄い…!さすが本業の人は違う!

黒いペン1本でここまで…

「こういう表情もありか…」

また描いてる…

あ、そうだ。名前聞いとこ。

「よかったらお名前を…」

「おっとすまない。私はタイリクオオカミだ。君は?」

「俺は…」

あ、どうしよ、シキって名乗るべき?

本名?

…いっか、シキで。

「シキ。シキって読んで下さい。」

「シキ…聞いたことないね。」

「数日前ここに来ましてぇ…」

「その話聞かせt…」

『先生ー!オオカミ先生ー!』


「…すまない、私の可愛い弟子が読んでいる。またどこかで」

「さよなら。オオカミ先生」

「…やめてくれよ、照れるじゃないか」

そう言うと彼女は手慣れた手つきで、ササッと道具を、大きなバッグにしまい込み、

「今行く!そこで待っててくれ!」

そう叫んで行ってしまった。

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