きおく

まだ頭がぼんやりする…。


記憶が定かじゃないけれど、とにもかくにも俺はなんでここにいるんだ?


えっと、あぁ、確か…





――――――――――――――――――――


「皆さん落ち着いて!」

「落ち着いてられるか!」

「ボートはまだか!」

「ですから落ち着いてぇー!?」


乗っていた船のトラブルのせいで、

内はもみくちゃ状態。

「旅行が台無しだ・・・畜生」

楽しい一人旅だったはずの休暇はトラブル続きのせいでどうにかなりやがった。


俺は船乗りでもなければ漁師でも無い。

海の上で揺られているのは、なう一人旅だからだ。

「次!おい、そこのリュック!」

「ウェ!?あ、ふゃい!」

簡易的だが、ボートだ。

ひょいと乗り込む。

何とか助かるだろう・・・

きっと…

なんとか…

その後だ。

「雨が強い!風も吹いてきただと!」

おいおいおいwwww!

この状況で?wwwマジ?ww

その時、俺は笑っていた。

この先に起こる事がそれはもう、

安易に想像できるのだ。

笑うしかなかった。

そして、


今に至る。

――――――――――――――――――――



腹減ったな…


喉渇いた…


気持ち悪い…


吐きそう…


死んじまうんだ、きっと…


「はぁ…ハァ…ハァ」


ドサッ。


焼けた砂の上にぶっ倒れる。

ピョコン

この音を、彼女は逃さなかった。



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