きぜつ



「あれれ?なにか聞こえなかった?」

「サーバルは耳がいいのだ!アライさんはさっぱりなのだ。」

「どんな音だったの?サーバルちゃん?」

「んー…『ドサッ』かなぁ?」


私の大きな耳でも聞き取れきれなかった。


「木が倒れたのかなぁ?」

「もっと大きい音だと思うよー?」

「ミニイッテミヨウカ?」

「お願いします、ラッキーさん」

「了解。ルートヲヘンコウシタヨ」



ゴコクエリアから帰ってきた私達は、キョウシュウでのんびり旅をしていた。元々キョウシュウに居たが、未だ知らない事の方が多い。

森の中や、砂漠の端っこなんかは、知らないことだらけだ。


私はフェネック。旅の仲間を紹介しよう。

活発なサーバル、賢いかばんさんに

ちょっとアレだけど、元気で、爆発的瞬発力及び行動力を有する私のよきパートナーであり、相棒であり、よき理解者である、

アライグマのアライさんだ。

アライさんとの出会いはあのサバk・・・

ってそれどころじゃないよね。



少ししてラッキービーストは、バスを止め、

近くの別のラッキービーストに応援を送っていた。


「ドコかなぁー?」

「イマケイサン・・・」

「いたのだ!多分あれなのだ!」

「ぅあぁぁヤバいよヤバいよ!」

「あららー…」

「大丈夫ー?」

反応ナシ。

「ラッキーさんッ!まだですか!?」

「応援ハモウスコシカカrッッッッッ!?」

「いーそーいーでっ!」ユサユサ

「アワワワワワワワワワワ…」


・・・

こんだけ騒いでいるのに起きない。

けっこうやばそうだな…。

…ん?

ッ!?


見間違え…?

違う。

まさか。

ここはキョウシュウ。

私の近くでラッキービーストに珍しくキレている彼女以外にいないはず。

でも確かに。

…「彼」は ヒト だ。

「…おーい」

…ダメか。


…pkpkピコピコピコピコピコピコピコピコピコ

お、来たか。

「ボス来たよー!」

「カバン、後ハ任セテ」

「はい、お願いします!」




――――――――――――――――――――

「ウーン、ウッ、オエェッ!」

オェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!

強烈な吐き気とともに起床。

空の色はもう茜色に染まり、白い月がうっすら見える。




ハァ…吐いたのなんざいつぶりだ?



…ん?

ご丁寧に水筒に入った…水?

え!水!?

迷わず口をつける。

スッとした。

ちょっと臭いけど。

生き返った気がする。

「ン、ン、ンッ…あー美味い」

人生で一番美味い水飲んだ。


「ヤア、メザメタカイ?」

ナッ!?


「うぉおぁぁぁ!?」

「タベナイヨ」


「キエエエエアアアアシャベッタァァァァァァァァ!?」

「アワワワワワワワワワワ…」

――――――



「ヤァ、ハジメマシテ。」

ラッキービーストと名乗る…ロボット(?)が話しかけてきた。

緑っぽい蛍光色に光る目、ピコピコ鳴る足、

青いボディ。…あれ?Cawaii!

「君ハ、『シキ』ダヨネ?」

シキ…誰ですかそいつ。

「違うんですけど」

「エ?」「え?」

「カバントノ会話ヲ解析中…」


え?鞄ってしゃべるの?

ロボット?人工知能?AI?

…あーもうわっけわからん。





…でさ、シキってなんすか?

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