TYPE_GEAR

「いつも元気ですね、羨ましい限りですよ」


俺はサーバルさんに声をかける、羨ましいと言うのは皮肉ではなくただの本音だ。


「えへへ、そーかな?私はコレが普通だからわかんないよー!」


その声その見た目そして性格ともう一人の猫のお陰と言うかせいというか。

無邪気で…あまりも幼く、かつ美しく見える


子猫の瞳は驚くほど輝いている。

見つめていると何故か罪悪感に纏わり付かれる。

護らねばならぬと思いが滾る。


この思考至るまで僅か3秒、何故こんな考えをしているかは察して欲しい、ちょっと楽になったけど考えればやはりつらい物があるのだ…申し訳なさと焦りと怒りが何処に行くべきかと脳でくるくると居座る。



「また暗い顔してるのだ、もっと笑った方が良いのだ!」


アライさんが声をかけてきた。

そんなに暗いのだろうか、悩んでないときでも言われる位目が細いだけだから気にして欲しく無いがなぁ。


そんな話は聞き流してくれて構わない。

大事な目的があるからね。



四人に聞いたところ、このクルマはまだ走るらしい。しかもけっこう速い。


「それじゃあさ~、このクルマって子はフレンズじゃなくて機械なんだね~」


「そうですね、クルマって言う機械の1種です。バスと一緒…というかバスはクルマの仲間って奴ですかね。喋ってたのはLBsystem で…ってわかんないか。」


「えぇと、ラッキーさんと同じ声でラッキーさんと同じ種類の仲間…ですかね…?」


いやー申し訳ない。コレけっこう説明難しいッスね。いざ全く知識のない人にそれを教えてあげるってなると難易度高いな…


こうなって来ると一つやっときたいことがある。

「ちょっと調べてみたいんで、おりて貰ってもいいですかね?」


何をするのかと不思議がられたがすんなりOK貰えたので、早速始めよう。


目標もちろんエンジン、ボンネットひらいちゃうぞぉ~…


「うんぬぬぬぅぅぅ…ダァッ!」


「えぇ!?そこがおくち!?」


サビてて手こずるもののがばっとオープン、見た所装置にコレと言った欠損部位は無し。綺麗な物だ。オイルの交換位で十分だろう。


よし、後はコレをどうやって運ぶかだな。


『注意!セルリアン発生!直ちに避難または迎撃を!』


「おっと…どっちだァ?」

『ゲート周辺です、クルマ使いましょクルマ』


「セルリアンなら私達も行くよ!」


「…じゃあ、お願いします!」


5人乗って積載量ぎりぎりっぽいクルマの運転はもちろん俺が


「さぁっ!飛ばしますよぉッ!」



黄金の草原を切り裂く音は勇ましいものだ


________________


「せんせっ、コレ…」


ア”ァ…


受け身を取った狼にアミメの彼女は声をかける、その狼は唸り声で意志を伝える。


紫色にテカる体はギリュギリと呻く、関節らしい関節が無いのにも関わらず動物らしいフォルムを有する。まさに化物である。


風が一瞬なびくたびに狼は吠えキリンはその足で地を掴む。

進みも戻りもしない一進一退の攻防が続く中、無尽蔵なスタミナのセルリアンに二匹は集中力を切らしはじめていた。


「せんせッ!そっちに!」


なんとか身を翻す。

叫んだときがあと一秒遅かったら…

そう思ったときには背後にいるのだ。


「しまった!後ろ…にっ!?」


もう居なかった。


「ドゥルルルァァッッッ!」


大槌をぶん回して突っ込んで来た奴らにバキバキにされていたのだ。


_________


「お二人とも大丈夫ですか?お怪我は?」


「あっ…ア"あぁ。大丈夫だ、バテて来たがね…」


長く戦っていたらしいな、フレンズの体力は基本的にそこらの人間より全然多いのだがそれを凌駕するのはよっぽどだろう。


「後は俺に任せて貰えますか、お二人はなるべく安静にしていて下さい!」


「えぇ…頼むわ。それにしても私がもう少ししっかりしていれば…いや、今は逃げることを優先しろとこの探偵アミメのノウミソが唸ってる…逃げましょうせんせ」




「かばんさーん!お二人にじゃぱりまんをお願いします!ビスケッツのお三方はコッチの協力をお願いしまーす!」


行くぞ!


「うみゃみゃみゃァァァ!」ガッリィィ


流石は猟犬の名を持つだけあるパワーと瞬発力だ!でもこのスピードで突っ込んだら…


「サーバルが跳ね返って来たのだ!」

「じゃあアレの出番だね~、サーバルー、こっちこっちー」


「オッケー!行くよ!」


ふたりは手にサンドスターを纏わせている…

一体ナニを…?


「りうきう式セルリアン撃退法!」

「けもくらべ体当たりだよ~」

「いっくのだぁぁ!サァーバルゥッ!」


フレンズも月までぶっ飛ぶこの衝撃ッ…!

一気にセルリアンをかち割って進むサーバルさんはサンドスターを放出し、ごく短時間の野生解放をしているとでも表現出来そうだ。


「フェネック!アレやるのだ!」

「アレ…ね、はいはーいおっけー」


アレってなんだ?と聞くより見た方が速い。


「サーバル!コッチなのだ!」

「まっかせて~!」


勢いを弱めつつ突っ込んだサーバルさんに弾き飛ばされたアライさんはフェネックさんの方にぶっ飛んだ、そしてそのアライさんを…


「フェネックゥ!サーバルぅ!」

「はぁーいッ…よっとぉ!」


「「「秘儀 アライ・トルネード!」」」


前回転をしながらぶっ飛んでいくアライさん、蹴りを入れまくってセルリアンをガチ割る。


『なにぼさぁーっと見てるんですか!ほらさっさと!はい行く!』


「わぁーったようっさいね!車コッチ寄せてほら遠隔でどうにかして?」


ききぃっと鳴くクルマに手を添える。

…何も移動手段じゃない、逃げやしないさ。


『LINK…TYPE_GEAR!!!!!』


「装着ッ!」


黄色い車がボディにがっしりしがみついて、タイヤやエンジンの一部は武器になって俺の元に飛んで来る。

そう、LBsystem搭載だからね。


「おっしゃぁ!!!!歯ァ食いしばれよォォォォ!!!!」


ブーストっ!

すでに予習して置いて正解だったよ、こいつはバイクよりスピードが出ない代わりに一発一発が重い!さっさと砕くぜぇ…


「ぶち込むぜ!アクセルのビート!」

『前起き長いっ!さっさとやっちゃって下さいよォォこのスカタァン!』


「わかったわーったよ!」


「Burning!!!」

『A.A.A. Accelerator!!!!』


サバンナが焦げクセーイ!!!!

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