ねよう
「…終わりかしら?」
『えぇ…とりあえずこれで全部ですね』
「んがぁ!もう全然わからんのだ!」
「理解しきれないであります…」
みんな脳みそをフル回転させた…が。
ついて行けて無さそうだ。かく言う自分も頭パンパン過ぎて今にもはち切れそうだし…
「確かに怖いが、私達はライブに集中しよう。もう余り時間が無い…ハゥッ」(白目)
「エ"ッ"白目ひんむいてるよぉ!?大丈夫なんですか!?」
「いつもの事だしへーきー」
「平気…なのか…?」
「プレッシャーに弱すぎんだよコウテイはよぉ?」
いやホント平気なんすか…?
「…でも今日は無理そうですね、もう日が陰ってきてますし」
「まだ余裕は少しありますし、皆さんも今日は休んでください。シキさんにビーバーさんやプレーリーさん、アライさんとフェネックさんも休んで行って下さいね?」
「俺は床でもどこでも寝られるし…大丈夫」
「でも作業で疲れているだろう?しっかりした場所で寝るべきだ…」
「疲れって溜まるって言うッス!」
「布団!あわよくばベッドが欲しいでありますなぁ!」
「いや、ホント…」
『奥に部屋があるんでしたよね?』
「えぇ、あるわよ」
「一緒に寝る~?」
「フルルさん!そいつは名案なのだ!」
「おぉ~アイドルと寝られるのか~」
えぇ…
え”ッ”
本気ぃ…!?
「でも…どうやって決めましょうか?」
『クジ引き…というのはどうです?』
「おいタイプツー!いい加減に…」
「マーゲイ、クジ引きなら倉庫に色の付いた棒があったはずよ?取って来てくれない?」
わっかりましたぁ!と飛んで跳ねて倉庫に向かっていくマーゲイさんの後ろ姿を呆然と眺めていた俺の目にはハイライトがなかっただろう…
「あの…本気なの…?」
「あったり前なのだ!アライさんはいつでも本気なのだ!フルパワーなのだ!」
「アイドルと同じ部屋だよ~?」
「興奮しない訳無いッス!」
「わくわくでありますなぁ!」
しばらくしてマーゲイさんが奥の倉庫から帰って来た。手には先の方だけ色のある6色の棒が握られている。
「左奥のプリンセスさんの部屋を赤、一つ手前のコウテイさんの部屋を青、左一番手前のジェーンさんの部屋を緑、右奥の私マーゲイの部屋を黄、一つ手前のイワビーさんの部屋を黒、右一番手前の部屋のフルルさんの部屋を紫としましょう!私が棒を持っているので、一斉に引いて下さい!」
「了解なのだ!」
「シャッフルして…と。よし!引いて下さい!」
仕方ない。やってやろう。
クジ引きならある程度公平だよな?
5人が一斉に息を吸い込み…
「「「「「せーのっ!」」」」」
勢いよく棒を引き抜いたッ!
「紫なのだ!」
「青ッス!」
「赤だね~」
「黒でありまぁす!」
「あ…緑…です」
「…黄色は?」
「「「「「…ないです」」」」」
「じゃあマーゲイさん、こいつ預かってて?」
『えっちょ何おもむろに外してるんです?』
「ダメ?」
『ダメに決まってるじゃあないですか!』
「構いませんよ…」
「ホント?ありがとうございます!」
「個人的に気になるし…」
『え”ッ”』
__________________
少し経って、俺はジェーンさんの部屋に通された。
「何にもありませんが…まぁ寝るだけですし、ゆっくりしていって下さいね?」
「お気遣いどうもありがとう…」
「…元気ないですね?どうかされたんですか?」
いや…
むしろ元気だ。
ピンピンしてる。
その元気をどうにかこうにか抑え込み抑え込み抑え込み抑え込み抑え込み抑え込み抑え込んだ末のテンションだ。
要はハイライトが無い。
今この状況を端的に言うと、
【そこまで親しくなっていない女性と同じ部屋に二人きりでこれから飯食って寝ようとしている】という感じで、
人間の一般社会で行くと大問題過ぎて草も生えない。
「もしかして、緊張してたりしてます?」
「まぁ、それに近いですかね?フレンズには女の子しか居ないから分かんないだろうけど、女の人と一緒の部屋に居るって人間のオスからすると死ねる問題なんですよぉ…」
「へぇ…そうだったんですね…嫌がってたのって…?」
「お察しの通りです…」
「なんか、申し訳ないですね…」
「いや…全然、全然いいんだ…いいんだよ…ジェーンさんが謝る事じゃない…」
元はと言えばあのポンコツが『奥に部屋ってありますぅ~?』なんて言いやがったのが悪い、フルルさんの(タイプツーにとっての)ファインプレーはさすがにびっくりだが。
その後、ジェーンさんの粋な計らいで敷き布団にて一人で安心(しきれる訳では無いが)してすやすやと眠りにつけた。
____________
シキさん…
疲れてたみたいですね…
もう寝ちゃいました…
ふぁぁ…私も寝よう…
寝たい…
寝たいのに…
何故か寝られません…
あくびが何回も出たのに…
あくびの回数でも数えようかな…
自分でも不思議だった。今日昼間昼寝をした覚えはなく、あくびが出るほど眠いが眠り込む事が出来ない。
彼の吐息が気になるのだ。
昔からそうだった気がする。
メンバーと寝るのも緊張してしまう…
「寝なきゃ…ふぁぁ…5回目かなぁ…?」
珍しく敬語を使わなかったジェーンは、棚の中にあったはずのアイマスクを探し始めた。普段使わないが、寝付けないときに付けて寝るとマシになる。
「…無い。こっちだっけ…」
あまり部屋の中を暗いままウロウロすると…
グニュッ
「いっっっでぇぇぇぇぇ!?」
「きゃぁ!」ズッテーン
ジェーンが上、シキが下という構図だ。
いわゆる所、ジェーンがシキにのしかかっている。読者諸君はアニメけもフレ1話の某シーンを思い出して欲しい。
「おっ…俺は食いもんじゃないッ!///」
「食べませんよぉ!///」
ちょっとタンマァ!
なんでこうなったの?
「おっ…おりてぇ!」
「あっ!すっすみません!」
ハァ…ハァ…
「足…踏んじゃってますよね…大丈夫ですか?冷やしたりする必要性が…」
「いや、大丈夫…」
ここで「すっごく痛い」とか言ったら遠まわしに「君踏むんじゃないよ重いんだから…」みたいになる気がして大丈夫と答えた。
「…嘘、目が潤んでます…。氷取って来ますから、出来るだけじっとしてて下さいね…」
正直踏まれただけなので冷やす必要性はあまりないし効果も薄いが、昼間の戦いで足も痛いっちゃ痛い。大人しくしていよう。
少し経ってジェーンさんは俺の足に氷を当てながらいろいろな話をしてくれた。
好きなもの、好きな事、PPPの今まで、新曲の話、ライブの話、メンバーさんの話、どれも面白くて楽しかった。
だが、一つだけ訳の分からない話があった。
「オスのフレンズがいるかもしれない」
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