影を踏む



『…何で生き返ってんだコイツ…タイプツーは引き剥がした…!なんだよコイツ…!』


「質問が一個なのはありがたいなぁ、ほら、お疲れ様でした。」


俺の影からドロドロした暗い色の液体が出てきて体を形作っていく。


『女王…!?貴様っ!』


『言ったよな?ワタシは端からお前に協力するつもりはこれっぽっちも無いぞ、って』


自分からの質問には答えてやらなきゃなぁ、簡単に言えば生き返る事が出来たのは俺が女王になった…いや、ちがうな。女王に俺を乗っ取らせた。コレが正しいだろう。


女王が姉さんを乗っ取った時姉さんは死んで無い。だけど女王は一旦生命活動を止めた。


じゃあ擬似的に一回死ねるじゃーん?



「…って訳さ、どう?科学者にしちゃクソメルヘンな思考回路でしょ?まぁ今時再生医療とか色々あるしやろうと思えばやれるけどね…再生医療って言ってもね…」


『うるさい!てめぇの要らねぇ知識なんて誰も聞きたかねぇんだよ!…ふざけてんならぶっ飛ばすぞ…!』


「…そもそも俺がこんな風になるのは予測済みだ、相手は俺だぞ?判らんわけが無い…オレは相手を確実に締める為にまず外堀を埋める。そして俺を仕留めるべく何をするか、その外堀を使って本丸を絞めるんだよ。」


『さすがオレ…ほら、出てこい…』


ニヤリと笑みを浮かべたオレはズラリとフレンズを並べた。見たことある子も無い子も、ヘラジカ、ライオン陣営の子達も、PPPもグレープさんもレイバルさんも居る。


『…ヤレ、跡形も無く』


アイツは洗脳能力があるのかね…?

答えはNO。


「…耐えろよ」

ライオンさんに。

「…申し訳ないが…頼むぞ」

ヘラジカさんだ。


ここからは…演技だ…


躱し、跳ね返し軽く蹴る。

躱し損ね、攻撃を受ける。

傷の数は俺の方が多くなる。


『…なんだ、それっぽっちか…?』


…ハハハ、狙い通りだな!?


『トドメだ…やっちまえ。』


ジェーンさん…

瞳は虎視、少し潤んだ目が俺を映す、煌めくナイフが俺を捉える。


…来いっ!


グサリと…

腹に…

ささっ…た…!?


「コレを使って下さい。貴方の一番気の知れた相手ですよね?」


なる程タイプツーで…

おかえり。


『なーにチンタラやってんですか?ほら、行きますよ…!』


「腹にナイフを受けてしまってな!死んでねぇけど!!!!!!!」


「『重着…!!!!!!!』」


『…ッダーッァ洒落臭い!なんなんだよお前ら!この状況でおっぱじめろってんのかァーッ!!!!!!!』



今はやる気になれない。妙なもん見せつけやがって…


そう言い放ちアイツは地面に熔けていった。


______________


「シキくぅぅぅぅん!!!!!!!」

ジェーンさんがすっ飛んできた、いろんなフレンズが居る前で。


「…どうしたんですか?いきなり…」


「どうしたんですか?じゃないですよ…シキ君って意外とおバカさんですね…」


低身長な俺とほぼ同じ身長な彼女の顔が近づいてきた。



ファーストキス

いや、セカンドキス?



…コレがファーストキスだろ。


甘くて、ふわふわで、でもちょっと鉄の味のする口づけだった。

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