想いは科学じゃ起きないが奇跡は科学で意外と起こせるっちゃ起こせるらしいけど夢が無いので奇跡は偶然であって欲しい。

シキリアン(あの黒い俺型セルリアン)撃退後、俺達はそれぞれの自宅(としている場所)に帰って行った。


とはいえレイバルさんはともかく男性陣はPPPの楽屋の方へ帰っている。研究所でも良いんだが、ジェーンさんが

「たまにはふたりで…」

なんて誘って来たので喜んでついていく。


水辺のじゃぱりまんは魚を練り込んだタイプがあり、腹を満たすのに一役買ってくれる。


ジェーンさんとある程度話をした。

でも…ごめんなさい、ちょっと眠いや…


___________________


別々の布団を2枚敷いて寝ている私達、ですが…そう、いつも通り寝息が気になって寝付けません。


時間の事を学んだ私には解る…今は恐らく0時をまわっている…


ふと横を見ると、幸せそうににんまりしてるシキ君が居ます。

…少し位近づいても、いいよね?


「失礼します…」モゾモゾ

シキ君の寝ている布団の中に入ってみました…前はシキ君の足を踏んで、ラッキーを喰らっただけでしたが…今は…前と違う…!


にじにじ体を動かしてゆっくり…

ゆっくり…


段々と彼の顔が近づいて、寝息が近づいて、ぬくもりが近づいて…


…まだ起きない…なら…もうちょっと…


もういっその事…ぴったり…


思い切りは肝心と聞きます、抱きしめてみました…


あったかい…

今の季節、水辺は暑くも寒くも無いので私の部屋は軽く風がまわるようにせんぷうきというものを使っています。

ちょっぴり肌寒くもあるこの部屋で紙一枚さえ入らぬ隙間の無い密着をしてただただぬくもりに癒されているのです…


シキ君の心臓は相変わらず平常を保ちトクリとなり続けます。

私の心臓は今にも張り裂けんばかりのスピードでバクバク五月蝿いくらいなのに…

いつもはこんなに鳴らないのに…

ここまでドキドキさせておいて…!

自分だけ知らんぷりなんて酷いですよ…!


「…ここまでしても起きてくれないんですね…どんだけ鈍感なんですか…?」


鈍感な相手には…

本で読みましたよ…!キスしちゃえって!!!!!!!


でも…ゆ…勇気が…ァ


~~~~~~妄想~~~~~~

『何言ってるでありますか!相手は相思相愛、心を許し合った彼でありますよ?キスはただの挨拶であります!』


「そーゆー問題じゃないですよ…相手は寝てるんです…起きちゃったら不安だし…でも背徳感も感じてみたいです…!」


『相手はねぼすけさんでありますよ?おはようの挨拶をしてあげるのはむしろ良いこと、永遠の眠りから覚めてくれるのでありますよ?』


「なら…!心の軍曹プレーリードッグさん…貴方にGOサインを貰えば行けるかもしれません!」


『任せるであります…!』


『「突撃!」でありまーすっ!』


~~~~~~妄想終わり~~~~~~


…ちゅーっ

シキ君の唇は…意外と柔らかかった…


「…ん…ぁジェーンさん…!?」


起きちゃった…けど

…もう今更!!!!!!!

抑えられる訳無いじゃ無いですか!


ジェーン!行きまーす!


「私…もうずっと…ずっとずっと我慢してたんですよ…?シキ君ずっと忙しそうで…邪魔しちゃ悪いなぁって…でも甘えたかったんです…!こうやってぎゅーってして…シキ君の優しい表情に甘えちゃいたくて…一緒に居ると安心するんですよ…私達もう赤の他人同士じゃないですよね…ふたりっきりです…キス…くらい全然良いですよね…?抱きしめても…良いですよね…抱きしめてくれても…」


いい…よね…!


可笑しい。頭まわんない。

シキ君がなんか言っているけれど何故か聞こえない。


…ま、いいや。

次は舌もいれちゃえ…




二人の唇が重なった瞬間から…

吐息が熱くなり…互いに顔を紅く染め…

蕩けた自らの意思を保たせるため互いが互いを求めて…


「好き…シキ君…だいしゅきですよ…好き…一生…夫婦ツガイですよ…一緒…」



…一緒ですよ///




今まで一緒に居られなかった時間を埋めるように…ふたりっきりで絡み合った。





___________________





「寝ちゃったか…フルルちゃん」


すやすや眠る彼女の顔を眺める。

手を握る…

なんだろ…懐かしい感じだ…


思い…出しちゃった…


_______


「フルル!…おい!フルル!しっかりしろ!…頼む!フルル!起きてくれよ…」


フルル…!

起きてよ…!


あぁ…クソ…なんで!


…ッ!!!!!!!

「セルリアン…お前のせいで…ッ!!!!!!!」


ぜってぇ許さねぇ!

絶対…ッ…絶対…!


ドッゴォ!


「グボァッ…ゲホッ…ガァッハッ…!」


駄目だ…腹に喰らっちまった…!


あっ…!てめえ何処に!


「ま”てよ”ぉっ!貴様ァ“ァ”ァ“ァ”!!!!!!!」


 もう良いよ…!

 ”ボルト”…!



「フルル!?大丈夫か…!」


 ごめんなさい…私の不注意だった…


「そんなんじゃ無いよ!…僕が…守れなかったんだ…護ってやれなかったんだよ…!」


 …こんな時まで自分を責めないでよ!


「無理言うんじゃない…!そんな…目の前で…嫌だよ…!フルル…!なぁって…!」


 …私…ボルト君の隣にいれてよかったよ


「ふざけるな…!まだ終わりじゃ無い!」


 無茶言わないでよ…

 もう…意識が遠くに行ってるんだよ?

 

 ねぇ、ボルト君…

 ボルト君の事、私忘れちゃうと思うけど…

 君は…忘れないよね…?


「当たり前だよ…忘れるもんか…」


 最期に私の…

 最後のわがまま聴いてくれない…?

 

 形が違っても…記憶が無くても…

 私は君と一緒に居たいよ…

 

 だから…

 動物の私にサンドスターを当てて…


「…わかったけど…わかんないよ…」


 …そうだよね…だけど…

 私は別のフレンズみたいになっちゃう…


 だから…

 違う名前で…強く生きて!


 …一緒に…ずっと居たいの。



 最期まで面倒くさい私でごめんなさい…

 大好きだよ…ボルト君…


 いや…”グレープ君”!


「ホントに…面倒くさいなぁ…」


…最期まで

一途だったな…


次会うとき…大好きって言ったら


フルル…なんて言うのかな。


______________


…サンドスターをあてて…と。


…フレンズってこう産まれるのか。



フワァア


「…あれー?ここ…何処?君は…?」


「僕はボ‥じゃない、グレープって言うんだ!はじめまして…よろしく!」


「グレープ…君?」   


「うん!グレープって言うんだ!」


「あれ…おかしいなぁ…なんで…目からお水が出てくるの…?グレープって聴くだけで…胸が苦しいよ…」


「…!?フルル…!フルルなのか!?」


「…私、フルルって言うんだ…」


「…あっ…そっか、そうだよね…」


「…」ハグムギュー


「んな!?」


「…なんでなのかわかんないよ…わかんないけど…私、グレープ君の事、ずっと昔から…ずっと一緒に居た気がする…だってハグしたら…今ハグしたら安心したもん…わかんないよ…なんで…?」


「グレープ君…」

 「僕「私と一緒にいてくれませんか?」」

「フルル…」



______________



…フルル…大好きだよ…

あとな…

変わってもフルルはフルルだったよ…!


「なんで泣いてるの…?」


「あれっ!?フルル…!寝たんじゃ…?」


「その呼び方…昔の事思い出してる…?」


「…うん。その通りだよ」


「…大好きだよ…グレープ君…いや」


       ”ボルト君”


ほら…全然変わってない…


「…グレープ君、今日はちょっと…いや…たぁっぷり甘えちゃいたいなー…///」


「…たまには僕も甘えたいよ…フルル…」


記憶が断片的だったフルルちゃん…


だけど…その記憶は消えきってなかった。

パズルのピースみたいになってた記憶を全部かき集めた。


わかってくれた。

居なかった…そんな訳じゃない。

ずっと居たんだ。

だからずっと…隣に居る。


「わがまま…叶っちゃったね…」



「好き…大好きだよフルルちゃん…ずっと一緒に居ようね…」

「もちろん…今度はしっかり護ってよ…?」


…言われなくても、やってやるさ…!



その晩、僕たちは互いを癒すようにゆっくりじっくり絡み合った。

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