ただの人間

カレーは美味しい。

多分そんなクソくだらない事を脳裏に浮かべ口内へ茶色く濁るおどろおどろしいものをむさぼって居る。

そんな風に見えるかもしれません。


ですが我々、いや私は高速で脳内を高速に回転させ、美味しさの秘密に迫ろうとしているのです!


…なんて考えているのかなぁと口に運ばれていくおかわりカレーを眺めていた。


どうも、シキことリネンです。


『…平和ですね、あれからしばらく』

あれから、というのは姉さんとの再会以降である、どうやらフィルターの機能を調整出来るチームと、姉さん達研究者グループに分かれている…らしい。


「やっほシキ君、調子は良いかい?」

「あっグレープさん、お陰でバッチリっすよ」


___


あの二人が仲よさそうでよかった…

あっ…ど、どうもカコです。


タイプツーの動作も良さそうだ…けれど。


リネン…それを使えるということは…

私の考えていた事は正しかっ…た…?


「ねぇ、リネン、グレープ君、話があるの…聴いて貰える…よね?」


「話って何さ?急に改まってらしくないね」

「カコさん、何か僕らやらかしてます?」


「じゃあ…長いけど聴いてね…?」



____


LBsystem Type 2

タイプ1、タイプ3の開発中に副産物として生まれた戦闘機能を極限まで高めてサンドスターの能力を最大規模まで活かせるシステム


そのシステムには、「Version」がある。


初期段階ではサンドスターを上手く活かそうと戦闘機能だけを考えて造られていた。

だが、サンドスターを最大限度扱う為、サンドスターをタンクに吸収し続ける事、サンドスター・ロウを吸収、浄化出来る代わりにフレンズに悪影響を与える等の欠点があった。


それを改良し、サンドスターを動力として動く装置を装着出来るようにした物が、

LBsystemType2 version1.


更に改良を重ね、タイプ3との結合、連動を可能にした物がLBsystemType2 versionNext


だが、改良品は安全性を重視したためか単純な火力では改良前より低下していた…


そこで…

サンドスターの影響を受けない者が使う事が考え出された。

改良したのは、より強いフレンズが居ればセルリアンの被害状況を抑えられる…

そんな考えだったから。


それが今シキの付けている、

LBsystemType2 version0


______



「…リネン、今自分が使えてる理由は判るかしら?」

「そこまで阿呆じゃないよ、俺が使えてるのはサンドスターもサンドスター・ロウの影響を受けない”ヒト”だからでしょ?」

「そして僕が使えてるのはそもそもversionが違うから…ですよね?」

「…バッチリね」


姉さんは一息ついてからこう言った。


「…このシステムは、私発案なの…悪用されないようにしたし、今この世にあるのはリネンのversion0、グレープ君のversion1、そして…」


「…ワタシのこれです」

ヌゥっと地面を滑る影に驚いて前を見ると…


サーバルさんにどこか似た風貌のフレンズさんがいた。

後ろには白衣を着た真面目そうな大人の人が数人、その内一人は蒼いお守りを付けてる。

しかし皆さんお若い。


「…カコさん、このしゃべり方疲れるから素で良い?」

「…まぁ…いいよ」


「ありがとう!と言う訳でサーバルって言います!よろしく!…ってそっか、あの子と被っちゃうんだった!…えぇと、Leptailurus serval(レプタイルルスサーバル)の、レイバル!改めてよろしく!」


明るく光る彼女の瞳は、俺の顔を曇りなく映していた。

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