噴かせエンジン
んっんー!我ながら格好いいねぇ?
エンジンが高速で回り続けるこの様よ、自分でも惚れ惚れしちゃうよ。
「…マジかよ…」
「はいはい、ぼさぁーっとしてないの。目の前に天敵居るんだかんね?」
「あっ…そうですよね、俺右やります」
「左は任せろ~!」
「ヌングッ!相変わらず固いなぁ…」
『シキ、ブレードじゃ無理がありますよ、ハンマーに戻して戦いましょうよ!』
「あれ重いし!ガード出来ないから!」
『弱いですねぇ…あれ位ヒョイッと…』
「ウルセぇポンコツ!」
『合理性に欠けます!…あぁもう良い!ハンマーにチェンジ!』
「えっ!?ってオイコラこのポンコツ!あぁ重いんだよクソ!あぁもう良いよ!これでやってやるよオラァ!」
パパパッパッカーン!
右は賑やかだなぁ…
って、こんな事考えている場合じゃないか…
どうにも気が散ってならない。
五月蝿いだけじゃない。
何故あんなにも「タイプツーシリーズ」を使い熟せるのか。
彼が純粋な人間、ヒトとして存在しているから?いや、ヒトでも使い熟せるには相当な訓練を要する。サンドスターの影響は愚か、サンドスター・ロウの影響も見られない…
彼と僕は同じ「例外」なのだろうか…
それとも僕と違う「例外」なのか…
タイプツーのシステムバージョンか…?
どうなんだ…?
いや、今はいいか…
「ふんりゃぁ!」
ばごぉっと重々しい音を立て崩れていくセルリアン、あとは奥にいる大きめサイズの触手持ちだ。彼は…
「イッテテ…なんだコイツゥ?かなり速いスピードでちょこちょこ動き回るし跳ぶし…」
「大丈夫か~い?…って聞くまでも無さそうだけどねぇ~!」
「あっグレープさん!ちょっと!ちょぉっと手伝って…!お願いします!」
「言われなくてもやるよ!さぁ掴まって!」
「急になにを…」
「いいから!はーやーく!」
言われるがままにグレープさんの背中に掴まり、少し待つと、「じゃぁ行くよ!」と声がかかり、エンジンの音が響く、臭いが辺りにふわふわと漂って行く。
刹那。
目の前にいたセルリアンや生えていた木々や草花、見えていたあの山が。
消えた。
そして脳の処理落ちに追い打ちをかける目に飛び込んできた景色達は、
蒼い空、白い雲、煌めきを立てる太陽だ。
ORE・イン・ザ・スカイ
「あっ…えっ…」
「シキ君!トドメは君だ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」
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シキ達が飛び立つ前…
久しぶりだが…やってみるか。
そう決めた飛べないはずのペンギンの背中にシキをのせ…
言い放った。
「エンジン全開っ!」
噴かす!噴き出す!
飛ぶ。
飛ぶ。
鳥の飛行ほど優雅な物じゃない。
ビュンと風を切り飛ぶ姿はまさに生物兵器の名前がぴったりだ。
吹き出す高温の
揚力を生み出して飛び続ける
要するにジェット機とほぼ一緒で、勢い良く背中についたマフラー(だった部位)からジェットを噴射し、反動で勢い良く飛び出したのだ。
そもそも、飛べないペンギンは居ないからね
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じ、地面だって!
水じゃないし、この高度じゃ全面コンクリートみたいなもんだよ!
あぁぁぁぁオレ高い所嫌いなんだよぉ!
…つーかさぁ?
ト!?トドメと言われましても!
セルリアンに向かって一直線に真っ逆さまだぞおいぃぃ!!な、なんかないか!?
『フレンズのサンドスターを使ってはどうです!?』
「あ、あぁわかった!」
なんか適当に…選んでセット!
『セット!フンボルトペンギン!』
飛べないィィィ!!!滑空も出来ねぇ!
ハズレ引いた!やだよ死にたくねぇよぉ!
こうなったら…
「セルリアン!クッションだ!お前がクッションになるのだ!たぁーっ!」
『フンボルトナックル!』
落下の勢い、フンボルトペンギンの元々のパンチ力の高さで、ぎゅむーっと潰れて…
パカッーン!
助かった…ぁ
「あぁ…し…死ぬかと思った…ぁああ…ぁ」
シュボボボ…
「お疲れー!空はどうだった!?」
「どうだったぁ?じゃないよ!死ぬかと思ったんですよぉ!?」
そんなオレに、グレープさんはグッッと親指を立てて、
「NICE FLIGHT!よくあそこからやったね?さぁ、海岸まで急ごう?」
そう言いバイクに戻っていた装甲に跨がりこちらを見ていた。
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