ちぇいさー
「あぁーやっと休めぅ…」
図書館の奥の部屋にあったベッドを借り、
いつもの情けない声が出る。
近頃、砂やら土の上でしか眠れていなかった為、体が楽で仕方ない。
長さん達はフクロウのフレンズらしく、樹上生活の名残か、ハンモックみたいなもので
寝ているようである。よって、このベッドは使われておらず、使用を許可された。
コンコン、とドアが鳴る。
「ぁーい…」
「今、入ってもいいですか?」
「ぁ・・・。んまぁ、いいっすよぉ…」
かばんさんだ。
超失礼な態度だが、眠気がヤベーイのだ。
「おにぎりのレシピ、一通りお教えしたつもりですけどぉ…」フォァァ…
「…睡いんですか?」
えぇ、とっても。
「ふぁい・・・」
「…後にしますね?」
「あざぁす…」
キキキ…パタム
自分の体温で暖かい布団に再び潜り込む。
ちょいとホコリっぽいが、
あまり気にならなかった。
____________________
「いよーし!としょかんに着いたのだ!」
「疲れてないー?」
「フェネックは疲れちゃったのか?」
「んまぁちょっとねー」
シキさん…
無事だったのだろうか…
私達二人は、
シキと呼ばれるヒトの為、ここのとこかいがんの探索をしていた。
為、とは言ったが、正直言うと私一人の興味本位でやっていたに過ぎない。
まぁ、面白い物も見つけられたし後悔はしていない。
ふわりと、懐かしい匂いがする。
香辛料の匂いが鼻をくすぐり、木のパチパチと燃える音が聞こえた。
「アライさーん、これもしかするとかれーにありつけちゃうかもよ~?」
スンスン、と鼻をぴくつかせるとアライさんが、
「なぬぅー!?」と叫ぶのと、向こうで食材調達やら、ご自慢の爪を使いこなし食材を切っているサーバルがこちらに気付くタイミングが見事に被った。
____________________
コンコン、と再びドアが鳴る。
「入っていいかな?」
サーバルさんの声だ。
「いいっすよぉ…」
寝ぼけているのだ。まぁ間抜けな声だ。
「もうすぐご飯だよ!」
ご飯か…そういや今日一日なんも食べていなかったっけ。
「ゴチになります!」
「ご…ち?よくわかんないけど…食べるよね?」
「あっ、うん。行きます…」
わからんわな、そりゃ。
____________________
「シキちゃん呼んで来たよ!」
とぼとぼ歩いて皿の並んだ机に着く。
「おはようございます…」
「おぉ!?シキさんなのだ!」
「ちゃんとたどりつけたみたいだね~」
何のフレンズさんなんだろうか…。
片方の子はおっきな耳、もう片方の子はつり目が特徴的で、のほほんとした子と横着そうな子だ。
「フレンズは女の子しかいない」
昼間、図書館のごつい本を何冊か読んだのだが、うれしいやらうれしくないやら、
男の俺にはかなりのハードモードだ。
「俺はシキ。まぁ、よろしく。」
「アライさんはアライさんなのだ!」
「フェネックだよー。」
「アライ…?アライグマ?」
「そうなのだ!」
「よろしくお願いね。二人とも」
ん?いい匂いがするぞ…?
「カレー出来ましたよ!」
おぉ、カレーかぁ。
手作りカレーはうまかった。
久しぶりにまともな飯が入ったので胃が驚かないといいが。
____________________
「おーい」
食事後、ぽけーっとしてたら声をかけられた。
フェネックさんか。
「やーやー。」
「なんか用ですかい?」
「んーちょっとね。」
ずいっと彼女が顔を近づけてくる。
「…なんか付いてる?」
「その逆。君、ヒトだよね、やっぱり」
この辺じゃぁ珍しい…のか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます