つかえない

「ぜぇぜぇ…うぐ…」

か弱い声を上げてアライさんは地面に倒れ込む。


「大丈夫!?アライさん!」

いつものフェネックさんじゃない…

その顔には不安と心配、焦りが見える…


「なぁ、システムツー…」

『…はい』

「いろいろ質問したいんだ…良い?」

『はい…』


…ポンコツって言ったの根に持ってるのね


「まず一つ、アライさんはなんでああなっているんだい?」

『我々LBsystemは、フレンズではなく、あくまで人が使用する事を想定されています。というのも、サンドスターを回収し攻撃能力等に変換する本システムの都合、サンドスターを自動的に回収するため、自らサンドスターを生成し、貯蔵するフレンズに装着されると、フレンズのサンドスターを吸い尽くしてしまおうとします。装甲のはずし方が分からないと、そのままサンドスターがなくなります。今回のように、装甲を装着した場合のみ起こる現象なので、極めて稀ですが。』


ヒャーオッカネェ!

周りに使用者がいたから良かったが…

グローブのロックをキツくしとかなきゃ…


「んじゃ次、どうすればアライさんの容態は回復する?」

『タンク内のサンドスターを対象に向かい放出して下さい。フレンズの怪我の殆どは、サンドスターによって回復できます。』


なお今回はサンドスター欠乏症と呼ばれる状態らしい。まぁ貧血みたいな物という解釈でいいらしい。


『サンドスター放出開始…』

「ん…なんなのだ…?」


しばらく手を当て続けていたらアライさんはピンピンし始めた。



「大丈夫なの~?アライさ~ん?」

まだ少し不安そうだ…


「んーなんか良くわかんないけどアライさんは元気なのだ!ちょっとお腹が痛いけど…」



「あんまり無理しないように。あと、もうこれ触っちゃ駄目だよ?」

「ごめんなさいなのだ…」

「よしよーし」


「もう一つ質問するよ」

『なんでしょう』


「サンドスターロウは何に使うの?」

『…』

「あ、もしかしてインプットされてないかこの質問の答え…」

『実際にやったほうが早くすむとは思いますが…一応解説しますね。』



『サンドスターロウの使い道、それはサンドスターロウをサンドスターに変換するという事です。』


「つまり?」

『サンドスターロウをサンドスターにする、といえばいいのでしょうか。』


『後は…また今度解説しますね。恐らく解説してもさっぱりだと思います。』


「ざっくりでいいから教えてくれない?」


『ざっくり…ですか。まぁ、フレンズみたいになれるよ、って感じです。』


余計に気になる…

が。


とりあえず今はPPPの方々に差し入れを届けねば…


ん?

あぁ…チラシ配りやりながら会場めざそ…

重いんだよね結構…



鞄という名の網の寿命が尽きるのはそれから間もなくだった。

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