十二山中学校駅伝部戦記二〇〇〇

　時は世紀末・西暦2000年の秋。とある県庁所在地、その最北部。平野の北の終端部にして大きな山の麓に位置する、市内最北にして最小規模の中学校・十二山中学校。市駅伝大会を翌日に控えたその時、駅伝走者に対する攻撃を示唆する謎の文書が陸上部部室で発見された。
　その年は例年にない3年生の部員不足、また部員に降りかかる命の危険、おまけに顧問を含む教師たちにまでも及ぶ不可解な人事や処分と、駅伝部発足当初から、幾度も大会出場の危機が降りかかっていた。大会出場のために奔走し、異変を究明する駅伝部員たち。明らかになっていく、過去の事件と、その年の駅伝部に襲い掛かる災難との強い関連。情報を集めるうちに浮かび上がる人物。

　だが相手は、市はおろか県でも力ある一族の一人。全てを己が一族の権力でねじ伏せてくるだけ…続きを読む