第2区 生徒会役員選挙の件 17. 雪辰龍ノ介④

-2000/10/09 AM10:46 大橋下南側100メートル地点-


結局ここまで中継直後から数えて8人に抜かれており、トップとはどのくらい離されているのかわかったものではない。

ただし、もうすぐ要注意ポイント・大橋下がある。そこで僕がうまいこと持てば、後は順位をあげていくか、現状の順位を維持しつつ差を縮めるだけになる。逆に僕が持たなければ、これまで通りずるずる抜かれていくだけとなってしまう。


そして大橋下を一気にくぐる。残り1000メートル地点。ここからペースを少しずつ上げていく。前との差は詰まる。一方、後ろからはまた抜かれるので順位はさがる。


ここからが勝負どころである。ペースを上げる。相変わらず小幡中は目の前にいる。

小幡中も同じことを考えていたのか、ペースを上げてくる。弥栄中のユニフォームも見える。

そのままペースを上げるも、差がわずかに縮まる程度だ。ゴールまでこの調子が続いてしまうのか、と思いカーブを曲がる。

目の前に団子ができているのが目についた。集団の先頭は刀根中。人数から逆算する。これは6位集団。

少なくとも、この集団にさえついていくことができれば大幅な遅れは回避できる。そのままその集団についていく。競技場が見える。南側のゲートから競技場に入る。タイガーが見える。タスキを渡す。タイガーが「よく凌いでくれた」と声をかけたので「頼む」とだけ残し、見送る。


順位は11位。トップとの差はわからないが、6位・刀根中との差はあったとして5秒程度だ。一番の懸念先である、小幡中の林に至っては僕の目の前3メートル程度、差は1秒未満だ。

しのげるところまではしのいだ。付き人をしてくれていた若猪野一族嫡男・短距離と砲丸のイノイチがこっちにくる。双子の弟そっくりの体格である。他校は大戦力の大半を消費しきった以上、ここからが十二山の勝負所だ。タイガー、後は頼んだよ。


そして、ゴズは無事なのだろうか。

無事であることを祈る気持ちに変わりはない。


イノイチが言うには、ゴズは無事。

そして、オレも無事。


両者ともに無事であり、

かつこの後に何もないならば、

あの書状は何なのか。

一体何が起こるというのか。

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