第2区 生徒会役員選挙の件 11. 生徒会役員選挙➁
その間、新人戦や記録会が週に一度のペースで開かれていた。新人戦は県を3つの地区に分けて行われた。
僕は3000m競走でなんと2位入賞、タイムの方も自己ベストの9分35秒を切ることに成功した。
タイガーやメグら、陸上部以外の部活のメンバーは、本来所属している部活の大会がない時に参加していた他、イノブタに至ってはほぼ毎回参加しており、9月半ばの時点で10分を切ることに成功していた。
長距離走をまともに始めて間もないのにこの調子なら、市大会では9分50秒程度であれば余裕をもって切れると僕は確信した。
ただし、懸念事項もあった。他校のレベルが、ペガサス先輩が予測していた以上に高い水準に収まる可能性があるということだ。特に、中央中の本多さんや小幡中の風間さんの復活が、想像以上に早かったことが大きい。
「全員が9分50秒を切っても、県大会はおろか入賞さえもできない可能性があるぞ」
厳しそうな表情で、ペガサス先輩はそうつぶやいていた。
試走にも行った。県庁までは歩道もあり、かつ途中に信号で止まる場所はないので、タイムも本番に準じたものが測定できる。
コースは競技場と県庁の間を往復するといったもので、片道約3kmとなる。女子の場合は、2区から4区の計6kmを三等分する形となり、県庁から2km地点が中継所となるのだ。
男子の1区・3区・5区や女子の1区・4区は南に向かうため追い風が吹く区間となるはずだが、昨年二軍で走った感触では、河川沿いであるためそれでも向かい風は強かったように思う。
それとは逆に男子の2区・4区・6区や女子の2区・5区は強烈な向かい風になることは容易に想像がつく。
今回は初めての試走ということもあり、男子は県庁から競技場まで、女子は県庁から2キロメートルの中継所と目される地点まで走行を行う。
9月初めのこの時期でも、山から下りてくる風は十分に感じることとなった。秋が深まるにつれて北風は強くなる。吉と出るか凶と出るかは大会次第だ。
全員のタイムは以下の通りである。
男子 3000メートル:
ペガサス先輩:8分56秒
ゴズ:9分40秒
イノブタ:9分58秒
リュウノスケ:10分3秒
タイガー:10分9秒
ゴクウ:10分10秒
女子・2000メートル
ネズミー先輩:6分31秒
ウサ:6分48秒
ニワトリ:7分1秒
ワンコ:7分5秒
ヒツジ:7分9秒
オロチ:7分10秒
男子はすでにある程度の練習をしている僕やペガサス先輩を除く三人のタイムが見事な上昇を見せていた。
試走でもイノブタは10分を切り、リュウノスケやタイガーも10分を切りそうな勢いである。ゴクウはタイムでは六人の中で一番遅かったものの、伸び幅も大きく、途中転倒したにも関わらずタイガーと大差ないタイムとなっていた。
女子についてはネズミー先輩とウサを除けばほぼ団子状態で、中でもニワトリの勢いはすさまじかった。もともと文化部であっただけに、練習を数か月するだけでここまで伸びるのか、最初から運動部だったらどうなっていたことか、と考えていた。
そして二回目の試走を生徒会選挙後の土曜日と設定し、生徒会選挙後の試走を持って区間を決める運びとなった。女子の場合、一人だけ走れない選手が出ることとなるが、端からそれは全員が承知していたことであった。おまけに、だれが出てもおかしくない状況だともいえた。
他の部活の新人戦も十分な結果であった。タイガーは剣道の市大会で優勝、県大会準優勝という凄まじいものであった。
オロチも卓球の団体で市3位、県8位での入賞を果たした。そしてメグは競技人口の関係でいきなり全県での大会となり、3位の座を得て戻ってきた。
他の2人はともかく、メグの場合は目立った成果を上げた以上、駅伝部に残る意味が無くなるというのが懸念事項であったが、彼女曰く「始めた以上は途中で投げるわけにはいかない」だそうである。
ニワトリの方は秋のコンクールで銀賞であったようだ。悔しそうではあったが、駅伝で戦えれば大丈夫、とも言っていた。
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