概要
地には毒素がみち、珪素と重金属に蹂躙されていた。
地獄のような環境で、人類は〝神樹木〟と呼ばれる存在に頼り、わずかな日々の糧を手に入れていた。
荒野をいく影はふたつ。
ひとつは巨大な棺桶を背負う、牧師のような長身の男。
ひとつは小柄な、長い銀髪の少女。
少女を人間にするために、彼らはいかなる手段をもってしても請い求める──奇跡の結晶〝星の雫〟を!
少女の暴力が、殺到する屍人の群れをなぎ倒し、
男の構える棺は変形し、銃弾をばらまく!
これは──楽園に終止符が打たれるまでの物語。
超高濃度の、ハードボイルドSFアクションをあなたへ!
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!六回読んで、なお面白い。
本作は「傑作」だ。読むかどうかを迷っているなら、その時間がもったいない。最初のページをクリックしてしまおう。
謎めいたプロローグを頭の片隅に入れつつ、まずは第一話だ。
文明が崩壊し、奇病が蔓延する世界。ただ一つの希望「星の雫」を追い求め、男は荒廃した星を往く。巨大な棺桶を背負い、傍らには無表情な少女を従えて。
さあ、貴方はもう戻れない。
ここに描かれているのは、度外れたスケールの滅びと再生、世界の終わりと始まり、身を焦がす深く切ない愛だ。
彼らの苛烈な戦い、入り混じる愛憎、そして過酷な旅路の果てを見届けるまで、読む手を止められなくなる。
散りばめられた全てのピースがはまる時、貴方は頭の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!願ってはいけなかった『愛』の物語
文明や倫理や活動体が大きく異なる島を渡り歩く、謎ばかりの男と少女。
二人は壊れかけの世界のなか、何を求めてどこへ行くのか。
情報処理工学やまだ見ぬ先進医療科学的な描写と、古代からの神話や天界階層をイメージさせる設定が融合していて、硬派な大人の男性向けに執筆されたのが女性の私にもよくわかった。
けれど、熾烈をきわめる戦闘を乗り越えた物語の最深部にあったのは、痛いほど純真な愛情だった。
あなたのために。
おまえでなければ。
かけ離れているお互いを思っての感情のぶつかり合いは激しいのに、どこか夢見がちで女性向けの恋物語の様相を帯びて胸に響いた。
最後まで一気に読みきって、二人がとても愛おし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!私、レビュアー《ジョン・ケージ》になります
ご存じですよね? ジョン・ケージ。
いわずと知れた、現代音楽の巨匠です。
代表作『4分33秒』は、そのあいだ
オーケストラの演奏者たちは何もせず、
ひたすら無音が続くという曲です。
本作を読んでいたとき、私のなかに
この曲が聴こえてきたのですよ。
え、ウソだろ、ですって?
ホントです。私には「聴こえた」のです。
さて本作。
すごいです。雪車町地蔵氏は、やりました。
「なんてモノを書きやがったんだコノヤロー!」
とビートたけしの声で叫びたいぐらい。
でも本当は、私は声を失ってしまいました。
そして4分33秒の沈黙の後で、明快に悟ったのです。
余計なレビューなんか、本作には不要だ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この終末の世界を、青年と少女はいつまでも旅立つ。
退廃し、何かも失ったこの世界。そんな世界の中でも、『星の雫』なる希望を探そうと旅をする青年と少女の物語。
まず世界観が濃厚! どこまで練られた世界観故に、文章から重厚さが退廃さが感じられる。読めばポストアポカリプス――終末の世界にいるんだなと実感します。
そしてそんな何もかも終わった世界で、ゲオルグとツェオを始め、色々なキャラが生きようとしている。例え間違っているとも言われようがそれでも想いを胸にして生きている。それがまた、この世界の中で輝いている感じがあります……。
果たしてゲオルグとツェオの旅に終わりがあるのか。幸せがあるのか。それは読んでのお楽しみという事で……。 - ★★★ Excellent!!!そこにある世界を、徹底的に破壊する快楽
本作に無数に存在する魅力のうち、特に感銘を受けた三点を挙げさせて頂きます。
まず一つ目は、冒頭からこれでもかと見せつけられる、徹底的に練り上げられた世界観。
退廃的かつ、世界構造そのものから変質してしまった世界を、重ね重ね、繰り返し丁寧に描写することで、読者に世界のルールと本作の読み方をしっかりと伝えてることに成功しています。
そして二つ目。物語冒頭で確立された世界観が揺らぎ、変節していく様が、物語中盤では流れるように描写されます。一度完全に確立されたはずの世界観が一気に不安定なものとなることで、物語の続きを読まざるを得ない状況へと読者を追い込みます。
そして三つ目。中盤でバランスを失…続きを読む