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- ★★★ Excellent!!!人はなぜ遊ぶのか、人はなぜ生きるのか
未来の世界の未来のゲーマーの語る未来のクソゲーたち。ハチャメチャなアイデアに満ちた未来のゲームを語りながら、そのゲームの背景としての未来の歴史、未来の風景も描写されていく。ゲームレビューという、読者への負荷の軽い文章形式で、バカSF、パロディSF、文明批評SFのような楽しさをしっかり味わうことができます。
そして、笑いながら読み進めていくにつれて浮かび上がってくるのは、語り手自身の、ゲームしか生きる目的を見出だせなかった一人の老人の、孤独な生涯。後半は、ゲームレビューがさながら闘病記のような様相を呈し始めます。
「人はなぜ遊ぶのか」「人はなぜ生きるのか」。そんな二つの問いを、架空のゲー…続きを読む - ★★ Very Good!!想像が広がる作品
決して軽いとは言えない、どちらかといえば重さのある文章ながら、ついつい読み進めてしまう。
世界を作るのに一から十を全て書き連ねる必要はなく、あくまでレビューサイト形式を崩さない語り口が心地よい。記事の周辺を彩るるニュースや歴史的な出来事の説明もまた、ゲームと世界にほどよい存在感を与えている。
扱うものが低評価のレトロゲーというだけに、当然それらはどれもそれなりの問題点を抱えているわけで、そこから見えてくる愛や混沌、時代の流れ、アホらしさや業の深さがまた趣深い。
気軽にさくさく読めるエンタメ性というわけではない部分が個人的な好みと若干解離しているため星2としてますが、良作です。 - ★★★ Excellent!!!奇妙で、おもしろい。そして、せつない、衝撃的傑作……!!
架空の書評というとボルヘスの短編やスタニスワフ・レム『完全な真空』辺りが思い浮かびますが、架空のゲームレビューとは……まずは設定の勝利。
かつて伊集院光のラジオ内に「3点ゲーム」という架空のクソゲーレビューのコーナーがありましたが、ああいう小ネタ的面白さを期待して読み始めるうちに、この話がそんなレベルを超越していることに気付かされます。自分はすっかり本作を見誤っていたのです。
面白いだけじゃありません。
この物語は、泣けるのです。
糸井重里の傑作ゲーム、バス釣りNo.1……じゃなくて、ええと『MOTHER』シリーズ3作のキャッチコピーを噛み締めつつ。
エンディングまで、泣くんじゃない。 - ★★★ Excellent!!!まだ見ぬ昔、懐かしい未来。
書籍化、おめでとうございます!
表紙に惹かれ、手に取りました。
レトロゲームのレビューなのに、紛れもないSF。SFなのに、確かに今と地続きの100年後の未来。
自分のゲーム歴は、『ドラクエ』とか『FF』とか最初の方をちょっと触った程度(最後にクリアしたゲームは『クロノ・トリガー』)。なのに、読むのをやめられない!
ゲームに夢中になって遊んでいるうちに、気がつくと100年の時が過ぎて、まだ見ぬ昔を思い出しているのです。
★3つでは全然足りません!!
近所の書店で探して見つからなかったので、取り寄せてもらいました。お気に入りのゲームのように、手元に置いて、何度も読み返したくな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ゲーム、そういう切り口もあったか!
二度目の心臓交換と人工小脳交換のための入院の際にこのレビューに気付き、投稿した次第であります。いまだ物理的な端末からアクセスにこだわる懐古老人故に半ばまでの感想ですが、どうかお許しを。
さて、21世紀を振り返ると故レイ・カーツワイルの系譜に代表される「人工知能」の世紀、ウィリアム・ギブスンやウォシャウスキー姉妹らに影響を受けた「拡張現実」の世紀という見方が主流となっており、当時描かれたサイバーパンクもそういう視点からのものが多かったように思います。若い頃、若年性糖尿病(まさか特効薬があんなに早くできるとは!)を患った反動で、無限の速さで進歩するコンピュータに期待を寄せていた私も、そういっ…続きを読む