The video game with no name

作者 赤野工作

1745

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★★★ Excellent!!!

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人間は喜劇を求め、実際世の中には喜劇こそが大量に存在する。
ならば悲劇は求められていないのかといえば、歴史上には名高い悲劇の作品が多数ある。
何故か?

その回答は色々あるだろうが、私はこう思う。
喜劇は消耗品だ。クチコミで広範に広がり親しまれ続けることもあるが、基本的に消費されて終わる。
しかし、悲劇の物語は消耗品ではない。
喜劇をスナック菓子とするなら、悲劇はむしろ毒薬である。
食らってしまった読者の心に悲しみや怒りや苦しみを産み出すことで、彼らの人生に抜けない棘のようにその痕跡と存在を残し続ける。
それ故に、あまりに刺激が強すぎる悲劇の物語は語られ続け、人類史に残り続けるのだ。

本作は、その「悲劇の物語」を「特異性が極まりすぎた結果として駄作と見做されたゲーム」に置き換え、「それを再評価するレビュー」という形式で発表されている作品である。

皆さんは駄作ゲームに触れたことはあるだろうか。
自分はある。その作品、数千円もした上に、アップルストアから消えてなくなりやがった。
はっきり言って被害者からしてみれば、クソゲーは悪の枢軸にも匹敵する恨まれ方をして当然のものなのだが、その批判はどうしても客観性に欠ける。
そこで本作では、そのクソゲーが産み出されてから数十年経った未来の人間がレビューをするのだ。
そのクソゲー1つ1つが未来技術によって産み出されているクソゲーなので、そのSF的発想に舌を巻くこと請け合いだが、このレビューではそこはさておき。

「大多数の人間が心の底からキレたり失望したものを」
「なぜ当時の人間が批判を行ったのかを深掘りした上で、後世の人間が再評価する」

つまり、この作品でレビューされているのは駄作そのものだけでなく、
「駄作を駄作と評価した過去の人間たち」そのものがレビューされている。
彼らは時に愚かで、時に執念深く、時にはあまりにも切ない動機で…続きを読む

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★★★ Excellent!!!

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この小説の魅力とはなんだろう。
斬新な発想? 伏線や構成の妙? 専門的な知識?
ふむ、もちろんそれらは重要な要因だ。この作品が優れた技量と多くの知識に基づいて生み出されたのは間違いない。
しかしながら、一つだけ挙げるとするならば、それはこの小説の本質的な部分にしたい。

すなわち、作者の人生そのものだ。

高く評価された多くの作品と同様、この小説には作者の人生が凝縮されている。
考えても見てほしい。
俗にクソゲーと呼ばれるゲームをこよなく愛し、この世全てのゲームを愛していると謳い、ゲームのために世界中を駆け回る。
ゲームさえ出来るなら、たとえ人でなくなっても幸せだと主張する。
そんな人間が、普通か? 見ていてつまらないだろうか。
違う。面白い。面白いのだ。
そんな作者の人生が、小説という皮を被りここに存在する。虚飾にまみれた皮の下には、現実という肉が潜んでいる。
フィクションとノンフィクションの高度な融合体。それこそがこの作品の面白さの本質である。

まあつまり、万国共通で最も面白い題材は『人間』ってことで。

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★★★ Excellent!!!

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BGM: “Meddler” - August Burns Red -

昔は、早く過ぎ去ってしまうゲームの時間が愛おしかった。
それは一人の時も、友達とやる時間もそうである。

だがなぜだろう、いつまでもゲームをやって過ごしていたい、そう思っていた自分はもういない。
最早ゲームをやる体力がない? ゲームが面白く無くなってしまった?それとも自分が面白くないやつに変わってしまったのか?

でも、未来に生きる「赤野工作」という男は、その気持ちのまま老いていった。ゲームを楽しむために全身をサイボーグにして延命し、遂には脳を「楽しい」しか理解できない人工知能になってしまうことを望んだ。

それを不幸だ、可哀想だ、恐ろしいと断じる人は多いだろう。
私はどんどん彼のレビューを見ていくうちに涙を禁じ得なかった。
だがそれは決して同情でも哀れみでもない。
ちっぽけな一ゲーマーとして、彼がとても羨ましく思えたのだ。
そうだ、そこまでしても、ゲームは受け入れてくれる。ゲームが面白くなくなるなど、自分が変わってしまうなどあり得ないのだ。

なぜならゲームはもともとから「面白い」ものだったのだから。


改めてレビューに参りました。書籍化おめでとうございます。
これからの工作活動に、埋められたE.T.のご加護がありますように。

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★★★ Excellent!!!

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ユーザー登録する前から読んでますが、カクヨムで一番好きなゲーム小説です。
発想がユニーク。未来のゲームレビューサイトで、レトロゲー(でも自分たちからしたらまだ発売されていない未来のゲーム)を紹介するなんて、ちょっと普通の人なら考え付かないと思います。
しかも文章もとても上手くて、読んでいて本当にそのゲームがあったように錯覚しちゃいます。
はぁ、すごいなぁ。自分もいつかこんな作品を書いてみたい、でも無理か……って思わせてくれる作品です。

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★★★ Excellent!!!

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架空の未来の架空のゲームレビューサイトであるにも関わらず、たしかに存在する異世界に迷い込んだような、実際に自分もそれを体験してきたかのような不思議な感覚。
計算され尽くした知的な文体でありながら笑えて泣ける、たしかなゲーム愛とちょっとした風刺も交えた実にロジカルでエモーショナルな文章。
かと思えば読み進めるうちに上手く名状しがたい、言ってしまえば気持ち悪さや怖さすら覚える偏執的な展開。
これを書いている前日にゲーマー仲間から冗談交じりに紹介され、あっという間に最新話まで読み進めてしまいました。
いやー、こんなこと久々です。

そうなんですよ。
ゲームって世間の人にはどうでもいいし、生きていく上で不要どころか有害だし、結局ただの暇つぶしでしかない。
ゲーマーは惨めで無様で孤独で、後の歴史に残ったとしてもその姿はただただかっこ悪いんですよ。
でも、ゲームって楽しいんです。他の誰がつまらないと言っても、楽しいんですよ。
我々卑しいゲーマーは、実在なんかしてない架空の世界に、どうしようもなく惹かれてしまったんですよ。
作者、いや管理人赤野工作氏と同い年の、(作中の氏と)同じ哀れで寂しいゲーマーとして共感…ともまた違うな、未来へ抱く希望と絶望…は言い過ぎか、とにかくそんな感じの不思議な郷愁に浸れる作品です。
赤野先生の更新、楽しみにしています。

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