【第19回】厭世(ヤンシー)

タイトル:厭世(ヤンシー)

発売日:2057/2/5

発売元:Firdaus


世界のあらゆる低評価なゲームをレビューしていくレビューサイト「The video game with no name」、第十九回目となる今回は、2057年発売。面白すぎて遊ぶことのできないゲーム「厭世」の紹介です。


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あーいやだいやだ…。生きるってのは退屈なもんだとは思いませんか…。昔から変わらず楽しい話と、昔から変わらず楽しい料理。昔から変わらず楽しい風景に、昔から変わらず楽しい音楽。どれもこれも代わり映えもせず楽しいままで…、そうであるがゆえに…、どれもこれも楽しくなくなってしまった…。嫌になりますよ、長く生きれば生きるほど、現実は色褪せていくばかりでねぇ…。


脳停止を患ってからは、現実が色褪せていくのも一段と速まったように思えますよ。脳停止は、生きる事に脳が飽きちゃうって病気でしょう?おそらくワタシの脳は今、世の中に存在する「楽しさ」にどんどん飽きはじめているんです。唯一、昔も今も変わらず新鮮に楽しめる娯楽は…、ゲーム、そう、ゲームくらいしかない。まぁ、ゲームしか楽しみが無いって考えたら、今も昔もやってることは変わっちゃいませんがねぇ…。


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ワタシの脳もいつかは…、ゲームに飽きてしまう日が来るんでしょうか。


想像するだけでも恐ろしい。ゲームを遊ぶことに飽きてしまったゲーマーってのは、それはそれは惨めな最期を迎えるって相場が決まっているんです。ゲームってのはよく麻薬に例えられるでしょう?快楽との付き合いが長くなるほど、身体は徐々に快楽に慣れていく。快楽に慣れきった身体は、より強い快楽を求めるようになってしまう…。行きつく果ての病状は、ゲームも麻薬も大差はなくなるってワケです。


それに加えて、ゲームは麻薬と比べても中毒性の高い娯楽ですからねぇ…。「楽しみ方」を重要視するゲームと「楽しさ」だけを欲しがる麻薬とじゃあ、同じ中毒でも深さが違う。ゲームはプレイヤーの「楽しみ方」次第で、どれだけでも「楽しさ」が増えていく娯楽なんです。無限ですよ、無限。快楽に天井がない!まったく、ゲームほどお手軽に脳を溶かせるシロモノもあったもんじゃありません。


ちょっと暗がりを覗き込んでみれば、快楽で脳がトロけてしまったゲームジャンキーなんて、珍しい存在でもないんです。連中は、ゲームを遊び過ぎた。脳が快楽に慣れちゃって、身を切るような刺激がないとゲームを楽しめなくなってしまった。連中は決まって、「もっと楽しいゲームはないか」ってうわ言を呟くんです…。憐れなもんですよ…。口だけ達者なゲーム中毒…。哀れで惨めな成れの果て…!


インターネットは今日もまた、連中の喚き声で埋め尽くされてますよ。自分の頭が駄目になっちゃった事も理解できずに、「ゲームに飽きた…」「もっと刺激的なゲームがやりたい…」「昔はゲームが面白かったのに…」って、同じ台詞を何度も何度もねぇ…。


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いや、もしかすると…。アナタも既に、トロけちゃってる人間ですか。ゲームを遊ぶ事しか楽しみがない人生、それでいてなお、未体験の快楽でないと満足できない身体になってしまった、悲惨で無惨なゲームジャンキー。なるほどなるほど!それは素晴らしい!いやいや、気を悪くしないでください。何も皆さんを怒らせようってワケじゃないんです。辛いお気持ち、乾いたココロ。ワタシはよーく理解しているつもりですから…。


ゲームをもっと楽しみたい…!もっと強い快楽を感じたい…!皆さんは正しい。それが、人間本来の欲求と言うものです。皆さんがまだ見ぬ快楽を探してるっていうなら…、ワタシを頼ってくださいよ。ゲームレビュワーは、ゲーマーに幸せを斡旋する天使なんです。清廉潔白!安全安心!未知の快楽<ゲーム>を選ばれた人に楽しんでもらうために、皆さんのようなお人が来るのを、ワタシはずーっと待っていました。


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ワタシだって藪から棒に、「ワタシを信用してください」とは言いませんよ。「どうせそんなこと言ったって、お前の紹介するゲームは低評価なものばかりだろ」って、皆さんそう思ってらっしゃるんでしょう?ワタシの紹介するゲームじゃ満足できないって、皆さんそれを心配していらっしゃる。いやあ…手厳しい。確かに、今回ご紹介しようと思っていたゲームも低評価と言えば低評価。皆さんの不安もその通りです。


しかしですねぇ…。ワタシは皆さんを信用しているからこそ、コイツをオススメしようとしているんです。実は…コイツはちょっと特殊でしてねぇ…。コイツは低評価とは言っても、これまで紹介したゲームとはワケが違う…、意識も「ぶっとぶ」なシロモノなんです。遊ぶとトランス出来ちゃう機能があって、正直素人には薦めたくない。ちょっとヤバ過ぎるから、レビュー自体もあんまり表に出したくなかったようなブツでしてねぇ…。


正直に言いましょう。コイツを楽しむのには、ちょっとした「コツ」がいるんです。それを知らずにコイツを楽しもうとしたジャンキーどもは、どいつもこいつも体調を崩して…、罪のないコイツに八つ当たりをしやがった。分かるでしょう?こういうやりとりは信頼関係の上に成り立っている。ちゃんとワタシの話を聞いてくれる「信頼できる」人間にしか、正直、オススメしたくないんですよ。


なにせコイツは低評価になった主たる理由が…、「快楽が強すぎて依存症になるかもしれない」って社会から睨まれたのが主要因ですからねぇ…。


どうです?そろそろ「欲しく」なってきたでしょう?人間やっぱり正直が一番。「騙されたと思って」とは言いません、何故ならワタシは、皆さんを騙しませんから。ただただ、快楽に身を委ねていただければ、それで何の問題も無いんです。


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コイツの名前は厭世(ヤンシー)って言いましてね。発売されたのは2056年、インドネシアの華僑が開発したゲームだって言われてます。スマートレンズのゲームなんでソフト自体はダウンロードで購入が可能なんですけど、正しく遊ぶにはコイツ専用のBMIリングを買って頭につけなきゃいけない!私は純正品を持ってますけどねぇ…、当時はアジア全域に粗悪品のコピーがよくよく出回ったもんです。あ、もちろんコピー品は使っちゃだめですよ。あれは「悪酔い」しちゃいますから。


厭世は非常にアーティスティックな音ゲーでしてねぇ…。コイツを起動すると、周囲が球体に包まれたようにゲーム画面が映し出される。「厭世」ってのは中国語で「この世を嫌だと思うこと」って言葉でしょう?名前通りなんですよ。文字通り球体の中に引きこもっちゃって、現実を見なくてもよくなるゲームだから!ただまぁ、これくらいの映像表現は別に珍しくもない話。厭世がヤバいのは…、そこからさらに一歩踏み込んで、五感をコントロールしようとしちゃったってところにあるんですよ…!


このゲームを正しく遊ぶには、専用のBMIリングが必要って言ったじゃないですか。実はこのデバイス、当時主流のスマートレンズのシステムにオーバーライドして機能を拡張するっていうグレーなシロモノでしてね…。これを使うと、まずは電気刺激で聴覚を操作出来ます。続いて触覚、これも痛みを抑えるまではいきませんが、何かに触れてる感覚程度なら操作が可能。味覚は唾液の味、嗅覚は空気の臭いを錯覚させられる。そして当然視覚は…、スマートレンズ固有の機能で操作が出来る。


もう、お分かりなんでしょ…? コイツさえあれば…、感じたいものが感じられて、感じたくないものを感じずに済む…。 何もかも、何もかもねぇ…。


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この厭世さえあれば、ゲーム世界と現実世界を、五感の上で完全に分離することが出来ちゃう。それも単なる仮想現実なんかじゃない、現実の五感を停止出来ちゃうシロモノ…!BMIで直接脳を弄ってる現代だって、ここまで露骨に脳を騙そうとするゲームはありませんよ。感覚停止・現実乖離・精神分裂…。素人アタマで考えたって、こんなのヤバい事になるに決まってる!


もちろんスマートレンズ各社は、ヤバい機能には自主的に制限をかけていたようですがね。逆に言えば…、ワタシ達にとっちゃあそこが狙い目ですよ…!制限してあるってことは、制限を解除することも出来るってことに他ならない。面白いゲームで素晴らしい快楽を生み出すという理念の前じゃあ…、制限なんてあっても無くても同じ。ゲームに必要なのはいつだって、面白いか、面白くないか、ただ、それだけなはずでしょう?


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コイツはどうやら…よほど神経質な御仁が作ったゲームみたいでしてねぇ…?


ゲームを遊ぶってのは、つまりは創られた世界に入りこむことを意味する。しかし現実ってのは、何時だってゲームに水を差し込んでくる。どれだけゲームに集中したくても、アンドロイドは喋る、ドローンは軋む、拡張現実は見える。全ての電子機器を叩き壊しても…、地面は揺れる、風は吹く、雨は降る。仮に地球を滅ぼしても…、心臓は鳴る、唾液は溢れる、汗は滴る。現実ってのは何時だって、純度の高いゲームを純粋に楽しむ雑味にしかならない!


しかし…コイツは違いますよ。耳はゲーム音楽しか聞かなくていい。目はゲーム画面しか見なくていい!五感は完全にゲームの支配下ですから、プレイヤーに何を感じさせるのも自由自在!重力も大気圧もコイツの前ではあまりに無力!まるで無重力下のような感覚でゲームをプレイできる。ゲーム以外の一切は…、五感には届きません。書いてるだけで手が震えますよ…!コイツを遊んでいる間の、あの純度の高いゲームプレイ…。それが生み出す、あの純度の高い快楽ときたら…!


戻れませんよ? 一度知ったらね。


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まず、音楽がヤバいんです。バイノーラルビートってご存知です? こいつはですね、脳にアルファ波の生成を促すって言われてる音のこと。簡単に言えば、聞いてるだけで変性意識状態になれる音ってワケですよ。このゲームの音楽には特に…、脳を夢見心地に誘導する音楽ばかりが使用されてましてね…。専用BMIのおかげで脈拍の音すら聞かずに済むコイツなら、普通に聞くよりずっと純度の高い音楽を楽しむことが出来る。聞いてるだけでスーッと…微睡が脳を支配していって…。トベますよ、マジで、音だけでも。


そんな音楽に合わせて、今度は目の前にフワフワと泡が浮かんでくる。そいつを手でパチンと割ると…、鼻には桃の香りが、口には桃の味が、言いようもない甘ったるさが漂ってくるんです…。音楽に合わせて浮かんでくる泡たちを、リズムにのってパチンと割るってのがコイツの基本システムでしてね。タイミング良く泡を割ると…全身に甘さが充満していって…、その甘さの強弱でスコアが分かるようになっている。ゲームを遊べば遊ぶほど…、甘さは強くなっていき…。ああ、涎が溢れるんですよ、自然と。


自分を取り囲む泡の外側を見てみれば、そこは一面幻想的なピンク色。重力を一切感じないことも相まって、まるでピーチソーダの中に浮かんでいるかのような…苦しみや悲しみから解放されたような…そんな気持ちがこみ上げるんです…。ゲームを遊ぶだけでも楽しい、いや、いっそのこと遊ばなくても楽しいってのに。遊べば遊ぶほど、さらに快楽は増していって…。脳が桃色の水槽に浮かんで、大脳皮質を泡がシュワシュワとくすぐる、快楽に漬け込まれているような、あの、甘ったるい感覚…。


止められませんよ、あんなの。どうしようもない、抗い様もない。


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優しい音、良い香り、甘い味。ソーダの中に浮かぶ、この浮遊感。いや、このゲームの本質の前じゃあ、今まで説明したことの全ては、単なるオマケですよ…。


何が素晴らしいってね…、コイツを遊んでいる間は、コイツを遊んでいるだけでいいんです。五感をコイツに完全に委ねてしまえば、現実はワタシたちに干渉することは出来なくなる。騒音も、痛感も、苦味も、悪臭でさえも。現実がどれほど醜かろうが、コイツを遊んでいる間だけは、絶対にゲームを邪魔されることがない。


それが一体どれほど素晴らしく、どれほど幸せなことか…。皆さんなら、お分かりになるでしょう? いくらゲームが楽しくたって、現実はちっとも楽しくならない。いくらゲームに逃げ込んだって、現実はいつだって側に存在する。それがコイツの中だけなら…、現実を完全に忘れて、ゲームを楽しむことが出来るんです。


恐れる必要はありませんよ。現実で何が起きていようが、コイツの中じゃ分かりっこないんですから。五感が認識できないんじゃあ、そんなの存在していないのと変わらないでしょう? 五感の全てを委ねてしまえば、それが終わりの始まり・始まりの終わり、あとはノンストップで快楽まで連れて行ってもらえる。


皆さんなら分ってくれる。そう信じて、お話しているんですよ、ワタシは。


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コイツは発売からすぐに、物知り顔のゲーマーの間じゃあちょっとした噂になりましてねぇ。一度遊んだら戻ってこれないヤバいゲームが渋谷で出回ってるとか、六本木の成金どもがクラブで遊んでたとかなんとか、出所の分からない情報は山のように飛び交いました。結局日本じゃあ正式発売なんかされなかったんですけどね、みんなこぞってインドネシアから輸入してましたよ。まぁ、ゲーマーという限られたコミュニティの中だけの…、「密かな楽しみ」ってヤツだったわけです。


とは言え、こんなヤバいシロモノをお役所が黙って見ているワケがない。演出技法が危険だの、社会的問題を生みかねないだの、お決まり通りの文句が発売早々につけられましてねぇ。結局、開発元は早々に「自主規制」って形でコイツの販売から手を引きまして、2058年には生産を止めてしまいました。このゲームが世に出回ったのは…ま、多めに見積もって5万台ってところ。これは名機ピピンアットマーク(※)と同程度の出荷台数ですから、コイツが重宝される理由ってのも窺い知れるもんでしょう。


ゲーマーコミュニティなんて小さい世界で楽しまれていた分には、5万台でも供給は十分事足りていたんですがねぇ…。コイツがヒジョーに珍しい逸品だって事は、もう分ってもらえたでしょう?となれば…気になってくるのは当然、コイツの末端価格は今一体いくらなのかって話なんですがね…。まぁ、日本で手に入れるのは割高なんで…、インドネシアから個人のルートで輸入するとして…。まぁ、未使用箱説付きで、10,000ドルくらいってとこですか。日本円にすると、百万円。


言っときますけど、今が買い時ですよ。これ逃すと、相場は上がる一方ですから。


※ピピンアットーマーク

1996年、バンダイ・デジタル・エンタテイメントとアップルコンピュータが共同開発したMacintosh互換のビデオゲーム機。オンライン対応ゲーム機の先駆けともいえるゲーム機だったが、極度の販売不振により全世界販売台数は42000台ほどとされる。2054年にHolografiaStoneが測定不能の販売台数(想定10000台)をたたき出すまで、長らく「史上最も売れなかったゲーム機」と呼ばれた。


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コイツの値段が上がっちゃったのは…、大体2080年代ぐらいからでしたかねぇ…。


まぁ、隠すようなことでもないですから、正直に聞いちゃいましょう。

皆さん、「電子ドラッグ」って言うと、どんなタイプをご存じで?


BMIを通じて無理やり脳のクロック数を高めるバレットタイム? いやあ、あれはいけませんよ!あんなの世の中がスローモーションに見えるようにして、優越感で気持ちよくなってるだけのシロモノでしょ? 下品で優雅さがない!「楽しみ方」という過程が無く、単に脳をいじって気持良くなってるだけ!ベッドで横になってるだけしか能のない、貧乏人の御慰みですよ!なにより、あんなもんは違法です違法!


強化ナノマシンによる脳内物質の強制生成?いやぁ…、あれも良くありませんよ…。ゲームのオマケとして楽しむ分には良いですが、ソレ単体で使うとなると「楽しみ方」という過程が無いから、快楽に味気がない!ワタシも先日、痛い目を見たばっかりでしてねぇ…。あ、誤解しないでくださいよ!ワタシのは正規の医薬部外品がちょっと強く効きすぎただけ!なにより、あれも違法ですよ違法!


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ワタシから言わせれば、電子ドラッグなんて無粋なシロモノですよ。


あの手のオモチャは、仮に快楽を感じられたところで中身がない。電子麻薬は数多くの戦争を中南米で引き起こしましたが、あんなの「楽しみ方」を知ろうともしない連中が、簡単に手に入る「楽しさ」だけを欲しがった結果でしかありません。電子ドラッグなんて楽しくもなーんともない。一方ゲームは楽しい!人類の歴史上、麻薬がゲームより楽しかった時代はただの一度もないのですから。


ゲームジャンキーっていうのは、ゲームクリアよりゲームプレイ、すなわち「楽しみ方」を重視するでしょう?ゲームをクリアするという結果が楽しいだけじゃ物足りない、ゲームをプレイするという過程の楽しさまで求めてしまう!しかし世の中には、過程の「楽しみ方」なんてどうでもよい、結果である「楽しさ」だけしか見えないってジャンキーも…、山ほどいるもんなんです。


ワタシ達ゲームジャンキーからすれば、2080年代ってのは…BMIが普及してゲームに大幅な進化があった時代じゃありませんか。脳みそを直接弄繰り回す技術が、どれほど新しいゲームプレイを生み出し、どれほど世の中を豊かにしてくれたことか!


一方世間的には、2080年代ってのは…BMIが普及して人間達が自分の脳を自由にいじり始めた時代でもある。脳みそを直接弄繰り回す技術が、脳に直接快楽を錯覚させるアイディアを生み出し、どれほど世の中を貧しくしてくれたことか…。


あーいやだいやだ。現実ってのは、退屈になっていく一方で困りますよ。今じゃワタシたちの使っているBMIには、電子ドラッグに転用できないように最初から機能制限がかけられている。かつては普通に売られていたゲームも、今じゃ日の当たる場所じゃあ遊ぶ事すらままなりません。ワタシ達の脳にはまだまだ、ゲームに利用できたかもしれない多くの機能が残されていたのに…!電子ドラッグと一緒に、脳みそまで規制されてしまいました。


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この手の話は、イタチゴッコなんです。「楽しみ方」を知らずに「楽しさ」だけを欲しがる連中は、どれだけこちらが「楽しみ方」を教えようとしたところで、すぐに手にできる「楽しさ」に飛びついてしまう。どれだけ規制を増やしたところで、結局はすぐに抜け道を探してしまう。


規制されれば別の手法、別の手法が規制をされりゃ、またまた探すは別の手法。ワタシ風情が歴史を説くのは、ちょっと分不相応かもしれませんがねぇ…。人類の歴史はずーーーっと、その繰り返し。一つの電子ドラッグが規制されれば、他の手法が目をつけられる。歴史は繰り返す。こんなものに終わりなんてありゃしません。


BMIが規制された時も、結局はそうでした。連中…どこからか嗅ぎつけてきやがったんですよ。今から30年前、まだ電子ドラッグに規制がなかった時代に開発され、未だに世に流通している「電子ドラッグ」に代替出来そうな存在を。


厭世(ヤンシー)って名前の、2057年に販売されたゲームでしてね。


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コイツには、ゲーム内容をカスタマイズ出来る拡張機能がありましてね。自分で好きな音楽を流すことが可能で、それにあわせて映像が生成され、好きな味と臭いを漂わせることが出来た。所謂、音ゲーの自作機能ってのがついていたワケです。人間好みはそれぞれですからねぇ。自分自身の手でお好きな快楽を作成してくださいって、そんな意味合いの機能だったんだと思います。ワタシのお気に入りはザクロでしてねぇ…。あたり一面真っ赤な中に浮かぶ気持ちは…そりゃ極楽のようでしたよ…!


しかし先ほども言った通り…。こういう機能には往々にして、「楽しみ方」を知らずに「楽しさ」だけを欲しがる連中が群がるものでしてねぇ…。コイツの攻略コミュニティにも、ほどなくして明らかにゲームジャンキーじゃない連中が顔を出すようになりました。こういう連中は絶対に用意しておいたQ&Aすら読まない、そして必ず決まったようにこう聞くんです。「このゲームで楽しくなるにはどうしたらいいんですか?一刻も早く簡単に教えてください」ってねぇ…。


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最初こそ、ワタシたちも新しい仲間を歓迎しようと、このゲームの「楽しみ方」ってのを説明したんですよ? しかしねぇ…、ゲームオタクが必死になって喋る小難しいゲームのレクチャーなんて、そんなつまらないもん誰も興味なんかあるワケがない。


「どうやったら気持ちよくなれるんですか、三行でお願いします」

「攻略法講義は要りません、気持ちよくなるデータアップしてください」

「このゲームでハイになれるって本当ですか?」


彼らが興味があったのは、「楽しさ」がそこにあるのかどうか、ただそれだけ。ゲームの遊び方なんて、そんなもの最初からサラサラ興味がないときている。何度も何度も、このゲームには「楽しみ方」があって、それをきちっと守って遊ばないとちゃんと楽しくなれないって、あれだけ口酸っぱく説明したのに…。ゲームジャンキーのうわ言なんて、聞こうとするヤツはいやしませんでした。


相手にされていない事を知ってか知らずか…。ゲームジャンキーの皆さんは、まぁ健気にコイツの面白さの説明をしていましたよ? 泡を割る時の爽快感が気持ち良いだとか、ゲームプレイは飛ぶような浮遊感があるだとか。しかし結局のところ…、相手に伝わるのは「気持ち良くなれてトべる」の部分だけ。最終的に誰ものココロに残ったのは…、「ヤバいゲームがあるらしい」ぐらいの事実なもんでしょう。


まぁ、気持ち良くなれるのもトべるのも、もちろんヤバいゲームがあるってことだって、なーんにも間違っちゃあいないんですけどねぇ。


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電子ドラッグの代替物としてコイツに目がつけられてから、世の中が動き出すまでにそうそう長くはかかりませんでした。ゲーム屋の近くで涎まみれの男が寝転んでるとかなんとか、そういう話が聞こえてきたのが最初の最初。ジャンクパーツ屋でコード見ながら失禁した女が出たっていうのがその次くらい。最終的には、秋葉原のレトロゲーム屋に中毒患者が押し寄せて来て、「ここにゲーム売ってるのは知ってるんだぞ!」と泣き叫んだあたりで、世の中が面白くなってきてるのが分かりました。


数が少ないから物珍しかっただけで、本来コイツは捨て値で売られていたはずゲームだったんですが。世の中が狂っていくのに比例して、コイツの相場も見る見るうちに高騰していきました。ワタシも当時、ゲームコレクションを見せびらかしたい下心で、厭世の画像をSNSに公開した事があったんですけどねぇ。朝起きて…、ぶったまげましたよ。たった一晩で、日本中のジャンキーからの求愛メールでメールボックスがパンクしていましたから!


さっきも言った通りこのゲーム、特に違法でも何でもないんですよ? とっくの昔に販売をやめちゃった、単なる廃棄寸前のゲームでしかない。それをコソコソ路地裏に隠れて。全身黒づくめの男と中毒患者が、闇の取引みたいにゲームを売買している。ネット上じゃ「ピーチ」なんて隠語で呼ばれましてね。電子ドラッグは正常な判断力を失わせるんだなって、誰だって分かったはずですよ? あんな狂った値段で、値崩れしたゲームが売買されるのを見せられちゃあねぇ…。


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ゲーマーからしてみれば…、この騒ぎは迷惑以外の何物でもありませんでした。


そうしてジャンキーの手に渡った厭世が、彼らにどうやって遊ばれていたかというと、これがまた無茶苦茶でしてねぇ…。先ほども言った通り、コイツには五感を完全にコントロールする機能がある。実際の楽しみ方とは全く違うのに、あいつら人の話を聞きやしないから!ジャンキーの皆さんはその機能を応用して、コイツを電子ドラッグとして利用しようと考えたわけです。


まずは視覚から、映像をサイケデリックなものに設定。聴覚はもちろん、脳もぶっとぶサイケデリックトランス。平衡感覚はクラクラで、体の芯から浮遊感と高揚感が沸き上がるように触覚を操作。鼻と口には煙ったいような甘ったるいような感覚を充満させ…。それ以外の現実の全てをシャットアウト!目の前を漂う泡を一つ割るたびに、幻覚を見ているような浮遊感はさらに強くなっていって、世界はより一層美しくなっていく…。コイツには、それを見せてしまうだけの力がある!


簡単に言ってしまえば…、本当だったら電子ドラッグを使ってトリップしてる人間にしか味わえないはずの狂った「世界」を、コイツの力で強制的に五感を錯覚させて、脳に麻薬を仮想体験させるのに使っていたワケですよ。


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コアなゲーマーの密かな楽しみだったはずの厭世は、瞬く間にアジアで猛威を振るい始めました。本来ゲームとしての楽しさをゲーマーに評価されていただけだったはずのコイツは、世の中に「楽しさ」を間違った形で認められてしまったがために、お手軽な電子ドラッグの代替品として各国の大都市に流出していきました。


情けないもんですよ…。あれだけワタシたちが「ゲーム」としての楽しさを説明した時には、だーれも聞きやしなかったのに。楽しみ方も知らない無粋な連中が「電子ドラッグ」として間違った楽しみ方を吹聴したら、コイツの名前は瞬く間に世界中に広がってしまった。ワタシたちゲーマーの無力のあらわれ、そうと思いはしませんか。


そんな社会の狂った様を見て、もちろん良識のある人々も大層お怒りになりましてねぇ。「こんなゲームがまだ残っていたのか」だの「このゲームは依存性が高く中毒を招く」だの、お決まりの文句が報道には並びました。まぁ当然の話でしょう。だって電子ドラッグとしての間違った楽しみ方しか、世の中の人はコイツの事を知らないんですから。ワタシたちはあれだけ、ゲームとして楽しいと言ってきたのに。


「このゲームは楽しくて止められなくなりますよ!」と、ワタシたちは褒め言葉として世間に訴えかけていたはずなのに。「このゲームは中毒性が高くて止められなくなりますよ!」だなんて、それを貶し言葉として言い返されなきゃならないとは。


ゲームとしてじゃない。コイツには、ドラッグとして低評価がついているんですよ。


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ワタシたちは最初から、一貫して同じことを言ってきたんです。


ゲームは電子ドラッグとはまったく違う。

「トランス出来る」とは確かに言いましたけど、それはゲームとしての話!

コイツには、電子ドラッグみたいな機能なんてありゃしないんですよ!


そもそもの話、もし本当にコイツに電子ドラッグとしての機能なんか存在するなら、そんなシロモノをお役所が規制しないと思いますか!? そんなワケがないでしょ!インターネットじゃあ、2050年代は規制が緩くて地下で取引されていたから流通量が少ないとか、知ったような話が転がっていますがね。ありゃあ断じて違います!ワタシたちはずっと違うと言ってきてる!このゲームの販売量が少ないのは、自主規制!自主規制で販売をやめちゃったから!


いや、そう言っちゃうと今度は、「発売元はヤバい機能があるから販売を自粛した」と捉える御仁が出てくるんですがねぇ…。そんなにポジティブなら、電子ドラッグでハイになる必要なんかないと思うんですがねぇ…。もちろん違う、違いますよ。コイツが販売を自粛したのは、厭世をつけたまま外に出歩いて、五感を封じたままドブに落ちたヤツがいたから。ドローンに激突したヤツがいたから。軍事基地に踏み込んだヤツがいたから!ながらプレイ禁止のために、コイツは販売を自粛したんです!


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落ち着いて考えたら分かるはずなんですよ!トリップ中の人間が見たもの聞いたもの、それを疑似的に再現出来たところで、トリップそのものまで再現できると、皆さん本当にそう思われますか?


酔っ払いが嘔吐しているのを見て、嘔吐をすれば酒を飲まなくても酔っぱらえると考えている。つまりこれは、そういう話なんですよ!? いくら目の前がサイケデリックだろうが、聞いている音楽がトランスだろうが、そんなものは所詮形だけ。結果としてトリップしているような「気分」に浸らしてくれるだけで、こんなものに快感を生み出す効果もへったくれもあるわけがない!


プラシーボ効果って、皆さんお聞きになったことがあるでしょう?


偽物の薬を本物だと思って飲んでいたら、まるで本物の薬みたいに効果が表れてくるって話ですよ。人間の脳みそなんてチャチな作りになってますから、ちょっとその気にさせればすぐに動かしたいように動かせる。薬も電子ドラッグも、その点じゃ一緒です。このゲームにはそんな機能はないのに、人の話を聞かなかった連中は、コイツに人を惑わす機能があると信じて疑わなかった!


つまりは…単に目の前がグルグルしてる映像を見て、フワフワしてる音を聞かされて。それを…「ヤバい、コイツ凄い、トリップする」って、焦点の定まらない目で涎を垂らして言ってたんですよ、どいつもこいつも、人の話を聞かないから!


誰も騙してなんかいない、誰も偽物の薬なんか与えちゃいないのに。

思い込みの力で、偽物の電子ドラッグの効果に酔っちゃってたんですよ!


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しかしながら、偽物の電子ドラッグの効果なんて、長くは続きませんでした。

偽物の薬ですら効果は長くは続かない、偽物の電子ドラッグなんてなおさらですよ。


コイツが後の世に残るほど低評価になってしまった理由は…、口にすれば馬鹿げてましてねぇ。それはコイツに…、電子ドラッグとしての力なんて無かったからです。


コイツには人をイカレさせるような力も常習性もない。となれば、コイツを電子ドラッグとして使っていたジャンキーの連中は、気分だけハイになってると錯覚しながら実際には何も起きていないという日々が続く。最初は正常な判断力が無かった連中も、コイツの使用歴が長くなるにつれて徐々に電子ドラッグへの依存が抜けていき、冷静な判断力を取り戻していきましてねぇ。ある日ふと…気が付いちゃうんですよ。


「このゲームに、電子ドラッグとしての機能なんてない」


今まで自分が遊んでいたゲームには、よく考えてみたら、五感に特定の刺激を送り込むだけの機能しかない。気分を高揚させる機能もなければ、快感を生み出す機能もない。そうなんですそうなんです!五感を司る機能でここまで楽しく爽快なゲームを作り上げた、コイツのゲームとしての素晴らしさはそこにある!ワタシも1ゲームジャンキーとして、ずっとそれを皆さんにお伝えしてきた…つもりだったんですが。


それに気づいたジャンキーのほとんどは、このゲームをアッサリ捨てていきました。

それに気づいてからが、コイツがゲームとして本当に楽しくなるところだったのに。


「楽しさを偽装してるだけで、コイツ自体には快楽はない」ってねぇ。


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結局のところ…、コイツの評価は誤解で完全に破壊され、もう元に戻ることはありませんでした。世間の皆様からは「電子ドラッグという社会のゴミ」としての低評価の烙印が押されていますし、ジャンキーの皆様からは「電子ドラッグを騙るゴミ」としての低評価の烙印が押されている。どっちの低評価も誤解による産物でしかないと言うのに、それに対するゲーマーからの反論は、聞き入れられる気配すらない。


世の中誰も…「楽しみ方」なんて過程の部分を、必要としちゃいないんでしょうねぇ。ちょうど電子ドラッグと同じで、「楽しさ」という結果だけを欲しがっている。世間の皆様は、ゲームの真実がどうのこうのなんてつまらない話より、「悪いゲームが断罪された」という結果の方をお気に召すでしょうし。ジャンキーの皆様は冷静になったところで、ゲームなんかかったるくて遊んでられないでしょうからねぇ…。


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ところで皆さん、ありがとうございます。


アナタたちはここまで、ワタシの話を聞いてくれました。アナタ方は正真正銘、ゲームの「楽しみ方」に興味を持っている。結果よりも過程を重要視する、この退屈な世の中じゃ貴重な存在、見上げたゲームジャンキーです。素晴らしい。


せっかくですから、ゲームジャンキーの矜持ってヤツを示すためにも、最期にコイツの「本当の楽しみ方」ってのを皆さんに教えておきましょうか。もちろん、おおっぴらに言わないでくださいよ。コイツはちょっと、ヤバいですから。最初に言った通り、コイツを本当にちゃんと楽しんだら、意識もトびますからねぇ…。


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皆さん、「感覚遮断」って聞いたことあります?


人間ってのは生きてるだけで、一時たりとも五感が休まることがないでしょう? いくら無意識になろうとしたところで、音は勝手に聞こえてしまうし、光は勝手に見えてしまう。言い換えてみれば…、人間の脳ってのは一生休まる時がない。「興奮して楽しい」ってのは、脳に刺激を与えればいくらでも出来ますよ。しかし「安らいで楽しい」となると…、五感を停止しなければ本当の楽しみは味わえない。


感覚遮断ってのは…、人間の五感を意識的に停止するって行為のことでしてね。水の入ったタンクにプカプカ浮かぶとか、はたまた真っ暗闇に寝転がるとか、歴史上、ありとあらゆるやり方で感覚を止める方法が考案されてきました。しかしながら、まぁ五感なんか意図的に遮断しちゃったら危ないに決まってるわけで。それが可能であったとしても、技術者は意図してそんなモノを作ろうとはしませんでした。


技術者は、意図して、作ろうとしなかった。

つまり、意図しないところでなら…作っちゃってるんですよ…!


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なにせ厭世は完全に五感をコントロールしてしまえるゲーム。単純に、設定項目をぜーんぶ「無」にしてしまえばいいんです…。目には闇、音は無音、臭いは無臭、味は無味。触覚は麻痺して何も分らず、平衡感覚すら失われる。真っ暗闇の中、いや闇かどうかも分からない無の中で…、ただ、そこに浮かぶことができる。


コイツは…マジでヤバいですよ。全ての感覚を閉じ去ると…、脳はだんだんと考えることをやめていくんです。身体が徐々に輪郭を失って、闇に溶けるように消えていく。しかし、本当の無の中でも、脳は脳としての機能を保とうとする!


すると脳はですね…、何も刺激がなくなった五感を埋め合わせるかのように…、幻覚を五感に見せ始めるんです。自分が深層心理で望んでいる幻覚を五感に見せることで、心が無に狂ってしまわないように、脳が調整をかけるんですよ。


ちょうど嗅ぎたかった香り…、ちょうど聞きたかった音…、ちょうど触りたかった質感…、ちょうど味わいたかった味…、ちょうど見たかった色…。自分の脳が今一番望んでいる幻覚を、この状態なら自由に感じることが出来る。


自分の求める快楽の幻覚を、自由自在に見ることが出来る…!


何かを感じようとするんじゃない、むしろ何も感じずにいようとする事が…、ワタシたちが見つけたコイツの攻略法ってワケです。


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無の中に自分を溶け込ませる。ワタシ達はこれを…、いかに手早く無我の境地に至れるかっていう、そういうゲームなんだと考えていました。しかしコイツはヤバい、戻ってこれなくなる。ありとあらゆるゲームを遊んで、脳が快楽に慣れてしまったゲームジャンキーのには…、コイツはあまりに優しすぎるんです。


自分の脳が快楽に慣れていく事を、ゲームジャンキーはいつも嘆いていました。脳が快楽に慣れていくって事は、自分が楽しめるゲームが減っていく事と同じでしょう?ゲームを遊べば遊ぶほど、脳が快楽に慣れれば慣れるほど、残された人生はどんどん退屈になっていくのに…。結局はみんな、ゲームを遊ぶ事は止められなかった。


連中が「無」に救いを求めてしまったのは、まぁ、必然だったのかもしれません。


コイツは、依存性が高くてですねぇ…。ハッキリ言って、危険なシロモノでした。かつてはあれだけゲームに厳しく「楽しさ」を求めていた連中も、一度「無」の世界に入ったが最後…、もう戻っては来ませんでしたから。あいつらおそらく、もう「楽しい」ことに疲れちゃったんでしょう。


遊びながら失禁したり、涎をダラダラ垂らしたり…、人によっちゃあそれっきり、二度と連絡が取れなくなったヤツもいました。満足げな笑みを浮かべて、楽しい…楽しい…って呟いてねぇ。みんな、「楽しい」以外の褒め言葉を忘れちゃったのかなぁ。誰も彼も、それは幸せそうにゲームを遊んでいましたよ!


いや、むしろ…、心の底から幸せそうに、ゲームを遊んでいませんでしたよ。


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娯楽が溢れているこの時代じゃ、楽しむことを止めるだなんて出来やしません。目を閉じようが耳を塞ごうが、止まることなく快楽は流れ込んでくる。アナタもワタシも今後一生、快楽の消費を止められない時代に生きてしまっている!


「無」よりも贅沢な娯楽は、もう世の中には残っていませんから。


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いやだなぁ…皆さん。なんですその、ペテン師を見るような目は。

コイツは電子ドラッグなんかじゃない、正真正銘のゲームですよ!


だってワタシは最初から、「このゲームはヤバい」と、そう説明したじゃありませんか。トランス出来る機能がついているとも、いの一番に説明したはずですよ?


でもそれはあくまで、ゲームとしての楽しさを説明しただけの話。


何度も言っていますがねぇ、コイツには電子ドラッグみたいな機能なんてありゃしないんですよ!清廉潔白!安全安心!脳に害を及ぼす様な成分も含まれてはいない!


コイツは単なる、楽しい楽しいビデオゲームなんですから!


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ただ一応、最期に一つだけ、覚えておいてもらいたいことがあるんですよ。


ワタシは確かに、「このゲームは電子ドラッグではない」とは言いました。

ただ、「このゲームは電子ドラッグより危なくない」とは、ワタシは一言も言っていない。


そこのところ、誤解無きようお願いしますよ。


2115/9/4 (Article written by Alamogordo)


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