【第17回】5.8 * 10^5 Gene Playing Lab

タイトル:5.8 * 10^5 Gene Playing Lab

発売日:2083/11/07

発売元:Helena Transcription Scientific


世界のあらゆる低評価なゲームをレビューしていくレビューサイト「The video game with no name」、第十七回目となる今回は、2083年発売、ゲームを遊ぶための使い捨ての命「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」の紹介です。


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皆さんは、初めて買ってもらったゲームの事を覚えていますか。


私は覚えています。具体的なタイトルは伏せますが、それは当時にしてもちょっと珍しい相撲のゲームでした。父親から、「お前にはこういうゲームがあってる」って選んでもらったんですよ。生まれて初めて、自分だけのゲームを手に入れた。愛おしくて、愛おしくて。ゲームの箱を大事に抱きしめたことを覚えています。


当時の私に出来たことと言えば、何も分からずボタンを押すことぐらい。でも、それが楽しかったんです。ボタンを押すと、画面の色が変わる。ボタンを押すと、何かが起きる。幼い私にとって、それがどれだけ魅力的だったことか。いや、私は未だに、それが楽しくて楽しくて仕方がないのです。


幼い日の私は、ゲームをそれ一本しか知りませんでしたから。「世の中にはこんなに楽しい遊びがあったんだ」と、来る日も来る日もそのゲームを遊んでいました。だからこそ、本当に、衝撃を受けたんです。私の大好きなゲームが、雑誌やインターネット、友達からどんな評価をつけられていたのかを知った時は。


「こんなつまらないゲーム買い与えられるとか、虐待だろ?」


幼い私にとって、それがどれだけ絶望的だったことか。いや、私は未だに、それが悲しくて悲しくて仕方がないくらいですから。


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好きなゲームの評判が悪かったところで、私がそのゲームを好きな事実に変わりはありませんよ。ただ、それでも、たまに。「何故父親は私にこのゲームを買い与えたんだろう?」って、考えてしまう事があるんです。親は子に、どういう意図をもってゲームを買い与えようとするのか? 私にはそれが…、どうしても想像が出来なくて。


私の父親は…、昔は珍しくなかった「多くを語らない」タイプのゲーマーで、買い与えたゲームの遊び方ですら教えてくれないような人でしたから。私が真意を聞きだすよりも前に、父はこの世を去ってしまいました。私が父に教えてもらったことなんて…、それこそ、「生きていくのは難しい」くらいの話しかありませんよ。


私には、嫁も子供もいません。誰かのためにゲームを選んだという経験が、まるでないんです。親は子に、どんなゲームを楽しんでもらいたいのか? 孤独な老人の耳には…、それが「自分の遺伝子を継いだ存在に、親はどうやって幸せになってもらいたいのか?」という話にも聞こえて。なんだか、眠れなくなってしまうんです。


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ただ、強いて言うならですよ。 私にだって「息子」と呼べる存在がいないわけじゃありませんし、「父親」としてゲームを選んだ経験がないわけでもないんです。ただ、正式な家族と呼ぶには…、ちょっと、ほんのちょっとなんですけど、ゲノムサイズが足りなくて。まぁ大体、塩基にしたら30億くらいなんですけど。


今回ご紹介するゲームは2083年発売。そのジャンルはずばり、遺伝子を操作し人工生命を生み出す遺伝子編集ゲーム。生命の数を残機と数え、遺伝子構造をゲームルールと呼んだ。世界で最も「非倫理的」だと非難されたゲームソフト。そのゲームの名を…「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」と言いました。


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それにしても、非常に残念です。本来ゲームレビューという文章は、読者の皆さんにゲームを遊んでもらう事を目的として書かれた文章でしょう? しかし今回に限っては、私はこのゲームを皆さんにはお勧めしません。誤解しないでください。 皆さんも絶対に遊んでほしいと、私は心から思っています。ただこのゲーム…、もう許可なく売買したら犯罪なんですよ。それも懲役。いかに私が老い先短いとはいえ、犯罪行為をお勧めするわけにもいきませんからね。


ゲーム自体が違法なわけではないんですが、「遺伝子組換え生物等の開発及び流通に関する法律」によって、この手の遺伝子編集ソフトの所持は厳しく制限されていますから。今からこのゲームを手に入れようと思ったら…、まずは遺伝子編集規制庁の細菌取引規制室と人工生命管理室にそれぞれ許可をとったうえで、経済産業省あてに小難しい内容の許可申請を出さなきゃいけない。取引量によっては…、研究所に準ずる登録義務も発生する可能性があります。


現実的じゃないんですよ。今の時代、個人が遺伝子を弄ろうなんて話自体が。まぁ…、それも仕方のない話です。想像してもみてください。個人が戯れに遺伝子を弄っちゃう世の中なんて、法も秩序もあったもんじゃないでしょう? いや、実際に、法も秩序も無かったんですよ。たかだか30年前までは、遺伝子編集に関する法律なんてほとんど整備されていませんでしたからね…。当然、法が無ければ、秩序なんてものも存在していませんでした。


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"Genome editing will be an undeniable life style in the future!"


「遺伝子編集はやがて、誰にも拒否出来ないライフスタイルになるでしょう!」


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「遺伝子編集」はかつて、社会的な流行だったんです。研究者にしか扱えなかったはずのテクノロジーに、ある日突然、「誰にでも扱える遺伝子編集ソフト」が開発されて。そしてその存在が、馬鹿な消費者にまで知れ渡ってしまった。もちろん法も秩序も存在しない時代の話でしたから、何をしたって許されたし、実際何でも作ってしまうことが出来た。そんなの…流行しないわけがないでしょう?


この当時の一部の商品は、凄かったですよ。何が凄かったって、本当に何もかも、遺伝子が弄ってあれば無条件に優れていると思われていましたから。例えば…、遺伝子編集コーラってご存知ですか? 「ゲノムの力でスッキリ爽やか!」とか、当時は嫌になるほどCMが流れていましたよ。スッキリ爽やかも何も、材料のステビアが酸化に強く遺伝子編集されてるってだけのコーラだったんですけどね。


遺伝子編集バナナや遺伝子編集リンゴは、「遺伝子編集」って言わなくなっただけで今でも変わらず流通していますね。遺伝子編集シャンプーは…、流石にもう見たことはないかな。遺伝子編集水は、田舎に行くとまだ売ってますね。遺伝子編集スパは…、今検索したら、近場のお店が2090年に潰れてました。そもそも何の遺伝子が編集されていたのかも分かりませんし、個人的には、よくもった方だと思います。


今を生きる皆さんの目には、当時の人間たちには倫理観が無かったかのように見えてしまうかもしれませんが。当時の人間たちにだって、倫理観が無かったわけじゃないんです。ただ、現代の倫理観と比べると、当時の倫理観は「狂って」いましたから。遺伝子編集技術の暴走を止めようという意志はあったんですが…、結局何もかもが、暴走を加速させるような方向にしか進まなかったんです。


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今回ご紹介する「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」などは、暴走を加速させてしまった典型例ですよ。


子供たちが遺伝子編集の知識を学習すれば、いずれ社会は遺伝子編集技術を正しく管理できるようになる。この理屈は、皆さんにも理解してもらえますよね?


では、学習の手助けをするために、知識の無い子供に生物の遺伝子を編集出来るオモチャを売ってしまったって言ったら…、納得してもらえますか?


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「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」のジャンルは、一口に言えばミニゲーム集です。子供向けの学習ゲームだけあって、どれもこれもそこまで複雑なゲームじゃありません。単純なパズルやシューティング、軽く遊べる戦略ゲームやボードゲームなんかが、このゲームの中にはたくさん収録されているんです。


とは言え、それらのゲームを遊ぶ「プレイヤー」は、私たち人間ではありません。


遺伝子を合成することで、このゲームのプレイヤーとなる人工生命を創造する。


それが、この狂ったゲームのルールなんですよ。


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人工生命を創造すると言ったって、難しいゲームではありません。本作には実験用生命体として「マイコプラズマ」が付属していますから、彼らの遺伝子にちょっとだけ手を加えて、彼らをゲームを遊ぶ生命体に改造すればいいんです。タイトルにもなっている5.8 * 10^5は、マイコプラズマ・ゲニタリウムのゲノムサイズを意味する数字でしょう? 小さな小さな細菌達を、ゲームの主人公に改造していくわけですね。


ご存知でしたか? マイコプラズマ。もしかすると知らない人の方が多いのかもしれません。今では想像することさえ難しいですが、マイコプラズマはかつて、人類にとっては恐ろしい病原体だったんです。しかし彼らはゲノムサイズが非常に小さい生命体でしたから、生命の設計書である遺伝子をあっという間に解読されてしまい、今ではすっかり無害な「実験用生命体」に改造されてしまいました。


「ゲームに病原体が付属する」と言えば恐ろしい話にも聞こえますが…、本作の付属品であるマイコプラズマは、人間のオモチャとして改造を施された人工生命体でしかありません。もちろんオモチャの安全基準を満たした上で販売されていますし、彼らの遺伝子は小さなお子さんが口に含むことを見越して編集されています。小さなお子さんにも安全に、命を弄んでいただけるでしょう!


人間の都合良く生物の遺伝子を弄ることなんて、特別珍しい話でもありませんよ。このゲームに付属しているマイコプラズマがその代表例です。これまでだって幾度となく改造された末、彼らは人間にとって都合の良い生命体に作り変えられた。だったら、そこからもう一歩踏み込んで。ゲームを遊ぶ生命体に彼らを改造してしまっても、誰にも、このゲームを止めることはできないはずでしょう?


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"MOST AMAZING SIGHT! Enables you to actually CREATE artificial lifes playing video games for the rest of their life! Bacterias struggle for survival produce fantastic playing, intricate survival strategy. Life Is Beautiful. Playing Genome Generator action is the easiest man has come to editing the Genome! Let's get started!"


「素晴らしい眺め!残された寿命の全てをかけてゲームを遊ぶ人工生命体を実際に造ることができます!真正細菌達の生存競争は、複雑な生存戦略による素晴らしいゲームプレイを生み出すでしょう!生命はかくも美しい!ゲノムジェネレーターを遊べば、ゲノムを簡単に編集することが出来ます!さぁはじめましょう!」


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ゲームを遊び始めるには、まずは遺伝子編集のベースとなるマイコプラズマ、これが詰まったカートリッジをマシンにセットします。スターターセットには数時間遊ぶには十分な量のマイコプラズマ・カートリッジが付属してはいますが…。あんまり命を粗末にし過ぎると、別売りのブースターセットを買い足して命を補充しなくてはならない事にだけ、十分に注意を払っておいてください。


カートリッジの認識が完了すれば、次はお楽しみの遺伝子編集に移ります。ゲームを始めてすぐだと、このモードの複雑さ面食らってしまう方もいるかもしれませんね。大丈夫です。遺伝子なんてやたらと設定項目が多いだけで、細々考えて調整しなくたって大した問題は起きませんから。ぱっと見で気になったパラメーターを、こう…、適当にチョイチョイっと弄っておくだけで、十分に生命は成り立ちます。


失敗したって後悔する必要はありません。なにせこのゲームはキッズ向けの学習ゲーム、生命なんか何度だって作り直すことが出来ますからね! まず実際に生きてる細菌から固有の遺伝子を取り除き、そこにプレイヤーが適当に弄った人工遺伝子を挿入します。上手く生命活動が開始されれば人工生命の完成、生きる事さえできない生命体が出来上がってしまったら…、そこでゲームオーバーってだけの話ですよ。


人工生命が出来上がったら、さっそく公式サイトから彼らが遊ぶゲームをダウンロードしてみましょう。単純なパズルやシューティング、軽く遊べる戦略ゲームやボードゲーム。ゲームの選択肢はたくさんありますが…、あなたが細菌に遊ばせたいゲームを買い与えれば、とりあえずは問題ありません。あなたは人工生命がゲームを遊ぶ姿を見守って、自分が与えた遺伝子が正しかったかどうかを確認すればいい。


上手くゲームを遊んでいれば出来の良い生命体、上手くゲームを遊ぶことが出来なければ…、そいつは、失敗作ってことです。どうです、簡単なルールでしょう?


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大丈夫大丈夫。遺伝子工学の知識なんてこのゲームには必要ありませんよ。なにしろ知識なんて持っていたら、遺伝子を弄ぼうなんて思えなくなってしまいますからね。


「ゲームを遊ぶ生命体を生み出す」なんて考えるから難しく思えてしまうんです。


「ゲーマーの習性を遺伝子に刻み込む」と考えればこのゲームは簡単ですよ。


仮にあなたが、可愛い我が子にゲームを買い与えたとしましょう。貴方は我が子にゲームの遊び方を教えても、子供は親の言いつけには素直に従いません。「序盤で経験値を積んでいないと後で困るぞ」と教えたって、あなたの子供は序盤から手を抜いてゲームを遊ぼうとするでしょう。「チャンスが巡ってきたら果敢に攻めろ」と教えたって、あなたの子供は臆病にも数々のチャンスを逃していくでしょう。


では、もし仮にあなたが、可愛い我が子の遺伝子を自由自在に編集出来てしまうとするのなら。あなたはどうやって、我が子にそのゲームを攻略させますか? 例えば、我が子の性格が慎重になるように遺伝子を弄って、本能的に序盤に経験値を積ませてもいいかもしれません。例えば、チャンスを逃さず果敢に攻められるように、恐れを知らない生命体に我が子のゲノムを改造してしまう手もあります。


あるいはいっそ…人間を超える人工生命体にしてしまうってのはどうですか。そうすれば必ず、あなたの子供はゲームを正しく遊べるようになるでしょう。


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それと、同じなんです。人間がマイコプラズマに変わったって、結局考え方は変わりません。ゲームの敵キャラを捕食者に、ゲームのステージを環境に、ゲームオーバーを毒物に見立てて。我が子の遺伝子に、その情報をあらかじめ刻み付けておく。そうすれば我が子はゲームのルールに従って、「捕食者」と遺伝子が認識した「敵キャラ」から逃げ、「生育環境」と遺伝子が認識した「ゲームステージ」に適応し、「毒物」と遺伝子が認識した「ゲームオーバー」を避けるようになる。


今回ご紹介する「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」のジャンルは、ミニゲーム集じゃありませんか。このゲームの中で一生を過ごすマイコプラズマにとっては…、ゲームの数だけ無限の将来が約束されているようなものでしょう? 自分が生み出した生命に、自分が望む将来を歩ませたいというのなら。可愛い我が子の将来の為に、そのゲームを正しく攻略できるよう、彼らの遺伝子を編集しておいてあげる。私にはよく分かりませんけど、それを世間では、「親心」って言うんじゃありませんか?


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一部の人達は、当時からこのゲームの事をこっぴどく非難していましたよ。


「ゲームを遊ぶためだけに生きている生命なんて存在していいわけがない」


彼らは倫理的に狂っていませんでしたから、ゲームを遊ぶためだけに生かされている生命なんて存在が、幸福に生きられるわけがないと思っていたんでしょう。


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しかしいくら評判が悪くても、ゲーマーはこのゲームを楽しく遊んでいましたね。


「ゲームを遊ぶためだけに生きている生命なんて羨ましすぎる」


彼らは倫理的に狂っていましたから、ゲームを遊ぶためだけに生きている生命という存在は、幸福に生きていけると思っていたんでしょう。


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ゲーマーと細菌の関係性を、親子の関係性になぞらえて説明したのは、別に気取った比喩表現をしたかったからではありません。親にとって子供とは、自らの遺伝子を受け継いだ生命でしょう? 実際、当時のゲーマー達は、自らが遺伝子を与えた人工生命の事を、「我が子」と呼んで可愛がったんです。たかがゲームの付属品に対して…、その可愛がり方は、常軌を逸したような光景でした。


親は子供に期待をかけるでしょう? 末は博士か大臣か。挙句の果てには子供の将来を決めつけて、自らの望む大人に成長するように教育を施してしまう。親の愛だか虐待なのか、子供を思う親の一方的な願望は、このゲームでも全く替わることはありません。ゲーマーは人工生命の親になったつもりで、彼らが一生を幸せに過ごせるゲームを選んであげようとしたんです。


当時一番人気だったのは…、ドットイートゲームですね。複雑なゲームではありませんし、遺伝子に攻略法を刻み込むことが容易でしたから。一度「敵」となる対象と「餌」となる対象を教え込めば、単細胞生物でも長時間生き残ることが出来る。百年前から教育法も確立されていて、今更子育てに悩む必要もない。我が子に堅実な一生を送ってもらいたいゲーマーには、非常に評判が良かった覚えがあります。


意外なところでいくと…、弾幕シューティングも非常に人気の高いゲームでした。あれは弾幕を光に見立てた上で、光を嫌うように遺伝子を編集するだけで良かったですから。あとは弾幕の中に我が子を放り込み、性格を臆病に調整しておけばいい。本当に弾幕に殺されると思っている細菌は、するすると弾幕の中を潜り抜けて。他のゲームを遊ばせるより、よっぽど安全なゲームでしたから。


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私が当時一番遊んでいたのは…「ライフゲーム」です。もちろんライフゲームとは言っても、数学者のジョン・フォン・ノイマンが考えたような、ドットとドットがぶつかり合って互いを食い争いようなゲームではありません。誰かの作った人工生命と、自分の作った人工生命。それをオンライン上で一つの環境に設置して、互いが互いの生存領域を奪い合う、本物の「生存競争ゲーム」でした。


自らとは違う遺伝子を持つ細菌は、お前の「敵」で、「餌」なんだと、我が子の遺伝子に刻み込んでおくんです。するとオンライン上で他の細菌と出会った我が子は、彼らを殺そうと食い荒らしにかかる。ようは…、生存競争ですよ。我ながら…、酷いゲームを遊ばせていた親だとも思いますが。当時はこのゲームを遊ばせるのが、我が子にとっては一番幸せに生きるための道だったんです。


私は当時、自らが作った人工生命に「エスケリキア」と言う名前をつけて、彼を自分の息子のように可愛がっていました。エスケリキアってのは…、大腸菌ですね。私は昔は貧弱な子供で、この手の菌と一心同体のような人生を送ってきましたから。そんな親に似てしまったのかもしれませんけれど…、彼はどんなゲームを遊ばせても要領が悪く、負けて苦しむばかりの貧弱な細菌でした。


私も一人の親として、息子には幸せな一生を送ってほしかったんです。しかしながら、私の与えた遺伝子が良くなかった。何をやらせても不器用で、シューティングを遊べば敵から逃げてしまい、パズルゲームを遊べば馬鹿すぎて他人に出し抜かれ、戦略ゲームを遊べば何もできないままにジリ貧になっていく。そんな息子が、唯一上手く遊ぶことが出来たのが…、殺し合いだったんですよ。


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なんだかんだ言って、子供は親に似るのでしょう。私が他の子供達と仲良くできない子供だったのと同じように。息子は他の細菌を見つけるとパニックを起こし、逃げるか攻撃するかしかしませんでした。その癖をして遊ぶ事には貪欲で、寝食を忘れて何時間でも粘ることが出来た。親譲りの性格が功を奏したのか…、息子は「生存競争」というゲームの中だけなら、活き活きと生きていく事が出来たんです。


遺伝子を適当に弄って生み出しただけの息子でしたが、彼がゲームを遊んでいるところを見ているだけで、私は、とても幸せな気持ちになれました。遺伝子に「他人は信用するな」と刻み付ければ、私が教えもしないのに、息子は他人の養分を吸い尽くそうとしました。遺伝子に「優れた仲間は利用しろ」と刻み付ければ、私が教えもしないのに、息子は優秀な細菌にコバンザメの様に付き従いました。


子供は、親の教育になんか従いませんよ。親の想像していた通りに成長をする子供なんか、この世に存在するわけがありません。親に「ゲームを遊ぶな」と言われておきながら、一生をかけてゲームを遊び続けた私は、それをよく理解しているんです。しかし、しかしながら。我が子の遺伝子を親が編集してしまえるこのゲームでなら、私が遊び方を教えなくたって、彼らは本能で私に従ってくれる…!


親馬鹿だと思っていただいて大いに結構。でも、聞いてください!私が愛する可愛い息子は…、本当に、本当に良くできた子だったんです…!他の有象無象の細菌とは出来が違った。教育が違った。遺伝子が違った。5.8 * 10^5 Gene Playing Labのライフゲームのランキングで、総合一位を獲得したことだってあるんですよ? 私の息子に負けて死んでいった他の皆さんの子供達には…、本当に申し訳ないですが。


仕方ないでしょう。私の息子が、教育が、遺伝子が、優秀過ぎたんですから。


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"All your dreams can come true if you have the courage to edit your genome"


「あなたに遺伝子を編集する勇気があれば、あなたの全ての夢はかなうでしょう」


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よくある本作に対する勘違いとして、「人工生命が死に行く様を見て楽しむゲーム」という評価が散見されることがあります。このゲームのプレイヤー達は皆、難易度が高いゲームの中にわざと人工生命を放り込んで、彼らが無残に死に絶えていく様を楽しんでいた…という類の話ですよ。狂ったゲーマーが、狂ったゲームに、狂った人工生命を閉じ込めていたんだと。このゲームは当時から、よく非難をされたんです。


いくらゲームとして本作が素晴らしく、プレイヤーが人工生命に愛情を持っていたとしても。世間が私達を「親」と見做してくれなかったのは…仕方がありません。ゲームオーバーになったら細菌を殺してしまう仕組みがあったわけではないのですが、遺伝子によって本能的に「ゲームオーバーになったら死ぬ」と思い込まされていた細菌達は、わざわざゲームが手をかけなくても、勝手に死んでしまいましたから。


プレイヤーは「人工生命に楽しいゲームを遊ばせてあげたいんです」と目を輝かせて語りましたが…、そんなのいくら語ったところで「人工生命にゲームを無理に遊ばせている」ようにしか見られませんでした。なにせ無茶苦茶な人によっては、お互いの子供をゲームと称して殺し合わせてすらいたそうじゃありませんか。そりゃあ…、こんなゲームの評判が悪くなるのも、仕方がない話なのかもしれませんが。


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ただ、一人の親として。私は断言させてもらいたいんです。子供の幸福を願わない親なんて、存在するはずが無いでしょうってことを。


私は確かに、厳しい生存競争の中に我が子を放り込みました。自由意思など考えもせずに、自分の決めたゲームを我が子に無理やり遊ばせました。残酷かもしれませんけれど、それは事実です。しかしそれは先ほども説明した通り…、それが我が子を幸せにするために一番良い方法だと思ったから。私ほど、息子の幸せを願った人間は他にはいません。厳しい生存競争を息子が勝ち残っていけるなら、なんだってする。私には親として、彼を導いてあげるだけの責任があったんです。


他の細菌を間接的に殺してしまったとしても、遺伝子を編集して我が子の将来を決めつけてしまったとしても、厳しい生存競争に我が子を追い込むことになってしまったとしても。それは全て、我が子の幸せを願ったが故の判断です。他人の子供を踏み台にするのが嫌だから、我が子に努力をさせない親がいますか? 我が子の将来を決めつけてしまうのが嫌だから、我が子に教育を行わない親がいますか? 我が子を競争に晒すのが嫌だから、我が子をいつまでも閉じ込めておく親がいますか?


いるわけないでしょう。綺麗事を言うのは、子供の前だけにしてくださいよ。


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私の眼から見れば、このゲームのプレイヤー達はみんな、立派にマイコプラズマの親を務めていました。子供がゲームに失敗したら、子供に変わって涙を流し。子供がゲームに成功したら、子供に変わって笑顔をこぼす。下手くそなゲームプレイでむざむざと死んでいく細菌達を…、彼らはじっと、唇を噛んで見守っていました。その姿が、まさに「親」の姿そのものだと、私には見えてしまったんです。


子供を操ることなど出来ないことを分かっていながら、親はあの手この手で子供の人生に介入しようとするでしょう? このゲームだって本当は、細菌がゲームを遊ぶのを見守ることしか出来ないゲームのはずですよ。しかし親になってしまったプレイヤーは…、細菌の拙いゲームプレイを見守っていることに耐えられなかったようで。文字通り「あの手この手」で、細菌のゲームプレイに介入しようとしていました。


「わざと負けてくれ」なんて頼み込んでくるプレイヤーは、当時は珍しくもありませんでしたよ。私もランキング一位にいた頃は、何度八百長を持ち掛けられたか分かりません。チームプレイが出来ない細菌に、「あいつとは仲良くしてはいけない」なんて我が子に教え込むプレイヤーも少なくありませんでしたし。怪しげな薬にお金をつぎ込んで、我が子の成長を加速させようとするプレイヤーいました。


ゲーマーとしての彼らは…、醜い存在でしたね。ゲームを有利に進めるために、あらゆるチート行為を臆面もなく使っていた。本当、最悪な連中でした。ただ、今になって振り返ってみると…、彼らはゲーマーとしては確かに最悪でしたが、親としては最高だったのかな、とも思うんです。全ての行動が子供の幸せを願うことに繋がっている。親はそういう生き物であって欲しいと、私は思っていましたから。


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親が子供の幸せを願う行為と。


親が子供の幸せを理由に子供を支配する行為と。


二つの行為の境目は、皆さんは一体どこにあると思いますか。


私は…、親が子供の人生を生きようとしているかどうかだと、思っています。


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子供の人生は、親にとっての「強くてニューゲーム」じゃありません。親がどれだけ「自分と同じ失敗を子供にして欲しくない」と願ったところで、子供は自分の判断で失敗を繰り返しますよ。


思えば私の父親も、私にたくさんのゲームを買い与えてくれましたが、ただの一度としてその遊び方を教えてくれる事はありませんでした。父がゲーム内で犯してしまったミスを、おそらく私も同じように侵してしまった事でしょう。


ただ、父がゲームの遊び方を知っていたとしても。私に代わってゲームを遊んでくれるわけじゃありませんから。結局私は、自分で好きなようにゲームを遊び、人生で山のようなミスを犯してきました。


だから私も、かつての父親と同じように。自分が作り出した人工生命に、色々なゲームを買い与えました。そして彼が一番楽しそうに遊んでいた「殺し合い」だけ、彼に遊ばせることにしました。


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"My life didn’t please me, so I edited my gene"


「私の人生は楽しいものではなかったわ、だから私は自分の遺伝子を修正した」


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忘れもしません。2083/07/15、大量のアカウント削除が行われた日です。


何故そんなことが分かったかと言うと、これはスコアランキングを見れば一目瞭然だったから。本作では、ゲームの一本一本にスコアランキングが用意されていましたから、このランキングの上位に我が子の名前が載ることはとつもない名誉…だったのですが。一夜明けたら、そのランキングが歯抜けの状態になっていましたから。アカウントが大量に停止されてしまったと見て、疑いようが無かったのです


とは言え、「少し様子がおかしい」と言うのが、親としての率直な感想でした。我が子可愛さに不正行為を働いたのであれば、ランキングの上位にいるアカウントが停止になるのが普通でしょう? にもかかわらず、今回の停止措置でランキングから除外されたスコアは、どれもこれもランキングの中位くらいにいたスコア達。ハッキリ言って、不正を働いた結果のスコアとしてはお粗末としか言いようが無かった。


最初のうちは、どんなお粗末な不正なんだって、みんな笑っていましたよ。いくら我が子の出来が悪いとは言え、出来の悪い親が庇ったんじゃあ可哀想ですからね。それに引き換え自分たちの子供はとても優秀で、親である自分達がわざわざゲームプレイに介入なんかしなくたって、彼らは十分に幸せに生きていける。いずれにせよ、自分たちの可愛い子供とは無縁の事件だと思っていたんです。


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数日たって、不正に使われたツールが特定された後には。みんなの笑いもさらに倍になりました。チートに八百長、薬に電気ショック。我が子可愛さに不正が横行していたこのゲームでも、未だ存在していなかった不正がその時新たに発見されたんです。それの何が面白かったって…、よりにもよって、「親が子に代わってゲームを遊んであげるための人工生命の操縦ツール」でしたから。


ナノマシンの操縦技術は、そんなに高度なテクノロジーではありません。特定の周波数の信号を照射された時に、その信号の発生源に向かって移動するようにプログラミングが施されているだけの話なんです。あとは使用者が好きな方向から信号を照射すれば、ナノマシンはその方向に向かって移動するようになる。これは広く医療用ナノマシンでも利用されている技術で、当時からして、特段珍しいものでもありませんでした。


おそらくは…、ゲームに苦しみ続ける我が子を見ていられなくなったどこかの親が、我が子をこの手で導いてあげるしかないと思い込んでしまったのでしょう。市販されていたナノマシン操縦ツールの信号に吸い寄せられるように移動する習性を、我が子の遺伝子に無理やり組み込んでしまった。そうすれば、ナノマシン操縦ツールを流用して、我が子を自分の手で誘導することが出来るようになりましたからね。


いやあ、当時はみんな爆笑しましたよ。運営はまるでこの事件がロマンチックな話かのように、親が我が子を守れなかったという悲しいニュース…みたいなノリで詳細を説明していましたけれど。こんなもの私達ゲーマーの目から見れば、「どこかゲーマーが細菌に代わってゲームを遊んであげようとしたら、細菌以下のゲームプレイしか出来なかった」、そういう、笑えるニュースでしたから。


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みんな、目は笑っていましたよ。ただ、心の底から笑っていたプレイヤーは、ただの一人としていませんでした。だってそれは、あまりに恐ろしい不正でしたから。子供を操ることなど出来ないと分かっていたからこそ、親達はあの手この手で子供の人生に介入しようとしてきたんです。それが、そのはずなのに。このツールを使ってしまえば、親が子供の行動を完璧に制御する事が出来てしまうから。


操縦ツールの存在が知れ渡ってからというもの、ゲーマーのモラルは瞬く間に崩壊していきました。いや、親としての責任感が高まっただけなのかもしれません。これ以上我が子が苦しむ様を見るくらいなら、親である自分が我が子に代わってゲームを遊んであげるしかない。自分は子供よりも正しく、彼らの一生を判断してあげることが出来る。プレイヤーの大半は、そんな事を考え始めたのです。


他人が遊んでいるゲームが簡単そうに見えてしまうのと似たような理屈ですよ。いや、この場合、子供の人生が馬鹿な失敗だらけに見えてしまうのと似たような理屈なのかもしれません。誰だって外から眺めているだけなら、他人のやっていることがとても簡単に見えてしまうものですからね。しかも相手は単細胞生物、その上自分の子供とくれば、そういう思い込みはより一層強くなってしまう。


自分は細菌よりうまくゲームを遊べると、誰もが、そう、信じ込んでいましたから。


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一人が操縦ツールに手を出せば、その周囲の十数人も操縦ツールに手を出していく。しかし、生死をかけて必死になってゲームに臨んでいた細菌達と、所詮は細菌の命を弄んでいるだけに過ぎない人間とでは、ゲームに対する覚悟が違います。プレイヤーたちは何度遊んでも何度遊んでも、結局細菌以下のスコアしか叩き出すことは出来ませんでした。親たちは、自らの手で、我が子の未来を摘み取っていきました。


最初は「操縦ツールの操作性が悪い」だのなんだのと言い訳を言っていたプレイヤー達も、我が子の死体が積み重なるにつれ、口数はどんどん減っていった覚えがあります。親なんて都合の良い生き物ですから、操縦ツール批判の次は我が子への説教ですよ。「お前が俺の言いつけを正しく守らなかったのが悪い」とかなんとか言って、自分がゲームが下手で判断ミスを犯したことを我が子のせいにする。


自分の教育で我が子の一生が無茶苦茶になってしまった後、どこにも文句をつけることが出来なくなってしまった親が最後に文句をつける先は…、いつも相場が決まっています。「社会が悪い」ですよ。このゲームの一生も、最後はそうやって終わっていきましたから。自分で細菌を操って、何度何度も細菌を死に追い込んだプレイヤー達は、最後にこう言ってこのゲームの事を非難したんです。


「理不尽なほど難易度が高くて、こんなゲーム遊べたもんじゃない」と。


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"Conquer your gene rather than your mind"


「精神ではなく、己の遺伝子を征服せよ」


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「5.8 * 10^5 Gene Playing Lab」は、まず本体が当時の価格で600ドル。これはゲノム編集ツールとしては格安の値段で、採算を度外視していると言われたほどでした。それに付け加えて、公式ストアで販売されているゲームは一本1ドル。子供向けの教育ゲームですし、学業に奉仕するという高潔な意志もあったのかもしれません。


ではこのゲーム、一体どこで採算をとっていたのかというと…。それは、レシピエントの入ったカートリッジ、つまり、ゲノム編集のベースとなる細菌そのものです。


人工生命は無限増殖を防ぐという理由から、国家によりその寿命が厳しく定められています。本作に付属していた細菌達のカートリッジの有効期限は、おおむね一か月。ゲームオーバーで細菌に負担がかかれば、当然消耗はもっと早くなる。このゲームを長く楽しもうと思えば、カートリッジを買い足していくしかない。


では、開発元が本作で利益を上げようと思ったら、一体どういうゲームを作るのでしょう? それは当然、カートリッジを早く消耗してしまうゲームです。つまり、難易度が理不尽に高くて、すぐに細菌が死ぬゲームを作ればいい。人工生命に長生きなんかされたって、一銭の利益も生まれませんからね。


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私達は、コインをゲーム機に投入するかわりに、生命をゲーム機に投入している。


それは、このゲームが販売されたときから、誰もが納得していたはずの事実でした。


昔々のそのまた昔、ゲームがゲームセンターで稼働していたころ。ゲームが一回ワンコインで遊べるシステムになっていた時代。当時のゲーム会社は自社のゲームの利益率を上げるために、難しいゲームをたくさんリリースしました。ワンコインで何時間も遊んでしまっては、ゲームに見合った売り上げを徴収することが出来ない。それは重々分かっていたからこそ、ゲーマーも多少の高難易度を許容していました。


このゲームだって…、基本的にはそれと同じです。ゲームに見合った売り上げを徴収するためには、どうしても代替用のカートリッジの購入してもらう必要がある。むしろ難易度が非常に高かったことで、ゲーマーにとっては挑戦のしがいのあるゲームがたくさん揃っていたからこそ。 私たちはあれだけ夢中になって、このゲームの攻略に全精力を注ぎ込んだんじゃありませんか。


生きていく事が難しいのは当たり前、それでも子供は一人で生きていかねばならない。だからこそ私達プレイヤーは、一人の親として、マイコプラズマに厳しく人生の遊び方を教えてあげていたはずなのに。いざ自分の教育方針が間違っていたと気付いてしまったら、突然「生きていくのが難しすぎるのが悪い」なんて文句を言い始めるなんて…、ちょっと、親としての自覚が足りなさ過ぎたんじゃありませんかね。


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後には、何にも残りませんでしたよ。


大量生産されていた細菌達のカートリッジは不良在庫となり、倉庫の中で短い生涯を終えました。2085年に「遺伝子組換え生物等の開発及び流通に関する法律」が制定された時、本作のメインマシンも当然自主回収の対象となりましたが、メーカーが回収するほどもう市場には数も残ってはいませんでした。


残ったのはこのゲームのボロボロの評価と、あの頃はあんなブームもあったよねと言う感慨だけ。攻略サイトは人工生命愛護団体に荒らされ、あっという間に404になり果てました。全てはまるで無かったことのように忘れられ、「30年前はそんな遅れた倫理観の社会だったんだね」なんて、全ては遠い昔の物語です。


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皆さんは、このゲームの人工生命が、楽しいゲームを遊んで幸福に死んだと思いますか。それともつまらないゲームを遊ばされて不幸に死んだと思いますか。


おそらくは皆さんも、このマイコプラズマと似たような一生を送ってきたんでしょう? 狭い空間に閉じこもり、ゲームだけを遊んで一生を終える。これが幸せな一生じゃないとしたら、私達の一生も幸せじゃないってことになってしまう。


私は、一人のゲーマーとしては。「自分の人生は幸せなものであった」と、断言することが出来ますよ。ただ、一人の親としては。「私はお前を幸せにしてあげられたか?」だなんて、そんな間抜けな質問を人工生命に聞くことは出来ません。


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やっぱり、親子ってのは似るんですかね。父は、買い与えたゲームの遊び方を私には教えてくれなかった。私も結局は、息子にゲームの遊び方を教えようとしはしませんでした。適当に遺伝子を弄ったら生まれた生命体に、いくつかゲームを遊ばせてみたら、たまたま殺し合いを気に入ってくれた。ただ、それだけの話です。


嫌になりますよ、本当。ゲーマーっていうのはどいつもこいつも、「ゲームの良さは遊べば分かる」と思い込んでやがる。不器用な連中ばっかりで。


2115/8/14 (Article written by Alamogordo)


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