概要
彼らはその身に流れし《血》の〝本質〟であり〝宿命〟に従い、歩み続ける
特異な〝力〟を持つ血族〝クロトラケス〟と〝力〟を持たない血族〝アポロトス〟――二つの血族に分かれた世界。
その空には、特殊な鉱石と失われつつある技術を用いて造り出された〝島〟が浮かび、それらは旅島や放浪島、空渡島、楽園、天島――と、様々な呼び名で呼ばれていた。
そんな数多の島々の中に、少し変わった〝島〟があった。
――放浪島『ビフレスト島』。
〝自由〟を求め、世界を巡り続けるその〝島〟は、一部の者たちから〝虹兎〟と呼ばれている、とある〝クロトラケス〟の住処だった。
そして、百人にも満たない島民のほとんどが〝クロトラケス〟で占められていた。
〝島〟唯一の喫茶店――『リーメン』。
そこの店員の一人である白い少年――ユオンは、世界からはぐれて〝島〟に辿り着いた者たちに