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人形使いが人形の森にこもって幾十年。
ついに本当に人形使いになる日がやってきた。
環境変化はゆっくりと、時代に遅れた引きこもり人形使いの小さなサーカスも巻き込んで世界に本格的な"変化"をもたらした。
人形使いはただそれに踊らされただけ。でも本物の人形使いになったのは本当だ。
今まで裏返しのトランプのカードにすぎなかったただの夢が、悪夢よろしく立ち上がってはお辞儀する。ここから出してくれてありがとう、さあ一緒に夢を叶えにいこうじゃないかと。
人形使いは戸惑った。たしかに夢は叶えられるようにはなったかもしれない。けれど自分の背中をよく見てみろと。
あの頃と何も変わらない、強欲と世間知らずの翼が生えているじゃないか。
それにあいもかわらずの傲慢ちきの透明マント。
内側にはなにもない。
あるのは見せびらかしの独りよがりと隠しきれていない欲。釣り合わない組み合わせ。
トランプ人形たちは表に返った。
このままテントを出て行こうとすらしている。
私は彼らを止めたいけれど、透明マントから滲み出す酸の汁と悪臭は誰にも止められない
あの頃と同じ闇の中で。
テントの中で。
私は一人で踊っていたかった。
そのほうが誰にも迷惑をかけないと思っていたからだ。
トランプカードの裏面は喜劇。
表面は白紙。
歴史は軌跡。
想いは裏表紙。
言葉はその切先。
ナイフの刃が心をえぐる。
もう少しだけ世間知らずでいさせてほしい。
そんなふうに思って、いるだけ。