• に登録
  • SF
  • エッセイ・ノンフィクション

翼を持つものが空を飛ぶセカイ

11/3


自分の好きなものを作っていいんだよと言う言葉を、改めて誰かに伝えられた休日だった。
私はひねくれ者なので、「絶対にこれは作ってはいけないもの」というリストに手をかけた。

私は彼あるいは彼女たちを知らないし、彼ら彼女も私を知らないだろう。
だからここで私は誰ともなしに、誰にも聞こえないようにそっと呟くだけで済ます。


作ってはいけないもの。リアルな生死。描写範囲外であっても誰かと誰かが命のやり取りをしていることを感じてはいけない。
リアルな空中戦には息を呑んだ。古いスターウォーズの空中戦を彷彿とさせるシーンが沢山あったし、私の記憶が確かなら、若い頃のルーカスは日本軍の零戦とF6FやB-29が実際に戦っている動画を見て、これを映したいと言っていたはず。
動画の大元には多くの戦死者がいたし、実際に撃ち落とされた戦闘機はそのまま派手に地面に衝突して燃えていた。


この作品は、あまりにも死が身近すぎるなと思った。
多くの美少女たちが、空飛ぶ傭兵として死と隣り合わせの世界に生きながら、可愛らしくパンケーキを食べる、ぼくっ子がいる、華奢な整備班長がいる、異世界からの穴が開いて人と技術と文化が入ってきて彼らが消えた後の世界。

非常に燃える世界線だし、声優は魅力的でキャラクターたちはとてもいきいきと可愛らしく可憐だ。


あなたたちは求めているのだろうか?
美少女とレシプロ戦闘機とSF。しかもポスターにはバッチリそれらが描写されている。

なのになぜだろう。人が死ぬ描写がとても多いことには触れられていない。

やりたいことは、生死感。今を一生懸命生きる。前に向かって飛び続ける。幾人もの人たちが脱落して地面に落ちても、歯を食いしばって必死に前へ飛んでいく少女たち。

生死感がテーマだったような気がする。



もし今作っている作品が名作だったとして。
キャラクターの燃え萌えポイントを抑え、豪華声優を声に当てて、意外性を含んだテーマを持ちシナリオも完璧に抑えた。


あなたが本当に作りたいものは何ですか?

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する