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夜の貝塚の世界

8/12


本日はシラフ。海辺のどこか。
ここには松ではなく雑木林と墓場が広がっている。それから死に損ねた二枚貝たちの殻という殻。
殻が海の波に揉まれて砕かれて、その身と一緒に泥となりまた別の貝たちを育み、死んでまた増えていく。

生命とはすごいものだ。ビオトープの中のまがいものの生命たちとは違い、有限ではあるが無限に、貪欲かつ変化に飲み込まれつつ、粛々とその生を謳歌している。
本日の月はブロック状なのかと思っていたが、意外と今日のは霞のかかる大きな月だった。
今私は、昔通っていた行き止まりの路側帯にいる。海辺の通行止めで、正確にはUターン専用路。海の先に道はつながっていないが、ここは私の旅を止められる場所でもない。
前はよくここで創作活動をしていた。潮の音を聞きながらこうやって日記を書き、小説を書くことに集中して、疲れたらそのまま家に帰る。
潮の音。船の行き来。ビオトープから飛来する虫。それから……牡蠣の違法漁業をしている中国人観光客。

海はいい。
意外といいものだと思う。
さて、もうそろそろ出かけるかな?
今夜も無事に旅立てればいいけれども。

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