第22話

 3階層で階段を発見して4階層にたどり着き探索をし続けていると、空に2匹のホークの姿が発見される。


 しかもそれだけではなく、ラビットも2匹それほど離れていない場所におり、俺とシルクをホークもラビットも既に気が付いているようだ。


 「シルク。どうしよう、これ。」


 「ホークは私がやります。ご主人様はラビットをお願いしますね。」


 「わ、分かった。」


 既に攻撃態勢に入っているホーク2匹にシルクは投擲の準備を始めている。俺はそんなシルクを守る為にラビットたちとシルクの間で皮の盾を構える。


 今の俺では防げてもラビット1匹だけ、でもそれは皮の盾だけを使った場合だ。だからこそ、本来の用途とは違うが木の剣を盾の代わりにすることに決めた。


 そうすればラビットの数が2匹でも防御することが出来るはずだが、でも下手したらラビットからの攻撃は受けてしまうだろう。


 俺は覚悟を決めてラビットたちの姿を視覚から逃がさないように警戒を続けていく。


 「ホーク来ます!」


 シルクがホークがこちらに来ることを伝えることを聞きながら、俺も迫り来るラビット2匹に意識を向かわせて集中する。


 「いま!!」


 俺は片方のラビットの進行方向に皮の盾を構え、もう片方のラビットの進行方向に木の剣を地面に突き刺して構えた。


 両腕に衝撃が走る。ラビットが衝突した皮の盾と木の剣から走る衝撃に顔の表情を歪ませながら若干感じる痛みに耐える。


 元々防具としての使用を前提とした皮の盾の耐久力はそれほど落ちていないが、木の剣は先ほどのラビットの衝突でミシリと嫌な音を立てていたことに嫌な予感がするが、今も脳震盪で倒れているラビットたちを倒すことを優先した。


 1匹目のラビットを殺した時は問題なく木の剣は耐えた。だが、2匹目のラビットを叩いた時にバキンッと音がして木の剣がへし折れてしまう。


 「あっ!」


 へし折れた木の剣の一部が飛んでいくのを視線で追っていると、いつの間にかシルクがラビットに短剣を突き刺してトドメを刺していた。


 「ごめん、助かったシルク。」


 「いえ、それよりも問題なのはその武器ですよ、ご主人様。」


 シルクの言う通りこの木の剣は使えないだろう。無理矢理使えないこともないかも知れないが、俺の攻撃範囲が減ってしまって危険でもあるから武器の交換が必須なはずだ。


 「今日は帰ろうか。武器、壊れちゃったし。」


 「そうですね。そうしましょう。ホークのカードを回収して来ます。」


 シルクがホークのカードを取りに向かった間に、俺は落ちているラビットのカードを拾ってカードを確認する。


 「両方とも毛皮か。」


 ラビットの毛皮をカードから取り出してインベントリに毛皮2枚とブランクカード2枚を仕舞うと、シルクが向かって来るのが視界に入るなかでインベントリからある魔道具を取り出した。


 「おかえり、シルク。カードはどうだった?」


 「2つともホークの羽でしたよ。」


 シルクから受け取ったカードは2つともホークの羽だった。もちろんこのカードからもホークの羽を取り出してブランクカードとホークの羽をインベントリに仕舞う。


 「マイルームに帰る前にこれを使わないとな。」


 手に持った杭の形をした魔道具を地面に突き刺した。


 ちなみに突き刺した魔道具はこれである。


記録の杭

効果 記録の杭を突き刺した階層を記録して次からはこの場所に転移することが可能になるが、効果は1度切り


 1度切りの効果だが、次からはこの階層に転移することが出来るので1階層の階層から探索をする必要は無くなった。


 メニューから鍵束を選んでマイルームキーを取り出すと、俺とシルクは光に包まれてマイルームへと帰還した。


 帰還後は探索で汚れた身体を綺麗にしてからシルクと2人でどんな武器を購入するかを決めていく。

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