第41話
妖精花の陰に隠れていた小さな妖精が飛び出すと、投擲されたナイフは妖精花を貫いて地面に突き刺さる。
「あれが妖精!!」
「ご主人様、来ますよ!!」
妖精はこちらに手を向けると魔法陣が妖精の目の前に展開されて、その魔法陣から風の弾がこちらに向けて放たれる。
「早い!?ぐぅっ!!」
放たれた風の弾はすぐに俺の前方に来た。俺はすぐに風の弾の軌道上に盾を構えて防いだのだが、鉄の盾に命中した風の弾の衝撃に俺の上半身が泳いでしまう。
妖精の追撃を今のバランスを崩した俺なら受けてしまう。そう焦る思いも裏腹に妖精は追撃を行なって来なかった。
どうやらシルクが妖精を追い掛け回しているお陰で妖精はシルクに掛かり切りになっているようだ。
周りにもあの妖精しかいない様だ。俺もシルクと一緒に妖精を倒す為に行動しようとしたが、その前にシルクの短剣の月狼牙が妖精を切り裂いた。
「へぇ、あの妖精はフェアリーだったのか。」
ログを確認しながら俺はシルクの元まで向かった。シルクは辺りを警戒しながら俺を手招きしている。
「シルク、フェアリーと戦ってみて、どうだった?」
「体格が小さいから攻撃を命中させるのは大変でしたよ。ああ、それとご主人様。魔法陣が現れたのなら、魔法陣から射線を離れると良いですよ。それでフェアリーの魔法には当たりません。」
「そうなんだ。アドバイスありがとう、シルク。」
シルクが拾ったカードを妖精の粉というアイテムのカードだった為、カードから出さずにインベントリに収納する。
それからしばらく歩いていると再び俺とシルクはフェアリーに遭遇する。フェアリーの数は3匹だ。
「シルク、俺が引き付けるからその間に倒してくれ。」
「分かりました。」
「すぅーーーッ、うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!」
思い切り息を吸い込んで雄叫びをあげる。そうすると、周りのフェアリーたちは俺に意識を向けてきた。
すぐに魔法陣を俺に向けて展開する。すぐに俺は魔法陣の射線から離れる様に行動すると、その後すぐに火の弾、風の弾、水の弾が飛んでくる。
どうやらフェアリーはそれぞれ属性の違う魔法を使う様だ。そうなると一匹一匹が違う属性魔法を持っているのだろう。
1発だけ射線から離れるのが遅かった魔法は鉄の盾で防いでしまうと、俺はフェアリーの注意を引く為に挑発する仕草を行なった。
すると、フェアリーたちは俺に敵意をより向けて魔法陣を展開しようとするのだが、すぐに魔法陣が展開する様子は見れない。
フェアリーたちも首を傾げている事から、これはフェアリーが意図的に魔法を失敗したのではないのだろう。
だが、そんな隙を見逃さない者がいた。それはシルクだ。シルクはフェアリーが2匹で固まっていた場所にナイフを6本投擲しながら残りのフェアリーに急接近して短剣を振るって切り裂いた。
投擲用ナイフを投げ付けられたフェアリーたちの方はと言えば、そちらもフェアリーの1匹は胴体に突き刺さり、もう1匹は翅を貫かれていた。
俺はまだ生きているフェアリーの元まで向かってトドメを刺すと、カードを回収してからシルクと合流してすぐにこの場から離れる。
俺の雄叫びを聞いてフェアリーたちが集まって来ている可能性があるからだ。雄叫びを上げて注意を引くのは止める事にした。
フェアリーから放たれる魔法攻撃を躱し防ぎなどして接近してフェアリーを倒したりしながら進んで7階層。この階層で不思議な事が起こった。
「あっ!!」
フェアリーが2匹、妖精花もどき1匹と遭遇した際にそれは起こり、妖精花もどきがフェアリーをバクンッと食べてしまった。
同族で仲間のフェアリーが食べられた瞬間にフェアリーは動きを止めた。その隙を付いてシルクがフェアリーを切り裂いて倒す。
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