第40話
投擲用ナイフが茎に突き刺さると、周りの花に小さくなり擬態していたモンスターの花にある口から「キシャアアアアアーーーーッ!!!!!?」と鳴いて痛いのか、大きな花は身体をくねらせ蔓を鞭の様にして振り回している。
「厄介だな。」
「不規則に振り回されると予測も出来ません。」
先ほどから無茶苦茶に大きな花のモンスターが振り回す蔓の鞭に俺もシルクも接近することが出来ない状況だ。
離れた場所を攻撃するにはシルクの投擲しかない状況では、あの大きな花のモンスターが落ち着くまで俺は何も出来ない。
「落ち着くまで待つか?」
「いえ、このまま投擲で倒します。どうやら相手は動けない様ですからね。」
シルクは両手で6本の投擲用ナイフを指の間に挟むと、今も蔓の鞭を振り回している大きな花のモンスターに向かってナイフを投擲した。
痛みで投擲されたナイフにも未だに気が付いていない大きな花のモンスターに次々にナイフが突き刺さる。
茎や花弁の根本など様々な箇所にナイフが突き刺さると、大きな花のモンスターはそのまま力を失って散らされた花園に横たわるのだった。
「6本も追加で投擲しなくても良かったですね。最初のナイフの投擲だけでも致命傷だったのでしょうか?」
「それは分からないけど、かなりダメージは与えていたんじゃないか?」
倒れてカード化したのを確認した俺たちは先ほどの大きな花のモンスターである妖精花もどきの元に向かう。
そして落ちているカードを拾って確認すれば、そこには腕輪の絵が描かれていた。描かれていた腕輪の名前は縮小の腕輪と言うらしい。
縮小の腕輪
防御力 10
効果 【縮小化】
【縮小化】の効果は1時間の間、身体の大きさを小さくなると言う効果の様だ。
「使いますか?」
「使い道が分からないから使わない。でも珍しい装備品だし売らずに取って置くよ。」
俺はインベントリの中に取れ出した縮小の腕輪とブランクカードを収納すると、妖精の花園の鍵の攻略を目指して先を進む。
「そう言えば、この花って妖精花って言うんだな。あのモンスターが妖精花もどきならさ。」
「私の種族は古く大事にされた家屋で誕生しますが、ここの妖精たちは妖精花で生まれているのだと思います。」
「へえ、そうなんだ。」
妖精は不思議な生態をしているな。シルクと話をしていてそう思っていると、シルクが立ち止まった。
「また妖精花もどきか?」
「いえ、あそこに採取ポイントを見つけたのでご主人様に教えようと思いまして。」
シルクが指を刺した場所には確かに採取ポイントがあった。妖精花は薄っすらとだが光を放っているせいで気が付かなかった。
早速ブランクカードを採取ポイントに翳して採取を行なった。この採取ポイントでの採取回数は2回。その2回の採取のうちの1回にはこんな物が採取に成功した。
妖精花
効果 HP20回復、MP30回復、SP15回復
薄っすらと光を放つ妖精が生まれてくる花 蕾の様に花が膨れていると、その中には妖精が居るのだが、この花には居ない
「見てよ、シルク。」
「妖精花が採取できたんですね。」
「うん。妖精は居ないけど。」
それでも面白い物が採取できた事には変わらない。俺はインベントリに妖精花のカードも含めて2枚のカードを仕舞うと移動を再会する。
それから俺とシルクは遭遇するフェアリービーや妖精花もどきを倒して階段を降りて行き、5階層の探索を行なっている時にクスクスと言う笑い声が聞こえて来た。
「シルク、これって?」
「妖精でしょうね。あちらの方角に居ますよ。」
「それじゃあ行こう。」
シルクが指を差し方向に向かう。俺はいつでも盾での防御が出来る様に身構えながら進んでいると、妖精たちの楽しそうな笑い声が段々と大きく聞こえてきた。
笑い声の大きさからしてだいぶ妖精たちとの距離が縮まったのだろう。それでも姿を見せない妖精はきっと妖精花の花園を隠れ蓑にしているに違いない。
「そこです!!」
そう警戒していると、シルクが隠れている妖精を発見したのか投擲用ナイフを妖精花の咲いている一角に投擲した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます