第16話
青白い渦の中に入って転移した俺とシルクは昨日に続いて1階層からの探索を開始した。
「どっちの方に階段があったのか、シルクは覚えてる?」
「覚えていますよ。ですが、ダンジョンは同じダンジョンで同じ階層でも毎回階段のある場所や採取ポイントの場所すらも変更されてますからね。1から探索のし直しです。」
「ああ、そう言う感じか。ゲームの中にもあったな。」
不思議のダンジョンとかそんな感じのゲームが似たような感じだ。
そんな話をしながら草原を歩いて移動していると、俺とシルクは1階層に現れるモンスターであるラビットと遭遇する。
「防ぐからあとは頼んだぞ。」
「はい、ご主人様。」
俺はシルクの前に出て盾を構えると、ラビットの突撃を防ぎ耐える覚悟を決める。
構えた皮の盾にラビットの突撃からの体当たりの衝撃が来た。
「うッ!シルク!!」
「はい!」
ラビットの体当たりを受けて若干だが後退った俺はシルクに地面でフラフラしているラビットを倒すように指示を出す。
そうして前に出たシルクは昨日よりも素早く動いてラビットの首を器用に切り裂いた。
ピクピクと痙攣してそのまま動かなくなったラビットが粒子に変わって行き、その場にはカードが1つドロップする。
「シルク、何がドロップしてた?」
ドロップしたカードを拾ったシルクに聞くと、シルクは拾ったカードを俺に渡して教えてくれる。
「ラビットの毛皮でしたよ。」
「普通のドロップアイテムか。」
手渡されたカードを確認すれば、そこにはラビットの毛皮の絵が描かれていた。
カードからラビットの毛皮を取り出した俺はインベントリにブランクカードとラビットの毛皮を収納すると探索に戻る。
それから1時間ほど探索をした俺とシルクは2階層へと続く階段を発見する。その階段を見つけられるまでの間、採取ポイントから5回ほど採取を行ない、ラビットの討伐数は26匹だ。
そうして降りた2階層の景色は1階層と変わらない景色だ。背丈の高い茂みが草原の幾つかにちらほら確認できる。
階層が増えたから同時に現れるモンスターの数が増えるか、それとも新しいモンスターが現れるのかと思ったが、どうやら2階層でもラビットが1匹のようだ。
「シルク、1階と同じ戦い方でいこう。」
「はい。ですが、階層が上がってラビットも強くなっているはずです。気を付けてください。」
「分かった。」
シルクの言う通り、ラビットも階層が上がって強くなっている可能性は高い。俺もより踏ん張ってラビットの体当たりを防ごう。
ラビットに接近して行くと、ラビットも俺たちに気が付いて走り出した。
走り出すラビットのスピードは確かに1階層で遭遇するラビットよりも素早い。これは力が上がっていなくても、あれだけスピードが速いのならそれだけ攻撃力も増しているはずだ。
俺は覚悟を決めてラビットの体当たりが命中する位置に皮の盾を構える。そうしてラビットの体当たりを受け止めると、俺の腕や身体に衝撃が来る。
「うわッ!?いてっ!!」
俺はラビットの体当たりを受けて衝撃を耐えられずに尻餅を付いてしまう。だが、ラビットの方も脳震盪を起こしており、先ほどから地面に着地に心配してフラフラと立ち上がろうとしていた。
「ご主人様!!」
「いい!俺よりもまずはラビットだ!!」
「はい!」
尻餅を付いた俺の方に意識が向いたシルクに俺はラビットを倒すのを優先するように指示を出した。
シルクもその指示を聞いて脳震盪を起こしているラビットを倒すことを優先して、ラビットに攻撃を仕掛ける。
短剣を振るい首元を切り裂き、そのまま短剣の持ち方を変えてラビットの胴体に短剣を突き刺した。
「ギュウッ!??」とそんな鳴き声を上げてラビットは倒れ、表示された画面にはラビットを倒したことと獲得した経験値が2になっていた。
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