第21話

 3階層はラビットが2匹現れるくらいでこれまでの階層と変わらないと思っていた。


 だが、どうやら他にもモンスターが出現するようだ。まだ距離があるが空を飛んでいる鳥を発見した。


 「シルク、あそこまで攻撃が届くか?」


 「無理ですね。流石にあの距離は投擲で投げた物を届ける力も技術もありません。」


 シルクも攻撃することが出来ない。そうなると、今の俺とシルクではあの鳥系モンスターが降りて来る時にしか攻撃のチャンスがないだろう。


 幸いなことにあの空を飛んでいる鳥系モンスターは1匹だ。それならシルクが攻撃すれば倒せるだろう。


 俺がその間にすることは周りの警戒をするくらいだと思う。流石に俺が地面に落ちている石ころを投げてもスキルの効果もないのだし、飛んでいる鳥系モンスターに命中させる自信はないからな。


 目撃した鳥系モンスターをどう倒すのかを決めると歩き出した。それから数分が経った頃にラビット2匹と遭遇する。


 遭遇したラビットはもちろん倒した。シルクの石ころの投擲で1匹を動けないようにすると、俺はシルクに敵意を向けて体当たりを仕掛けたラビットからシルクを庇う。


 皮の盾での防御で庇えば、ラビットはそれだけで脳震盪を起こせば、あとは簡単にラビットを倒せた。


 ドロップしたカードを拾おうとした時にシルクから警告されることになる。


 「ご主人様、空から来ます。」


 「アイツか!」


 空を急いで見れば確かに俺とシルクを狙って旋回している鳥系モンスターの姿を発見する。


 まだ距離があるがそれなりに大きな鳥の姿だ。よく見かけた鳩や烏よりも大型の鳥なのだろう。


 俺は攻撃されたとしてもいつでも皮の盾で防御することが出来るようにしながら辺りを警戒する。


 どうやら周りには茂みもないこともあってラビットの姿はない。でも、ラビットとの戦闘中に空を飛んでいる鳥系モンスターが襲って来なかったのは良かった。


 もし襲って来たら俺だと対処するのも難しかっただろうからな。


 警戒するのは空だけになり、俺は警戒を空に集中しながら一応は周りにも気をかけていくが、草原だから見晴らしが良くてラビットが接近すればすぐに気が付くだろう。


 既に隣には片手に1つずつ石ころを持ったシルクが投擲する準備を始めている。あとは鳥系モンスターが攻撃する為に投擲範囲に降りて来るのを待つだけだ。


 そうして待っていると痺れを切らした鳥系モンスターが急降下して俺たちの元へと飛んで来る。


 「ここです!!」


 隣でシルクが石ころを投擲した。そして、投擲した石ころは鳥系モンスターに命中すると、鳥系モンスターは「ピュイーッ!!」と鳴いて墜落する。


 石ころのダメージで俺たちの元へは墜落しないのは良かったが、俺とシルクはこれからあの鳥系モンスターの元まで向かわないといけない。


 1分ほど移動した俺たちが見たのはまだ辛うじて生きているだけの鳥系モンスターだった。


 「これは鷹かな?子供の頃の図鑑でしか見たことないけど。」


 「トドメを刺して来ますね。流石にこのまま放置するのは気が引けますので。」


 「うん。そうしてくれ。」


 シルクが鷹のモンスターにトドメを刺しに向かうと、鷹のモンスターはシルクを攻撃しようともがいているが、何も出来ずにそのままシルクに倒される。


 そうして何のモンスターを倒したのかが分かった。あのモンスターの名前はホークと言うらしい。そのままだった。


 シルクから渡されたカードのアイテム名はホークの羽だった。そのまんまホークの羽が数枚の絵が描かれている。


 この微妙なアイテムからこれがレアアイテムや激レアアイテムではない通常のアイテムだろうと言うのは分かった。


 これからホークに遭遇した際にはシルクが担当する必要がある。だからもしラビットと戦っている時には俺がラビットの注意を引いて戦うことになるのだろうと思いながら草原を移動していた。

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