第10話

 あれから幾つかの採取ポイントや遭遇するラビットをほぼ無傷で倒して進んだ俺とシルクはようやく次の階層へと続く階段を発見することになる。


 「へぇー、こんな風に階段が現れるんだな。」


 「これならキチンと階段の側まで近寄らないといけないですね。」


 次の階層への階段は俺とシルクが接近したのと同時に現れた。


 いきなりすぐ側に階段が現れたのには驚きたが、だいたい5メートルくらいの距離まで接近すれば階段が現れるようだ。


 スマホを確認すれば、スマホに表示された時間は無限ダンジョンに入ってから2時間ほどの時間しか経っておらず、あの虹色の薬を飲んだくらいしかここまで飲み食いをしていない。


 「シルク、階段を降りたら帰ろうか。流石にお腹が空いた。」


 「そうですね。モンスターを倒したことでショップで使えるポイントも増えましたし、今回の探索で手に入れたアイテムも売れば2日くらいは何もしなくても充分でしょう。」


 そうしてマイルームへ帰ることを決めた俺は、メニューから鍵束を操作して選び、その中からマイルームキーを取り出した。


 「出したは良いけど、これを使ってどうすれば帰れるんだ?」


 「簡単ですよ、ご主人様。マイルームキーを強く握って帰りたいと思うだけです。そうすれば帰還の為のゲートが開きます。」


 「分かった…………うわっ!?」


 俺はシルクの言う通りにマイルームキーを強く掴んで帰還を願った。すると、マイルームキーが光を放つ。その光は俺とシルクを包み込んで行った。


 そうして光に包み込まれた俺とシルクだったが、次に目を開いた時にはマイルームの広間に居り、シルクがマイルームキーの使い方を知っていたお陰で問題なく俺たちはマイルームに帰還した。


 「ご主人様、ショップとショップでのポイントの使用許可をいただきたいのですが駄目ですか?」


 「何に使うのかにも寄るかな?何に使うんだ、シルク。」


 扉を開いて洗面所で手洗いうがいをしながらシルクと話しをしていると、シルクがそんな事を言い出した。


 メニューのショップには本当に色々な物が売られている。武器から家具に雑貨や食品まで本当に様々だ。


 そんなショップをシルクは利用したいと言うが、どんな物を購入する気なのだろうか。


 「調理器具は備え付けられていました。ですので、今回のショップの利用で食材や足りない調理器具を少々購入しようかと思いまして、それでどうですか?」


 「そう言うのか、それなら構わないぞ。でもポイントが少ないだろ。どうやってインベントリのアイテムをポイントに変えるのか分からないから少し待っていて欲しい。」


 ショップを利用しての購入をしたことはあるが、まだショップでアイテムを売ることはしたことがないので、そこに時間が少し掛かることになるはずだったが、シルクがその方法を知っており教えて貰うことになる。


 「ご主人様。収納系スキル。ご主人様ならインベントリからアイテムやアイテムカードを取り出さなくても直接ポイントに変えられますよ。ショップの売るって場所を押してください。」


 「ここをか?」


 シルクに言われた通りにポチッと売ると言う文字を押せば、今現在の俺やシルクが所持している物が表示された。


 その表示されている中には今も装備している武器や防具もあるが、これは売らないのでその中でインベントリの持ち物と書かれている文字を更に押せば、インベントリ内のアイテムが表示される。


 「ご主人様、ラビットの後ろ足のお肉は売らないでください。今日の夕食に使いますからね。」


 「分かったけど、それ以外の物は売って良いのか?」


 「構いません。ですが、残ったポイントで傷やHPの回復用のポーションの購入をして置いた方がいいでしょう。」


 「分かった。」


 薬草の代わりの回復アイテムの購入をすれば良いのかと思って返事をすると、俺はさっそく【インベントリ】の中にあるアイテムをポイントに変えて行った。

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