第45話

 妖精の花園の鍵を攻略してから翌日になると、俺とシルクは再び妖精の花園に来ていた。その目的はフェアリーとの契約の為だ。


 一気にフェアリーが出て来る階層まで移動すると、俺たちはフェアリーを探す為に移動して行く。


 「どうだ、シルク。あの中にいるか?」


 「残念ですがいません。」


 「そうか、それなら倒そう。」


 新しくシルクが取得したスキル鑑定で発見したフェアリーたちを鑑定して貰ったのだが、そのフェアリーたちの中に目的のフェアリーは居なかった。


 俺たちが探しているフェアリーはネームドモンスターのフェアリーだ。


 ネームドモンスターなら最初から強い個体な上に何かしらのスキルを所持している可能性が高いからこそ、俺に取って良い契約相手になるだろう。


 時点ではユニークモンスターと契約したいが、そのユニークモンスターが人型のモンスターでないと契約の意味がないのでユニークモンスターは探して見つかれば程度である。


 ちなみに鑑定スキルはモンスターの名前やレベルだけしか分からない。アイテムもカードに書かれている内容と同じだ。


 そんな風にネームドモンスターのフェアリーを探しているのだが見つかる確率はそれほどないせいで時間が掛かりそうだ。


 けれど、これはこれで良いのかも知れない。何故なら10万ポイントで購入したアクセサリー装備に経験値を貯めることが出来るからである。


 これで経験値を貯めて、ネームドモンスターのフェアリーが仲間になった時に俺とシルクと同じレベルになって貰う予定だ。


 そして、そんなこんながありながら2日目にネームドモンスターと俺とシルクは遭遇する。


 「ご主人様、来ます!!」


 「分かってる!!」


 ネームドモンスターの名前はアクナク。普通の妖精花もどきよりも巨大なネームドモンスターだ。


 通常の妖精花もどきの3倍近い大きさをしているネームドモンスターのアクナク。そんなアクナクの長くて太い蔓の鞭が俺とシルクに向かって振るわれる。


 左右に分かれる事で俺とシルクはアクナクからの攻撃を回避した。


 地面を叩いた衝撃で大量の妖精花の花びらと土埃りが空中を舞っていく。


 そして、俺とシルクが同時に迫る中でアクナクは俺たちに向かって4本ずつの蔓の鞭を向けてくる。


 うねうねと地面を這う様にして向かって来る蔓の鞭と、しなりを上げながら振るわれる蔓の鞭。2つのパターンで4つの蔓の鞭をアクナクは使用して来ていた。


 振るわれる蔓の鞭を回避しながら接近した俺は、地面から足に絡まろうとして来ている蔓の鞭をフェアリーソードで切り裂いていく。


 ビチビチと跳ねる蔓の鞭に視線を移してしまうとかなり危険な目に遭いそうになった。


 振るわれる蔓の鞭が当たりそうになったのだ。その時は身体を仰け反らせて回避に成功したのだが、目の前を通り過ぎて行き蔓の鞭の風切り音には本当に恐怖する。


 それでも俺はアクナクの蔓の鞭を切り裂きながら接近していると、俺に向けて行なわれていた攻撃の圧力が減って来た。


 どうやら既にシルクがアクナクの元へと接近して攻撃を開始していたのだ。


 俺に向けて振るわれる蔓の鞭の精度も落ちたからか、俺は余裕を持って蔓の鞭を回避して攻撃も加えられた。


 蔓の鞭が切り裂かれた事で攻撃範囲も少なくなる。そのままどんどん短くなる様に蔓の鞭を切り裂きながら俺もアクナクの元までたどり着く。


 既にシルクがアクナクの操る鋭く分厚い葉っぱの攻撃を防ぎながら攻撃を行なっている。


 俺もシルクを援護する様にアクナクに攻撃を仕掛けるが、アクナクの分厚く鋭い葉っぱにフェアリーソードが弾かれてしまった。


 「なっ!?」


 まさかフェアリーソードが弾かれてしまうとは思わず、俺は驚いて動きを止めてしまった。


 そんな俺を狙ってアクナクの花部分が口を開いて噛み付こうして来るのだった。

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