第27話

 罠の有無は分からない。その為、シルクが宝箱を開封するが、今回の宝箱にも罠は仕掛けられてはいなかった。


 宝箱の中身は何か気になりながら覗くと、そこには1本の長剣が入っていた。だが、その長剣の姿は俺が目にしたことのある姿だ。


 「なあ、これって。」


 「えぇ、ご主人様が使用している鉄の剣ですね。」


 「そうだよな。」


 思ったよりも簡単に倒せたユニークモンスターのホーンラビットから出た宝箱からのアイテムにはがっかりした。


 「まあ仕方ない。それよりもこれだよ、シルク。」


 「……なかなか良い装備ですね。防御力も鉄系防具よりも高い上に、敏捷の能力値も上がり、装備品自体にも能力があるのですから。」


 シルクに手渡したカードのラビットフットの性能を確認したシルクの感想がこれだ。


 「これさ。シルクが装備してよ。動き回らない俺よりもシルクが使った方が良いしさ。」


 「良いのですか?」


 「うん。」


 「では、使わせて貰います。」


 シルクが足装備を交換している間、俺は周囲の警戒を行ないながら待っているが、装備を替えるのにそれほど時間は使わない為、その警戒も意味はなかったが。


 「どう?ちゃんと足に合ってる?」


 「装備品は自動で修正する物があるそうですが、このラビットフットはそれでしたから合ってますよ。それより少し周りを走って来ます。ラビットフットの効果を試して来たいので。」


 「分かった。それじゃあ、俺はここで待ってるよ。」


 「それほど離れないので大丈夫ですよ。」


 シルクがラビットフットを試している間に、俺は宝箱の中に入っている鉄の剣をラビットフットの入っていたブランクカードで仕舞う。


 「あれ?」


 ブランクカードから鉄の剣の入ったカードに変わったカードを仕舞う時に視界に入った性能に疑問を持った。


 それはポイントで購入した鉄の剣よりも性能が違うからだ。この宝箱の鉄の剣には効果も付いている。


鉄の剣

攻撃力 15

効果 なし


鉄の剣

攻撃力 18

効果 【斬撃強化(小)】【耐久力強化(小)】


 これがショップ産の鉄の剣と宝箱から手に入った鉄の剣の違いだ。これを見れば断然宝箱から手に入った鉄の剣の方が性能が良いので替えるべきだろう。


 俺は手に持ったカードから鉄の剣を取り出して、元々持っていた鉄の剣をブランクカードに仕舞ってからインベントリに収納する。


 「使い心地は変わらないか。」


 シルクが戻って来るまでの間、俺は鉄の剣の素振りをしながら鉄の剣の使い心地を確かめていく。


 「あ、おかえり。」


 「お待たせしました、ご主人様。それよら素振りをしてどうしたんですか?」


 「ん、ああ。それはな。」


 それから俺はシルクに宝箱から手に入った鉄の剣の性能を話して交換したことを伝えた。


 「なるほどそうでしたか。ダンジョンの宝箱産の方が性能が良いようですね。」


 「うん、そうみたい。だから、これからはこの鉄の剣を使って探索するよ。」


 「それが良いですね。性能が高い方が戦うのにも良いです。さ、行きましょう。」


 そして探索に戻った俺たちは7階層から8階層に続く階段を探しに向かう。


 その道中に遭遇したラビットやホークと言ったモンスターと戦闘を行なった結果、新しい鉄の剣での戦闘は楽になった。


 刺突系の攻撃の威力は上がっていないが、斬撃での攻撃は威力が普通の鉄の剣よりも段違いに上がっている。


 それからの戦闘時間が少しだけ短縮し、それからしばらくして8階層へと続く階段を発見した。そして、階段を降りた先は月光が照らしているだけでそれ以外の光源はない草原がこの8階層のようだ。


 「シルク、この環境で戦えそうか?」


 「難しいですね。ちょっとした油断でも怪我しそうですよ、この環境だと。」


 「何かしらの対策は必要か。それなら今日はもう帰ろう。準備するから、その間の警戒は頼む。」


 「いえ、ご主人様。その前に戦闘です。こちらにモンスターが来ています!」

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