第28話
すぐに俺は周りを確認すると茂みに隠れている光を反射している8つの目を発見した。
鉄の盾を構えて鉄の剣を鞘から引き抜くと茂みに隠れているモンスターを警戒しながらシルクに視線を向ける。
「シルクは好きに動いてくれ。この環境だと同士討ちもあり得るから少し離れるぞ。」
「分かりました。気を付けてくださいね。」
「ああ、シルクも気を付けて。」
俺とシルクはお互いに距離を取りながら茂みに隠れているモンスターを警戒していると、茂みに隠れたモンスターたちが一斉に動き出した。
茂みから飛び出したのは4匹のオオカミのモンスターだ。その移動速度はラビットには敵わないがそれでも早い方だ。
俺に2匹、シルクに2匹で向かってくるオオカミのモンスター。俺は自身に迫るオオカミのモンスターへと対処する為に鉄の盾を構える。
真正面からオオカミのモンスターが体当たりを仕掛け、もう1匹のオオカミのモンスターは俺の背後に回り込もうとしていた。
俺は正面から体当たりを仕掛けて来ているオオカミのモンスターへと自分から接近していく。
来た。体当たりを仕掛けるオオカミのモンスターのタイミングを合わせた俺は、オオカミのモンスターの体当たりと同時に鉄の盾を前へと突き出して盾で殴り付ける。
「ギャン!?」と鳴き声を上げるオオカミのモンスターだが、俺の方も鉄の盾から腕へと伝わり身体に衝撃が走った。
だが、この痛みで身体を止める訳にはいかない俺は怯んだオオカミのモンスターを鉄の剣で切り裂き、もう1匹のオオカミのモンスターへ警戒しながら後ろに飛び退いて鉄の盾を構える。
ギリギリで間に合った。鉄の盾を構えた俺にギリギリでオオカミのモンスターの攻撃を防げた。
鉄の盾とオオカミのモンスターの爪がぶつかる音が響く中、俺は鉄の剣を突き出したがオオカミのモンスターに回避されてしまう。
これで負傷したオオカミのモンスターが1匹と無傷のオオカミのモンスターが1匹。ここから更に慎重に警戒しながら戦っていく。
負傷して動きの鈍いオオカミのモンスターからの攻撃は回避を優先し、無傷のオオカミのモンスターは鉄の盾での防御を優先して対応する。
攻撃を避け、防ぎ、反撃に攻撃を行なうという行動を繰り返すこと10回目。それでようやく負傷したオオカミのモンスターを倒した。
そこからは一対一になり意識を向ける相手が1匹だけになった事もあって、俺はそこから無傷でオオカミのモンスターを倒すことに成功する。
「ふぅ、終わった。」
「お疲れ様です、ご主人様。」
背後を振り向くとそこにはシルクが無傷で立っていた。
「シルクはもう倒したんだね。」
「はい。投擲で牽制しながら攻撃しましたので苦戦はしませんでしたよ。それに私の方が早かったですから。ラビットフットの性能のお陰ですね。」
「そうなんだ。」
敏捷が10も上がり、装備の効果も移動に関して性能が高いので動き回り投擲しながら攻撃も行なって倒したのだと思う。
シルクから2枚のカードを受け取り、俺も先ほど自分で倒したカードを確認すると、そこに書かれていたのはウルフの毛皮だった。
4枚ともウルフの毛皮だったから、ウルフの毛皮は通常のドロップアイテムなのだろう。
そして今度こそ俺はマイルームに帰るための準備を行なってからマイルームに転移して帰還した。
帰還後、いつも通り身体を綺麗にした俺たちは、月明かり光源のない場所でどうやって戦うのかを話し合う。
「スキルで補うか、それとも魔道具で補うしかないですよ。どちらにしますか?」
「やっぱりそうなるか。シルク、俺はスキルを確認するから。シルクは魔道具を確認してくれ。」
「分かりました。」
俺たちはそれぞれが暗い場所でも戦える手段がないかを探し始める。
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