第56話

 俺はマジックブックからの攻撃を回避することが出来たが、シルクとティーナは大丈夫だったのかを急いで確認する。


 「ご主人様、こちらは大丈夫です。」


 「ボクも避けられたよ!」


 どうやらシルクとティーナの2人もマジックブックの魔法攻撃を回避することが出来たようだ。


 再びマジックブックが魔法陣を展開するその前に俺たちはマジックブックに攻撃を仕掛けに向かう。


 シルクが投擲しながらマジックブックに走り出すのを追い掛けるように俺も走り出した。


 俺とシルクがマジックブックに接近する中で、ティーナは魔法陣を展開してマジックブックに向かって【魔力弾】を放ち続ける。


 流石に奇襲で食らわせることに成功したティーナの魔法だったが、こうしてティーナが攻撃の準備をしているのを確認されればマジックブックもティーナの魔法攻撃を空中飛行で躱してしまう。


 マジックブックの飛行速度は高く。更にマジックブックの飛行の時の動きが独特なせいでシルクの投擲も命中率は悪い。


 「ティーナ!上からマジックブックを攻撃してくれ。このままだとマジックブックが高いところに逃げていく!!」


 「分かった!でもその前にこれでも食らえ!!【魔力波】!!!」


 ティーナの範囲攻撃魔法が展開された魔法陣から放たれる。先行している俺たちの身体にふわりと魔力が包み込むが、どうしてかは分からないがフレンドリーファイアはないようだ。


 そして、ティーナの【魔力波】はそのままマジックブックを飲み込んでダメージを与えていく。


 魔力の奔流と呼べるほどではないけれど、3つも重ねて発動された【魔力波】に巻き込まれたマジックブックはダメージで動きを止めてしまう。


 その隙を俺もシルクも見逃さない。一気に全力疾走で駆け出した俺とシルクはマジックブックに攻撃を仕掛けた。


 「【ムーンスラッシュ】!!」


 「はっ!!」


 ティーナが月狼牙の武技【ムーンスラッシュ】を発動し、月の力を宿した刃から繰り出された斬撃がマジックブックを切り裂いた。


 それに続いて俺もマジックブックをフェアリーソードの通常攻撃で斬撃を食らわせる。


 マジックブックの表紙とページを切り裂いたシルクの【ムーンスラッシュ】に続いて、俺が繰り出した斬撃もマジックブックの表紙は切り裂けた。


 「2人共離れて!!【魔力弾】!!!」


 俺とシルクはティーナの声を聞いてすぐにマジックブックから距離を取ると、先ほどまで俺とシルクが居た場所の近くをティーナの放った【魔力弾】が通り過ぎていく。


 そして【魔力弾】はそのまま表紙を切り裂かれているマジックブックに命中した。


 マジックブックよりも高い位置まで飛行したティーナが発動した【魔力弾】がマジックブックを床に向かって吹き飛ばす。


 【魔力弾】に寄って床に叩き付けられたマジックブックが飛行する前に俺が駆け出すと同時にすぐにシルクも駆け寄って行く。


 俺よりも敏捷が高いシルクにすぐに追い抜かれてしまうが、俺がマジックブックの元にたどり着く頃には再びマジックブックも飛行してしまうはずだ。


 その点、シルクならばマジックブックが飛行して高さを保つ前に攻撃を仕掛けて飛行の妨害をしてくれる。


 今もシルクが飛行しようとしていたマジックブックに向かって月狼牙を振るって空中高くまで飛行させないようにしていた。


 俺もシルクの邪魔にならないようにフェアリーソードを振るってマジックブックに攻撃を仕掛けていく。


 やはり俺の攻撃ではマジックブックの表紙を切り裂くのでやっとだが、それはどうやらシルクも同じようだ。


 【ムーンスラッシュ】を繰り出せばマジックブックのページ部分まで攻撃を与えられるのだろうが、今の状況だとシルクが【ムーンスラッシュ】を繰り出すことは難しいだろう。

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