第54話

 あれからフライングブックはティーナの魔法を受けて倒されることになる。


 フライングブックのドロップアイテムは通常のドロップアイテムだったからか換金用のアイテムだと思う物が手に入った。


 「やっぱり魔法は良いな。ティーナが羨ましいよ。」


 「ふふーん!!どう、ボクすごいでしょ!!!」


 「うん、凄い。」


 あそこまでダメージを与えられる遠距離攻撃手段を俺は持ち合わせていない。


 今のところ遠距離攻撃を行なえるのはシルクの投擲とティーナの魔法攻撃だけ。俺も出来れば1つは遠距離攻撃の手段が欲しいところだ。


 そうなれば全員で遠距離攻撃を行なってモンスターに手傷を負わせてから戦闘だって出来るのだから。


 フライングブックを倒してからの俺たちは階段探しを行ないながら探索する。


 この朽ち果てた魔法図書館の鍵は3階層しかないのだから、少しでも探索して調べられる事は一度で調べて置きたい。


 そうして探索して分かった事は1階層ではフライングブックしかモンスターが現れないと言うことだ。


 それに採取ポイントがある場所もあったのだが、採取する事が出来たアイテムはショップで売っても1ポイントくらいしかなりそうにない朽ちたナニカ?と言うアイテムしか手に入らない。


 1階層ではフライングブックのレアドロップアイテムや激レアドロップアイテムしか価値がない場所なのだと思ってしまう。


 そして見つけた階段を降りた先の2階層でも採取ポイントから手に入るアイテムも、出現するモンスターも一切変わらないようだ。


 これはもうこう言う場所なのだと思うしかない。


 それに現れるフライングブックもシルクとティーナが一度の遠距離攻撃後に俺とシルクが通常攻撃を命中させるだけで倒せてしまう。


 だが、3階層の階段の場所を目指していた時に発見した採取ポイントであるアイテムの入手に興奮した。


 「凄いのが出たぞ、これ!!」


 採取ポイントにかざしたブランクカードだったカードに書かれているのは魔力弾の魔法書と言うアイテムだ。


魔力弾の魔法書

効果 魔法の取得

魔力弾の魔法を取得する魔法書

効果は一度限りで魔法書を読むことで魔法を取得する事が出来る


 説明を読んだ限りでは魔法を覚えるのに使う一度限りのアイテムらしい。


 一度しか使えないアイテムだからこそ、これを使うのは俺がシルクだろう。ティーナは魔力弾の魔法を覚えているのだからな。


 「シルク、これを使うのは俺でも構わないか?」


 「構いませんよ、ご主人様。ご主人様は遠距離攻撃がありませんからね。」


 「ありがとう。」


 まだこの場所で魔力弾の魔法書を読むことは出来ない。魔法を取得するのにどれくらいの時間が掛かるのかは分からないからだ。


 魔力弾の魔法書のカードをインベントリに収納してから、俺たちは3階層を目指して移動を開始した。


 3階層でも出現するモンスターは変わらないフライングブックだけだった。それでも俺たちはフライングブックを発見すればすぐに倒しに向かう。


 3階層を探索してすべての空白部分を地図から埋めると、俺たちは途中で発見したボス部屋の門を目指して進む途中で遭遇したフライングブックから通常ドロップ以外のアイテムが手に入った。


 「おお!魔法書がドロップした!!」


 「見せて見せて!!」


 ピューンとティーナが確認の為に飛んでくる。シルクもいつの間にかすぐ近くにおり、俺たちはフライングブックのレアドロップアイテムを確認する。


マジックバインドの魔法書

効果 魔法の取得

マジックバインドの魔法を取得する魔法書

効果は一度限りで魔法書を読むことで魔法を取得する事が出来る


 マジックバインドと言う名前の魔法だ。拘束系の魔法だと名前から予測する。


 「うーん、これはシルクが使うか?」


 「えー、ボクじゃないの!?」


 「シルクが覚えれば、それならティーナは魔法攻撃に集中する事が出来るだろう?」


 「なるほど。それならティーナさんよりも私の方が良いですね。」


 むくれるティーナを宥めながら次に手に入ったらティーナに覚えて貰うことに決まる。


 そんな話をしている間に俺たちはボス部屋の前までたどり着いた。

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