第53話
ステータスの操作が終わって1時間経った頃に、俺たちはティーナがどれくらい戦えるのかを確認する為に朽ち果てた魔法図書館の鍵を使ったダンジョンに向かった。
名前:朽ち果てた魔法図書館の鍵
攻略推奨レベル:10〜15
攻略条件:3階層のボスモンスターの討伐
説明:何処かの世界にある朽ち果てた魔法図書館を写し取った鍵
報酬:???
3階層しかないダンジョンだが、今の俺たちと同レベルのモンスターが出現するダンジョンだから油断は出来ないし、そこそこの強さを持っているからティーナがどれくらい戦えるのかを知るのに良いだろう。
鍵穴に朽ち果てた魔法図書館の鍵を刺して回し、朽ち果てた魔法図書館へと続く青白い渦が出現する。
そんな転移ゲートを触れて俺たちは朽ち果てた魔法図書館のダンジョンへと転移した。
「ここが朽ち果てた魔法図書館か。」
朽ち果てた魔法図書館と言うだけあって、周りには大量の朽ちて原型を留めていない本棚や机や椅子と思わしき残骸が転がっている。
「2人はモンスターが居るのか分かるか?」
シルクには【気配感知】スキルが、ティーナには【フェアリー】や【賢者】に内包されている魔力感知の能力でモンスターが何処かに居ないのかを探してもらう。
「向こうですかね?」
「あっちから魔力を感じるよ!!」
シルクとティーナが指を差した方向は同じだった。それでもシルクがはっきりと言わないのなら気配を放っていないモンスターが朽ち果てた魔法図書館の鍵では現れるのかも知れない。
とりあえず向かう先は決まった。シルクとティーナがモンスターが居る可能性が高い場所へと向かう。
建物の床は木製ではなく石材を使っているので朽ちていないが、それでもこの場所が長い年月が経っている場所なのだと思うくらいにはひび割れや汚れが目立っている。
なるべく音を立てない様に意識しながら進んでいると、一冊の古ぼけた本が空中を浮いているのを目撃した。
「ご主人様、ティーナさん。フライングブック、レベル11だそうです。」
見た目からしてどう言う攻撃をするのか分からないが、シルクの鑑定の結果を聞いてもどんな行動をして来るのかは分かりそうにない相手だ。
「まずはどんな行動をするのかを観察するぞ。その後はティーナが相手をするんだ。」
「うん。任せて。」
「行くぞ。」
俺たちはフライングブックの前に飛び出した。すると、フライングブックも俺たちに気が付いたようだ。
フライングブックは閉じていた本を開いてこちらにページを見せ付ける。
何がしたいんだ?そんな事を思い浮かべた時には魔法陣がフライングブックの開いた本のページの前に出現した。
魔法か!?フライングブックは魔法攻撃をして来るのだと判断した時には俺たちはその場から散開する。
それぞれが別々の場所に移動すると、フライングブックの狙いはシルクだったようだ。
シルクを狙ってフライングブックは本体の本を動かして狙いを定めているのだが、シルクの俊敏な動きに付いてはいけていない。
そのせいでフライングブックがせっかく放った魔法はシルクに回避されてしまう。
フライングブックは魔法攻撃をして来るのが分かり、他にはどんな攻撃をするのかを観察していたのだが、それからフライングブックが行なって来る攻撃は本の角を使った体当たりしか行なって来ない。
その事からフライングブックは魔法攻撃と体当たりしか攻撃手段はないようだと分かる。
そうと分かればフライングブックにはもう要はない。
「ティーナ!」
「それじゃあボクが倒しちゃうよ!!まずはこれだ!!食らえ!!!」
ティーナが展開した魔法陣から【魔力弾】を放った。展開した魔法陣の数は3つ。3つの魔法陣から放たれた【魔力弾】はすべて命中する。
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