第24話
「ちゃんと4階層に転移できてるな。」
「太陽の位置があの場所ですからね。」
シルクは太陽の位置を確認することでこの場所が4階層なのかを確認したようだ。
「あっ、ラビットだ。シルク、あの2匹は任せてくれないか?」
「構いませんよ。頑張ってください。」
【盾術】スキルを得たことでこれまでよりも盾の扱いが上手くなった。初心者から一端の盾使いと呼べるレベルまで技術を覚えた俺はラビットに向かって歩いていく。
キュイ、キュイと鳴き声をあげているラビットたちも歩いて来ている俺に気が付いたのか向かって来る。
いつでも盾を動かせるようにしながら動きを止めた。
動かなくなった俺にラビットたちは突撃して体当たりを行なうが、俺は片方のラビットを盾で受け流し、受け流して体勢が崩れたラビットをもう1匹のラビットへと誘導した。
すると、ラビットたちはお互いに衝突事故を起こして地面にもつれ合いながら転がっていく。
ラビットたちがもたれ合いの状態から起き上がる前に俺は金属製の剣をラビットの1匹に突き刺した。
簡単にラビットの毛皮を突き破りそのまま体内に入っていく鉄の剣を引き抜いて、もう1匹のラビットにも同じように突き刺してラビットたちを殺した。
「お疲れさまです、ご主人様。どうでしたか?」
「良いね。【盾術】も鉄の剣もどっちも今後の探索に役に立ちそうだよ。」
「それは良かったです。それでは探索を続けましょう。」
それからそれほどの時間も経たずにラビット2匹と遭遇したが、次はシルクが相手をした。
その際にシルクが行なった攻撃はこれまでシルクが見せた技術以上に鋭い一撃でラビットは短剣に切り裂かれ、蹴りで首骨を砕かれて殺されていた。
時間差での体当たりに対してシルクがラビットに行なった攻撃にゾワッとしてしまうほどに殺意に満ちた攻撃だった。
ラビット相手に簡単に殺したシルクだったが、ホークを相手にしても簡単にシルクは殺していた。
これまでは空高くで飛んでいるホークを倒せなかったが、【メイド流戦闘術】のレベルが上がった効果があったのか、シルクの投擲した石ころの飛距離が増して倒せたのだ。
まあそれでも高過ぎる場所を飛んでいれば飛距離が足らないが、それでも急降下をしたホークでは回避も出来ずにシルクは倒せるようになっていた。
それから楽になった探索に現れるモンスターを倒して進んで行き、5階層、6階層と階段を降りて進んでいく。
そして6階層になるとこれまでのフィールドと全く違う様子を見せる。それは太陽が傾いて夕方になっていたからだ。
「これってこのまま階層を降りれば夜になるんじゃないか?」
「その可能性は高いでしょうね。1階層から少しずつ太陽が動いていたようですから。」
「新しいモンスターが現れるかも知れないから気を付けて行こう。」
「そうですね、ご主人様。」
俺とシルクは夕暮れの草原を進んでいると初遭遇はこれまでと同じラビットだったが、その数は3匹でこれまでよりも数が増えていた。
「投擲で数を減らします。接近して来たラビットはご主人様に任せますね。」
「分かった。」
シルクが投擲を開始してラビットを攻撃していく。だが、階層が上がれば上がるほどにラビットだけでなくモンスターのレベルも上がり、シルクの投擲が命中したのは2匹のラビットだけだった。
そして俺はシルクを狙うラビットとシルクの間に入り、ラビットからの攻撃を防ぐために皮の盾を構える。
「ぐッ!!」
速度が増したラビットの体当たりは普通の攻撃よりも重い一撃だ。それを踏ん張って防いだが、流石に威力が強過ぎて2匹同時に体当たりして来た場合は防げる気がしない。
もちろん俺がそれだけの衝撃を受けているのならラビットの方もそれ相応の衝撃を受けており、ラビットは脳震盪を起こしていた。
そんなラビットを鉄の剣を突き刺して殺すと、シルクの投擲でダメージを受けているラビットたちの元へとシルクと一緒に向かった。
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