第34話

 ボス部屋の中に入った。ボス部屋の中も10階層のフィールドと同じで夜の草原だ。だが、一つだけ違いがある。それは夜空に浮かぶお月様が満月だということだ。


 空や周りを見ながら進んでいると、こちらに向かって大きな2つの光を放つ目がこちらを見ていることに気が付いた。


 「うぉおおおおおおおーーーーーーーーん!!!!!!!!!」


 「「「「「うぉおおおおーーーーーーん!!!!!!!!!」」」」」


 大きく巨大な額に満月の模様のある狼のモンスターが遠吠えを上げながら現れた。


 そしてそんな遠吠えに釣られて草原の周りからも続々とウルフの遠吠えが起こり始める。


 「ボスモンスターだけじゃなくて取り巻きのモンスターも現れるのか!?」


 「落ち着いてください、ご主人様。冷静にならないと勝てるものも勝てません。まずは取り巻きのウルフから倒して行きますよ。」


 「そ、そうだな。やろう、シルク!」


 鉄の剣と鉄の盾を構えながら俺たちの方へと向かって来ている巨大なオオカミに対峙する。


 俺とシルクの前までたどり着いた巨大なオオカミは右腕を振り上げて俺たちに向かって振るってきた。


 俺はシルクの前に出て巨大なオオカミの攻撃を鉄の盾で防御する。


 「重っ!?うわーーー!!!??」


 「ご主人様!?」


 巨大なオオカミの一撃を鉄の盾で防御したのだが、俺は巨大なオオカミの一撃を受けて耐え切れなくて吹き飛ばされてしまう。


 ゴロゴロと地面を転がりながら離れたところで俺のことを呼ぶシルクの声が聞こえてきた。


 俺は受け身を取りながら地面を転がっていたが、ようやく転がるのも止まりそうになり手を地面に付いて跳ねるように立ち上がる。


 すぐに俺がいる場所が何処なのかを確かめると、シルクと巨大なオオカミが戦っている姿を確認した。


 「ここまで飛ばされたのか!?」


 シルクと巨大なオオカミまでの距離は10メートルは超えている。俺もシルクの援護に向かいたいのだが、距離もあるのも問題があるのだけど、それよりも俺の周りを囲んでいるウルフたちが問題だ。


 「ぐるるるる!!!」と唸り声をあげて俺を取り囲むウルフの数は5匹。それも無傷のウルフが5匹である。


 周りを警戒しながら鉄の剣と鉄の盾を構えていつでも対処できるようにしながらウルフたちを警戒する。


 「あおーん!!!」


 1匹のウルフが吠える。すると、一斉にウルフたちが俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。


 俺は鉄の盾で1番近くまで接近して来たウルフを殴ると、続けて鉄の剣を横薙ぎにウルフたちの接近をさせない為に牽制して妨害する。


 さっきの攻撃で浅くだけどウルフにダメージを与えられたが、それでも無傷のウルフが多くてこれからの戦いは大変だ。


 それにシルクはどうだと確認したいところなのだけど、そんな暇をこのウルフたちは与えてくれない。


 しかも、このウルフたちの動きを見るにネームドモンスターのウルフのように、あの巨大なオオカミは周りのウルフを強化する能力を持っているのか、このウルフたちの動きは思ったよりも素早い動きをしている。


 じっくりとウルフと戦いたいところだがそれもいかないだろう。早くシルクの援護にも行きたい。


 俺は少しだけ無茶をすることにした。鉄の盾を前面に構えてウルフに向かって突撃する。


 突撃した俺を追い掛けるウルフたちがいるなか、俺は目の前のウルフに鉄の盾をぶつける。


 ウルフとぶつかった鉄の盾の反動が身体に来るが、それでも俺は止まらずにそのまま走り抜けていく。


 そして反転すると俺に向かって迫るウルフたちの攻撃に備えて腰を据えて鉄の盾を構えた。


 鉄の盾で防御や受け流しを行ない、鉄の剣でウルフの牽制や攻撃を行ないダメージを与えて行き、タイミングを見計らって盾を構えて突撃を行なった。


 それを繰り返し行なってようやくウルフを全て倒して俺はシルクの援護に向かった。

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