第58話

 風呂上がり後、俺たちはリビングで3つの魔法書を広げていた。


 魔力弾の魔法書、マジックバインドの魔法書、風弾の魔法書の3冊の魔法書をだ。


 「これはシルク。これはティーナね。」


 俺はインベントリから取り出したマジックバインドの魔法書をシルクに渡し、風弾の魔法書はティーナに渡し、残りの魔力弾の魔法書は俺が使う予定である。


 「それじゃあ、この魔法書を使おうか。」


 「はい。」「うん!」


 俺たち3人はそれぞれの魔法書を使用して新しい魔法の取得を行なっていく。


 俺は手に持った魔法書を開いて中に書かれた手のひら型の模様に両方の手を乗せる。すると、魔力弾の魔法書は光を放ち始めた。


 光を放ち始めた魔法書から次々に見慣れない光の文字が出現すると、文字は次々に空中で動きを止めて1つの魔法陣へと姿を変えていく。


 そうして出来上がった魔法陣は光の粒子へと分解されると、光の粒子は俺の頭に向かって流れ出した。


 光の粒子がすべて俺の頭の中に入ら終われば、魔力弾の魔法書は役目を終えたからか、魔力弾の魔法書はスゥーッと姿を消して行くのだった。


 そうして俺が魔力弾の魔法書を使用して初めての魔法を取得した頃には、シルクとティーナも新しい魔法の取得が終わっていた。


 「こんな感じで取得するんだな、魔法って。なんか不思議な感じだ。」


 俺の頭の中に入った光の粒子の影響でどうやれば魔力弾の魔法陣を展開することが出来るのかどうしてなのか分からないが理解出来ている。


 これでいつでも魔法陣の構築を行なえば自由に【魔力弾】を使うことが出来るのだが、実際に使ってみないと感覚的には使えるのだろうが使い熟すことはまだ出来ないだろうと思う。


 「新しく覚えた魔法を使ってみたい!」


 「そうですね。実戦で使うよりは良いと思います。」


 「それもそうだな。ちょっと待ってくれ。」


 俺は朽ち果てた魔法図書館の鍵の攻略報酬を確認してから、新しくマイルーム拡張を行なって魔法の練習が出来るような施設を作ろうと思う。


 「おっ、やっぱりだ。」


 朽ち果てた魔法図書館の鍵の攻略報酬に10万ポイント分のポイントがあった。他にも報酬はあるのだが、それの確認は後回しにしよう。


 攻略報酬の10万ポイントを使って早速俺はマイルーム拡張を行なって魔法の練習が可能な施設の設置を行なっていく。


 10万ポイントがあればそれなりの施設が建てられる中で、俺が選んだのは10人ほどの人数が練習を行なえる施設にする。


 魔法の熟練度アップ5%、MP消費軽減10%の効果の付いている施設を新しくトレーニング施設内に設置が終わった。


 「これで良し。出来たから行こう。」


 「はい。」「うん!」


 トレーニング施設に移動後、魔法練習用の部屋の中に入った俺たちはそれぞれの魔法の練習を始めた。


 「やってるか。……【魔力弾】!」


 魔法書を使って覚えた魔法陣を構築していき、俺は魔法陣から魔力の塊を飛ばす魔法の【魔力弾】を的に向かって放つ。


 動きのない的に【魔力弾】は直撃する。そして、天井近くにある掲示板には先ほど放った【魔力弾】のダメージ量が表示された。


 「86ダメージか。これってどれくらいの威力なんだろう?」


 的の魔力防御力や距離での威力の減衰なんかもあるし、実戦で使う場合はどれくらいの威力になるのか分からない。


 同じ攻撃魔法が使えるティーナにも【魔力弾】を的に放って貰い、どれくらいの威力の差があるのかを確認してみる事にした。


 「ティーナ、魔力弾を試してくれないか?」


 「ん?良いよ!魔力弾!!」


 ティーナが【魔力弾】を的に向かって放って貰えば、そのダメージは134ダメージだった。


 魔法に関するスキルや装備があるティーナと比べれば、俺の魔法攻撃の威力は同じ魔法でもここまでの差があるようだ。

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