まず引きこまれたのは主人公が悪役サイドに転生する点で、これが実にユニークな視点で、ほかに類をみない緊張感を与えてくれます。だって転生先がゲーム世界の悪役だもん。いつか倒されるのがきまってるんだから、そんなのイヤだーってなりますよね。
そこで主人公はプレイ経験で知っているこのゲーム世界の知識を駆使して戦略を練り、倒されるべき宿命を打破していくのですが、この展開に爽快感があって、その選択や行動が彼自身とそして周囲にどのように影響をあたえてゆくかがストーリーの見どころです。
そして作品全体にわたって散りばめてあるユーモアがまたバランスよくて、テンポよく話が進むため、まったく飽きずに読めるうえに、シリアス展開とコミックパートがアクセントになって長編にもかかわらす疲れることなく一気に読めました。
未読のかたは是非一度、読んでみてください。絶対に損はしない作品です。